写真とは? わかりやすく解説

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写真

1.男が女を恨み、女の写真を傷つける。

油地獄斎藤緑雨21歳法学生・目賀田貞之進は、柳橋芸妓小歌一目惚れし通いつめるが、小歌別の客にあっさり身請けされてしまう。貞之進は小歌怨み深夜鉄鍋に油を煮えたぎらせて小歌の写真を投げこむ。写真は焦げただれ、やがて灰になるまで、貞之進は見つめていた〔*→〔藁人形1aの『藁人形』(落語)の変形〕。

恨みの写真』落語若い男が、女に裏切られたため、女を殺して自分死のう思いつめる叔父が男に説教し、「晋の予譲故事(*→〔身代わり9b)にならってその女の写真を刺せ」と言う。男が恨み込めてナイフで写真を刺し通すと、血がタラタラ流れる。叔父は「おお。一念通じて写真から血が出たか」と感嘆する。男は「いえ、指を切りました」。

★2.旧知の人の写真を見て、その所在を知る。

飢餓海峡水上勉青森貧し娼婦八重は、ただ1度だけ訪れた客の男から大金をもらい、それで借金返し東京へ出て働くことができた。八重はその客を恩人思った10年後、八重新聞で、舞鶴会社社長樽見一郎慈善事業記事顔写真見た。それはあの客の顔だったので、八重恩人に礼を言おう舞鶴へ出かけた。しかし彼女は殺された→〔過去〕6。

砂の器松本清張島根県亀嵩地方巡査をしていた三木謙一は、退職岡山県住み、ある時、長年の夢だった関西旅行に出かけた。三木伊勢映画館で、館内掲げられている音楽家和賀英良の写真を目にした。それは20年上前三木巡査時代世話をした、癩病乞食本浦千代吉の息子秀夫が成長した姿だった。三木東京へ和賀英良(=秀夫)に会い行き殺された〔*映画版では、この時点千代吉は存命であり、三木は秀夫に「父親会え」と説く〕→〔再会父子)〕4。

行方知れずの夫の新聞写真を、妻が見る→〔同一人物〕3の『心の旅路』(ルロイ)。

★3.追写真。没後長年月経た人の、生前の姿写生する

『池北偶談』清・王士偵)「追写真」 没後長年月経た人の生前の姿ありのまま写生する術があり、追写真という。ある人が、幼時死別した母の肖像術者依頼した術者一室にこもり、夜半いたって依頼者を呼び入れた画紙封じたままだったが、開くと、生けるがごとき母の風貌描かれていた。「ただし死後60年過ぎては追写真も及ばない」と、術者言った

★4.心霊写真しきもの

悪魔のような女クルーゾークリスティーナは、夫の小学校ミシェル殺して(*→〔不倫〕5)、死体プール沈めるが、プールを抜くと死体なくなっていた。学校児童たちの集合写真をとると、背景教室の窓の奥にミシェルの顔が見える。幽霊写ったのか、それともミシェル生きているのか、クリスティーナおびえる〔*実はミシェル生きており、心臓の悪いクリスティーナ脅して死に追いやった〕。

河童芥川龍之介15 河童の国の詩人トックピストル自殺し彼の家は写真師ステュディオ変わった。ところがこのステュディオ写真をとると、客の後ろトックの姿が朦朧と映るという。河童の国に滞在する「僕」が何かの写真を点検すると、なるほど、どこかトックらしい河童が1匹、老若男女河童後ろに、ぼんやりと姿を現していた。

肉眼では見えないものが、写真に映っていた→〔身投げ〕7の海から手(日本現代伝説ピアス白い糸』)。

★5a.瀕死の人の写真をとると、生命力与えることができる。

夏目漱石小宮豊隆)「死」 夏目漱石臨終が近づいた時、妻鏡子は「漱石の写真をとりたいと言った瀕死病人写真をとると、病人持ち直すことがある、と一部信じられていたからであった写真師呼ばれ撮影が行なわれたが、その甲斐もなく漱石死去した

★5b.写真を撮影すると、被写体人物急死する

殺人カメラロッセリーニ悪魔が、町の写真屋に不思議な力授ける。写真スタジオにある人物写真を、もう1度カメラ撮影しなおすと、被写体人物急死するのだ。写真屋は、悪徳町長仲買人高利貸しなど、欲深連中6人の写真を撮影して、彼らを殺す。これで住み良い町になるはずだったが、また新たに欲深人間たち現れて、結局、町は変わらなかった〔*悪魔改心して死んだ6人を生き返らせる。写真屋は悪魔十字の切り方教え悪魔は普通の人間になる〕。

★5c.三人写真をとると、真ん中の人が早死にする

現代民話考』松谷みよ子12「写真の怪 文明開化第2章の1 「3人で写真をとると、真ん中の人が早死にする」というのは、明治初期から続く迷信である。昭和初めまで、写真館には京人形キューピッド人形用意してあった。3人で写真をとる時には人形中に入れ、「これで4人になったから良いと言って撮影した福岡県)。

*木を人間見立てて人数調整する→〔三人目〕1の『懶惰の歌留多』(太宰治)。

★5d.写真に撮られる=魂を抜かれる

金枝篇初版第2章第2節 ジョーゼフ・トムソン氏が、東アフリカのワテイタ族の数人を写真に収めようとしたところ、彼らはトムソン氏を、「魂を取ろうとしている呪術師」と見なした。彼らは、「もしトムソン氏が自分たちの像を手に入れれば自分たちは、まったくトムソン氏の言いなりになってしまう」と考えた

