主要品種とは? わかりやすく解説

主要品種

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 22:03 UTC 版)

ジャガイモ」の記事における「主要品種」の解説

ジャガイモ栽培品種一覧英語版)」も参照 栽培特性耐病性収量)、加工特性流通保存特性食味など様々な観点から品種改良が行われている。 ジャガイモは、品種によっての皮の色や肉色、粉質・粘質と性質にも違いがあり、花色にも白色から紫色まである。粉質の品種ホクホクした食感特徴で、粘質の品種肉質きめ細かく、煮崩れしにくい。日本では男爵薯とメークインが2大品種作付面積半分以上占めその他の農林1号デジマ、ワセシロなど合わせて99品種品種登録されている。現在では公的機関ばかりでなく、農家により突然変異を基にした新種育成もまれに行われている。原産地では、皮や肉質色素がある系統様々な品種栽培されていて、近年日本国内においても、皮色や肉色色素がある品種生産されるようになっている。なお、以下の説明における「生食用」は家庭飲食店での調理素材であることを意味し非加熱食用とする意味ではない。 男爵薯(だんしゃくいも生食用品種球形近く肉色白色で粉質。英名は「アイリッシュ・コブラー(Irish Cobbler,「アイルランド靴直し職人」)」といい、1876年ごろにアメリカで赤い「アーリーローズ」の白色変異種として発見され発見者にちなみ命名されたと伝えられているが、近年の調査で「アーリーローズ由来説否定されており、何らかの雑種由来考えられている。明治時代1908年川田龍吉男爵イギリスから持ち込んで日本定着させた品種品種正体が「アイリッシュ・コブラー」であることは後に判明した)。デンプン含有量は約15%と多くホクホクした食感得られるが、長時間煮ると煮くずれしやすいため、粉吹き芋マッシュポテトコロッケなど潰してから使う料理適している。部分大きく窪んでおり、でこぼこした形状なので皮をむきにくい。主に、東日本主流品種である。花は薄い紫色雄性不稔のため父親とはならないが、直接母としてキタアカリ」「農林1号」などがあり、交配によらないものとしてプロトクローンから「ホワイトバロン」が選抜された。 メークイン 生食用品種。英名は "May Queen" で、春においしくなることから名付けられとされるイギリス民間栽培されていたのが1900年登録され大正時代日本持ち込まれ品種北海道厚沢部町道立試験場初め栽培されたことから、同町はメークイン国内発祥の地として自認しており、毎年夏祭り世界最大コロッケ揚げPRしている。 粘質で、煮くずれしにくいため、カレーシチュー肉じゃがなど、煮込み料理適している。花色白斑入り紫色で、卵形腎臓形楕円形状で、皮が黄色く肉質淡黄色凸凹少なく、皮は剥きやすい。主に西日本での消費が多い。世界的に見ても、特に日本人気ある種イギリスでも今日では忘れ去られている)。「メイクイーン」と呼ばれることも多いが、品種名としてはメークイン正しい名前である。花は紫色雄性不稔長年派生種存在しなかったが、21世紀に入って俵正彦により突然変異から「タワラ小判」「タワラ長右衛門宇内」が選抜された。 キタアカリ 生食用品種北海道品種花色赤紫は偏球形で、皮が白黄色肉色黄色味を帯びデンプン含有量17%で粉質。男爵薯を母親としてジャガイモシストセンチュウ抵抗性付与させて農研機構(旧農林水産省北海道農業試験場)で育成したもので、1987年品種登録された。カロテンビタミンC含有量が多い。男爵同様に煮崩れしやすく、粉吹き芋マッシュポテトポテトサラダコロッケ向いている。独特の甘味と、ほっくりした食感がある。 コナフブキ でんぷん原料用品種農林認定ばれいしょ農林26号)。日本において男爵薯についで生産量の多い品種で、北海道のみで作付されている。ジャガイモ最大害虫とされるジャガイモシストセンチュウ対す抵抗性持たず近年生産量減らしている。 とうや 生食用品種品種名北海道洞爺湖由来し、皮と肉色から別名「黄爵」(こうしゃく)ともよばれるジャガイモシストセンチュウ抵抗性およびウイルス病 (PVY) 耐性および大粒早出し目標として、農研機構(旧北海道農業試験場)で育成され1995年品種登録された。花色白色は皮は褐色がかった黄色で、内部肉色黄色くカロテンビタミンC含有量がやや多い。デンプン含有量15%でやや粘質、煮物適しており、揚げ物には向いていない。 ワセシロ 生食加工用品種。北海道立根釧農業試験場育成され1974年品種登録新じゃがポテトチップ材料として使用される。 トヨシロ 加工用品種品種名は、収穫量が豊富で肉質白色であることから命名された。北海19号エニワ交配種で、1976年品種登録デンプン含有量は16.3%でやや粉質、油加工変色しにくく、ポテトチップ材料として生産されている品種花色白色で、扁円形、皮は淡黄白色をしている。風味男爵薯に較べると劣るといわれるが、揚げる男爵比べ色合い良いホッカイコガネ 生食用品種。