「プレシューズ」の登場についてとは? わかりやすく解説

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「プレシューズ」の登場について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 05:35 UTC 版)

才女気取り」の記事における「「プレシューズ」の登場について」の解説

17世紀前半から中盤フランスは、長年亘る内乱宗教戦争がようやく落ち着いたころで、戦乱時代荒々しい雰囲気至る所残っていた。アンリ4世時代になって王権がようやく確立され国王屈服した貴族たちが延臣としてパリ留まり、彼らは宮廷貴婦人たちとともに社交界形作るようになった。彼らは一切行為思想において、常に社交界念頭に置かねばならなくなり自分美しい形で人に見せようという意識生まれたとりわけ婦人たちに対しては、優雅な態度をもって接しようとする動きが出るのは当然であり、かくして「ギャラントリー (Galanterie)」が生まれたであった。 これと時を同じくして、カトリーヌ・ド・ヴィヴォンヌが、ランブイエ侯爵結婚して侯爵夫人となり、アンリ4世宮廷招き入れられた。彼女の父親ローマ駐在フランス大使であり、同時期のイタリアでルネサンス円熟期を迎えていた。そのため、文明空気存分に吸収して彼女は育ったわけであり、そのような女にとってフランス王宮に漲る粗野な雰囲気は到底耐えられるものではなく失望し宮廷生活に見切りをつけて、自宅サロン開いたであった。 彼女はこのサロン国王家をはじめとする名門貴族文化人たち招いて文学作品朗読会行ったり、討論会が行ったりするなど、高度に知的な快楽追及していた。このサロンには多くの人が集まることとなり、そうしてこれまでの社会通用していた道徳とはまた違った社交界しきたり生まれた他人に不快を与えないよう、態度服装など注意し一切過激さを排除する。こうしてオネット・オム (honnête homme) と呼ばれる社交人の典型生まれたであった。『人間嫌い』のフィラントなどはその分かりやす好例である。 ランブイエ侯爵夫人サロンが、言語服装美化風俗是正果たした役割極めて大きくサロン一つ流行となり、これを真似たサロンいくつも開かれた。彼女のサロン出入りする才媛プレシューズ(Précieuses)、男性ならプレシュー(Précieux)と呼んだプレシューズという言葉が、本作において攻撃対象となったように、「衒学的で、お高とまっている女」といった意味を帯びたのは1650年代になってからである。ランブイエ侯爵夫人サロン開いた当時、つまり1620年代段階では、侮蔑的な意味は持っておらず、彼女たちプレシューズと呼ぶとき、その意味解釈するのは誤りであり、単に「教養のある女性」くらいに捉えるべきである。 プレシューズの意味とともにその主張風潮を表す言葉プレシオジテ(Préciosité)」の意味変遷していった。プレシオジテ1680年代頃に終わり迎えるが、その期間を大別して2期分けることができる。ランブイエ侯爵夫人サロン中心としていた前期(16201648年)とマドレーヌ・ド・スキュデリーのサロン土曜会」を中心とする後期(1650~80年)である。元々プレシオジテは「粗野殺伐とした風潮一掃する」ことに目的があったが、次第先鋭化し、愚劣滑稽なものへと転じていった。モリエール本作公開したころには、流行無批判受け入れ一流才媛たちを真似して喜んでいる無知蒙昧田舎娘たちまでもがプレッシューズを名乗るようになり、その滑稽さはいよいよとんでもないものになっていたのであるプレシオジテ確かに滑稽な面もあったものの、フランス文学社会果たした貢献決し少ないものではない。プレシオジテによって、風俗浄化されフランス語美しく洗練された言語へと進化した現代フランス語においても、彼女たち創案による語句表現多く残っている。このようにプレシオジテフランス人精神深くかかわり持っているものであり、この風潮ランブイエ侯爵夫人多大な影響与えた

※この「「プレシューズ」の登場について」の解説は、「才女気取り」の解説の一部です。
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