肖像画についても同様の信仰がある→〔肖像画3c

★6.愛する人の写真。

今戸心中広津柳浪吉原の花魁(おいらん吉里は、客の平田心底愛していたが、平田はやむを得ぬ事情郷里帰ってしまう。それから1ヵ月余り後の12月下旬吉里は好きでもない客と一緒に隅田川身投げする。朋輩託した遺書中に写真があった。平田の写真と吉里の写真を、表と表を合わせ、裏に「心」という字を大きく書いて、こよりで十文字結んであった。

野菊の墓伊藤左千夫) 「僕(政夫)」と民子大の仲良しだったが、2人の仲は裂かれ民子他家へ嫁にやられる。しかし6ヵ月流産しその後肥立ち悪くて息を引き取った死んだ民子は、左手紅絹(もみ)の切れに包んだ小さなものを握っていた。家族開けて見ると、それは「僕」の写真と手紙だった。

★7.不倫証拠写真

死刑台のエレベーターマルジュリアンは、勤務する会社社長夫人と、ひそかに愛人関係になっていた。彼は社長射殺して自殺見せかけ完全犯罪成功した。しかし不良青年ジュリアンの車を盗み旅行者殺したために、車に置いてあったジュリアンカメラ警察押収されるフィルム現像すると、抱き合うジュリアン社長夫人の写真が何現れ2人共謀して社長殺したことを、警察は知る。

柔らかい肌トリュフォー中年文芸評論家ピエール講演旅行出かける時、愛人スチュワーデスニコル同伴した。彼は手持ちカメラニコルの写真をとり、2人の愛の記念とした。ピエールの妻は彼の不倫疑っていたが、カメラ店行き現像された何もの写真、さまざまなポーズを取るニコルの写真や、ニコルピエール一緒に写っている写真を手にして、不倫決定的証拠得た

密会証拠写真でっち上げる→〔取り合わせ1aの『醜聞スキャンダル)』(黒澤明)。

★8.恋人並んで映っている写真を二つ切って恋人の写真と自分の写真を別々にする。

『写真』川端康成) 醜い詩人「僕」は、新聞社から写真を求められ、かつて恋人一緒に撮った写真を半分切って渡した。ところが手元残った恋人1人だけの写真を見ると、ずいぶんつまらない娘に見えた恋人も、新聞「僕」の写真を見れば、「こんな男に恋した自分口惜しい」と思うだろう。しかし、もし2人並んだ写真が新聞出たならば、恋人「僕」の所に飛んで帰って来るのではないだろうか。

★9.見えぬ目で見る写真。

二十四の瞳壺井栄昭和21年19465月大石久子先生を囲む会を、教え子たちが開く。18年前、皆が小学1年生だった時、一本松記念写真撮ったことがあった(*→〔落とし穴〕1)。教え子一人磯吉戦争両眼失っていたが、「目玉がなくてもこの写真は見える」と言う。「真ん中のこれが先生。その前に、うらと竹一と仁太が並んどる。先生の右がマアちゃん・・・・」。磯吉確信持って人差し指おさえて見せる。しかしその指は、少しずつズレ所をさしていた。「そう、そう、そうだわ」と答え大石先生の頬を涙が伝わった

★10.フィルムすりかえ

疑惑の影ヒッチコック) 「米国標準家庭生活実態調査」と称して刑事2人記者カメラマン扮し殺人容疑者チャーリー滞在する家を訪れる。カメラマンチャーリー撮影したので、チャーリーは「写真は嫌いだと言ってフィルム取り上げ焼却する。しかし刑事たち渡したのは別のフィルムだった。チャーリー写ったフィルム現像され、それを見た警察は、彼が殺人犯であることを確認した

★11.観光地などで、「写真を撮って下さい」と頼まれる

富嶽百景太宰治御坂峠茶店に3ヵ月ほどこもって仕事をしていた「私」が、山を降りる前日東京からたらしい娘さん2人が、「シャッタア切って下さいな」と言って「私」カメラ渡したレンズをのぞくと、真ん中大き富士、その下に娘さん2人寄り添っている。「私」2人レンズから追放し富士山だけをいっぱいキャッチして、富士山さようなら、お世話になりましたパチリ

夜の河吉村公三郎京染めの店の娘・きわは、法隆寺訪れた時、女学生から「写真を撮って下さい」と頼まれカメラ渡された。女学生とその父と友人の3人並んだ姿を、きわは撮影する女学生の父である大学教授竹村は、その日、きわが染めて売り出したネクタイをしていた。これがきっかけで、きわと竹村は、しばしば逢うようになった→〔不倫〕8。

★12.「写真を見てくれと言われたが、それは鏡だった。

ドウエル教授の首ベリャーエフドウエル教授の首が(*→〔首〕4b)、若き日の恋の思い出を語る。ドウエルは、患者ベティ親しくなり、「机上にある、私の婚約者の写真を見てほしい」と頼んだ。「彼女が承知してくれたら、私は彼女と結婚するんだ」。ベティ所へ行くと、それは写真ではなく小さな鏡だった。ベティは鏡をのぞきこんで笑い、「この人なら断ったはしないでしょうと言った

*鏡に映る自分の顔を見て、「誰かの写真だ」と思う→〔鏡〕1cの『農夫女房と鏡』(イギリス民話)。

*写真を撮ってもらえない子→〔兄弟2bの『にんじん』(ルナール)「にんじんアルバム」1。

*人に見られては困る写真を用いて、金をゆすり取る→〔唇〕2bの『悪魔の百唇譜』(横溝正史)。

悪人の写真に釘を打つ→〔釘〕2の『憶ひ出した事』(志賀直哉)。





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