「トヨシロ」を母、「北海51号」を父として交配され品種で、1981年品種登録花色は淡赤紫色メークイン似た長楕円形で、皮は淡褐色肉質はやや黄色みを帯びている。デンプン含有量16%でやや粘質、煮崩れしがたく、煮崩れ対す強さメークイン上回る。また油加工でも変色しにくく、フレンチフライ主力品種になっている収穫時期メークインより遅いので、その代替品として店舗に並ぶことも多く、「黄金メーク」「コスモメーク」などの別名でも呼ばれるインカのめざめ 2002年日本育成され種苗登録され品種花色紫色で、小粒卵形、皮は黄褐色肉色黄色みの強い。アンデス産の小粒食味良い種(S. tuberosum ではなく2倍体の P. phureja)と、アメリカ品種 Katahdin の半数体交配させ、日本長日条件下で栽培できるように開発した2倍体品種2倍体ジャガイモ品種日本初)。デンプン含有量18%で粉質と粘質の中間甘み強くサツマイモ似た濃厚な味となめらかな口当たりをもつなど食味はよく、製菓材料にも使われる収穫量少なく病虫害に弱いことから他の品種比較して栽培難しい。また発芽しやすく、長期保存には不向きである。生食用品種として人気高まってきているが、生産量少なくジャガイモの中では高価である。北海道十勝地方幕別町などが主産地である。長期冷蔵貯蔵によりさらに糖度増加した物もあり、近年ではその風味生かした本格焼酎原料にもなっている。 デジマ 長崎県総合農林試験場交配育成され暖地向け二期作用品種で、1971年昭和46年)に品種登録された。品種名江戸時代外国への窓口であった長崎出島因んだもの。長崎県中心に四国九州地域多く栽培される花色白色で、扁円形、皮は淡黄色肉色黄白色。デンプン含有量春作が約11%、秋作は約13%で、秋作の方が粉質傾向がある。煮物から揚げ物まで広範囲利用され適度に煮崩れし美味だが、明るい所では緑化しやすい農林1号 日本馬鈴薯として第1号登録され品種花色白色で、は扁楕円形、皮は黄白色で肉質は白い。やや粉質で、デンプン含有量は16.6%あり、粉ふきなどに向く。 ニシユタカ 長崎県をはじめとした九州赤土作られる主要品種の一つ浅くて窪み少ない。長崎県総合農林試験場交配育成され1978年昭和53年)に品種登録された。親は母がデジマ、父が長系65号短く直立肥大性良多収栽培しやすい品種。やや粘質で、煮崩れしにくく甘味もある。 ラセット・バーバンク 英名は “Russet Burbank potato”。1875年アメリカ合衆国種苗ルーサー・バーバンク開発したバーバンク』の突然変異により1910年ごろに誕生大きくなるためフライドポテト向き日本へも加工品多く輸出されている。 日本では環境違いから収量得られ栽培されていないため、もっぱら加工品輸入頼っている。 “Russet” は、「ザラザラした」という意味で、表面の特徴因む。ラセット・バーバンク以外にもラセット・レンジャー、ラセット・ノーコタ、ノーキング・ラセット、シェポディーなどの品種があり、これらを総称して「ラセット種」「ラセットポテト」などと呼ぶ。これらラセット種は、アメリカで最もポピュラー品種である。 シンシア 仏名は “Cynthia”。フランスジャガイモ育種販売会社であるジェルミコパ社により育成され1996年登録され品種日本では2003年2月品種登録された。他の品種比べ卵形シンプルな形状をしており、切り口は薄い黄色をしている。粘質で貯蔵性に優れ煮物にしたときの煮崩れ少ない。生でスライスしてサラダにも使われるアンデス赤(アンデスレッド、レッドアンデス) 皮が濃い赤色をした小さめの扁卵形で、切り口黄色くねっとりした食感濃厚な甘味特徴品種1971年から1974年にかけて川上幸治郎らがアーリーローズを母、アンデス原産2倍体栽培種「S.phureja 253」を父として交配し「M72218」の名で選抜育成していた3倍体種間雑種系統が出やすい。春作よりむしろ秋作適し岡山県牛窓町ばれいしょ採種農家在来種として栽培繰り返し維持してきた。紅色抗酸化作用があるアントシアニンを含む。デンプン含有量男爵いも並みで、ホクホクした粉質で、フライポテトサラダコロッケポタージュに向く。派生種として、麒麟麦酒が本種のプロトプラスト培養から選抜した「ジャガキッズ」、俵正彦が突然変異から選抜したタワラマガタマ」「タワラヨーデル」がある。 シェリー 皮が赤色で、形がメークイン似た長楕円形特徴品種。粘質で煮崩れしにくく、シチュー煮物料理に向く。皮が薄いため、皮ごと食べられる紅丸(べにまる) デンプン含有量が14.8%と多く、主にデンプン採取用に栽培される品種花色白色卵形で皮は淡紅色肉質白色であるが淡赤色斑入りもある。食味は冬を越すと甘くなる

※この「主要品種」の解説は、「ジャガイモ」の解説の一部です。
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