《無花果》の正しい読み方
「無花果」の正しい読み方
読み方:いちじく・いちじゆく・いちじゅく・ムカカ現代では、無花果は「いちじく」と読まれることが多い。新字旧仮名で表記されていた頃は「いちじゆく」や「いちじゅく」と読まれていた。漢名では「ムカカ」とも読み、中国では「映日果」という別名も持つ。「無花果」の意味解説
無花果は落葉広葉樹の小高木であり、日本で育つ無花果の木は3メートルから5メートルほどに成長する。大型の葉を茂らせ、6月から9月の間に開花する。この花の形が特徴的で、花びらをつけて咲くのではなく、丸い袋の形をした球体の中に無数の花(花嚢)をつける。無花果の食用可能な果実は、この花嚢が成長した部分であり、成熟すると緑色だった果実が赤く染まる。果実を縦に割ると、赤黒くて細い花びらが無数に詰まっており、この花びらの部分が瑞々しく甘い。生食だけでなく、乾燥させてドライフルーツとしても楽しめる。また、熟した果実・乾燥させた葉は、生薬として利用されることもある。果実には食物繊維の一種であるペクチンが含まれており、整腸作用が期待できる。そのため、便秘解消などの薬として使用され、乾燥した果実を煎じて飲む民間療法もある。乾燥させた葉には、血圧降下作用のあるプレラレエン、タンニンが含まれており、風呂に葉を浮かべて入ることで、冷え性や肌荒れに効くと言われている。なぜ「無花果」と読むのか・理由
無花果をなぜ「いちじく」と読むのかには諸説あり、まず1つ目に「無花果は『一熟』と表記されていた」という説がある。熟して甘くなる様子から、無花果は「一熟」とも表記され、その読み方の「いちじゅく」が、無花果の当て字として使われるようになった。2つ目に「中国名『映日果』を唐音読みで『エイジツカ』とし、それが転訛して『いちじく』になった」という説がある。17世紀に中国から渡来した際、無花果を「映日果(エイジヅカ)」と中国での字音をそのまま流用していた。しかし時が経つにつれてエイジヅカが「いちじく」に訛り、現代でも使われているという説である。「無花果」の類語・用例・例文
無花果は伝来当時、異国の果物として「唐柿(からがき、とうがき)」と呼ばれており、ほかにも「蓬莱柿(ほうらいし)」「南蛮柿(なんばんがき)」「唐枇杷(とうびわ)」などとも呼ばれていた。現在でもその名残が残っており、天草地方では無花果を「南蛮柿」と表記することがある。無花果はキリスト教の聖書の中にたびたび登場する植物でもあり、旧約聖書のアダムとイブの項には「エデンの園で禁断の果実を食べたアダムとイヴは、自分たちが裸であることに気づいて、いちじくの葉で作った腰ミノを身につけた」と記されている。その他にも聖書の中で、再臨や終末などの例えに無花果が使われている。バラモン教や古代ギリシャでは、神々に捧げる供物として無花果が捧げられている。『続西方の人』芥川龍之介著「若し他のものを愛したとすれば、彼は大きい無花果のかげに年とつた予言者になつてゐたであらう。平和はその時にはクリストの上にも下つて来たのに相違ない。」『第二邪宗門』北原白秋著「無花果の樹も実も無しと。」「無花果」の英語用例・例文
無花果は英語で[fig]と表現する。[fig]は英語で「つまらない事・些細な事」という代名詞としても使われる事があり、[not give a fig for]で「ちっとも気にしない・~を無視する」という意味にもなる。英語圏での無花果の評価は低く、庶民でも安価で手に入れることができたため、そういったニュアンスで使われることがある。他にも「何の価値もない・とるに足らない」を、[not worth a fig(直訳すると「イチジクの価値もない」)]と表現することもある。- 《無花果》の正しい読み方のページへのリンク