《送ります》の敬語
「送ります」の敬語表現
「送ります」を敬語で表現すると「お送りします」または「お送りいたします」となります。「送る」を「お~する」の形にして謙譲語にした表現が「お送りします」で、謙譲語は自分をへりくだることで相手を立たせ敬意を表しています。「お送りいたします」の「お」は同じく謙譲語ですが、「いたす」は「いる」の丁重語です。丁重とは礼儀正しいことや丁寧であるさまを意味していて、丁重語は自分や自分の動作などを丁寧に伝える敬語表現です。丁重語は改まった場面で使うことができる固めの表現で、この場合、「お送りします」よりも「お送りいたします」のほうがより丁寧な敬語表現と言えます。「送ります」の敬語の最上級の表現
「お送りします」、「お送りいたします」よりもさらに丁寧な敬語表現は、「お送り申し上げます」となります。「お送り申し上げます」は最上級の敬語表現になりますので、社内の上司や目上の人だけでなく、社外の取引先や顧客などより丁寧な表現をしたい場合に適しています。「申し上げる」は、謙譲語になります。前述の通り、謙譲語は自分に対してへりくだった表現をすることで相手を高めています。相手を立てる表現ですので、若手の社員が年上の目上の人に対して使う場合にも適しています。「送ります」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
新入社員が顧客に対してビジネスメールを出す場合を想定して、例文をご紹介します。「株式会社〇〇
営業部〇〇様
はじめまして。
4月1日に新入社員として入社しました営業部の〇〇(氏名)です。
弊社営業部の田中と共に、御社を担当させていただくことになりました。
御社の週次集計レポートは今後、私が担当させていただきます。
早速ですが、先週分のレポートをお送り申し上げます。
ご査収のほど、よろしくお願いいたします。
近々改めて、田中とご挨拶に伺わせていただきます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
署名」
次に、ビジネスマンが、会社のセミナーに出席してくれた取引先の人に対して御礼の手紙を出す場合を想定して、例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
人材開発部〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇(氏名)です。
先日は、弊社セミナーにご出席いただき、誠にありがとうございました。
セミナーの際に頂いたご意見を踏まえて資料を作成し直しましたので、お送りいたします。
厳しいご指摘もあり、身の引き締まる思いでございます。
今後とも御社の担当として誠心誠意努力してまいりますので、
引き続きご指導ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
署名」
「送ります」を上司に伝える際の敬語表現
社内の上司であれば、「お送りします」または「お送りいたします」で問題ありません。もちろんより丁寧な表現である「お送り申し上げます」を使うこともできます。社内でも役職の高い人や、社外の取引先などより高い敬意を表したい場合は「お送り申し上げます」が適しています。相手によって使い分けることが大切です。上司に何かを送る際には、同時に「確認してほしい」場合が多くあります。その際注意したいのは、「お送りしますので、ご確認ください」としないようにすることです。「ください」は、相手に命令している印象を与えてしまいます。「お送りしますのでご確認のほど、よろしくお願いいたします」など、丁寧な表現を心がけると良いでしょう。また、「ご確認」という言葉は「ご査収」に言い換えることもできます。「ご査収」はビジネスシーンなどの固い場面で使われる言葉で、「内容を確認したうえで受け取ってください」という意味になります。「ご査収のほど、よろしくお願いいたします」という表現は、ビジネスの場に適した丁寧な敬語表現です。
「送ります」の敬語での誤用表現・注意事項
「送ります」の敬語表現の注意点をみていきます。まずは「お送りさせていただきます」という表現についてです。「お送りさせていただきます」という表現は敬語表現として間違っているわけではありませんが、「させていただく」という表現には「相手の許可をとってからする」という意味が含まれています。ですがビジネスメールなどでは、事前に許可をとっているいないに関わらず「お送りさせていただきます」が多用されているのも事実です。「お送りさせていただきます」という表現自体は目上の人に対して使える敬語表現で間違いではありませんが、送り側の判断で一方的に何かを送る場合には使用を考えたいものです。
次に、「お送りいたします」の表記についてです。「お送りいたします」の「いたす」は漢字ではなくひらがなが正しい表記になります。「お送りいたします」の「いたす」は補助動詞です。補助動詞はそれそのものの意味は薄くなっていて、補助動詞だけで独立して使われることはありません。動詞に付属して意味をなすのが補助動詞で、補助動詞として使われる場合は「いたす」のようにひらがなで表記されるのが通例となっています。つまり「お送りいたします」の「いたす」そのものには、「致す」のような「至らせる」、「仕向ける」などの動詞的意味はなく、「送る」に付属して、「送る」を丁寧にする機能を果たしています。
「送ります」の敬語での言い換え表現
「送ります」の元の形である「送る」は、「送付する」と言い換えることができます。「送付する」の敬語表現は、「ご送付いたします」となります。また、「拝送する」と言い換えることもできます。「拝送」には「見送ること」という意味もありますが、「送付すること」という意味でも使用されます。「拝送」はこの言葉自体が謙譲語となりますので「ご」は付けないことに注意が必要です。「拝送」を敬語で表現すると、「拝送いたします」となります。- 《送ります》の敬語のページへのリンク