オキサゾラム
オムス:トッカータ
トッカータ
バッハ:トッカータ ト短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ ト短調 | Toccata g-Moll BWV 915 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1843年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
トッカータ楽章は、華やかな走句で幕を開ける。以下は複縦線で緩やかに区切られ、全体では4セクションから成る。深刻なレチタティーヴォ風のアダージョ、舞曲風の明るいアレグロ、再びレチタティーヴォに戻って終止する。
続くフーガでは、主題の反行形、逆行形をも用いた厳格な対位法が展開される。付点リズムのみで構成される主題は、一時も途切れることがなく、まったく緩みのない重厚なテクスチュアを生む。これは190小節ものあいだ続き、そもそも演奏の易しくないこのフーガをますます近づきがたいものにしている。しかし、フーガ主題はきわめて聞き取りやすく、推進力を持っていて、聴く者を退屈させない。前半の舞曲風セクションやレチタティーヴォとの対比があいまって、演奏効果の高い作品に仕上がっている。
バッハ:トッカータ ト長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ ト長調 | Toccata G-Dur BWV 916 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1867年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
急速な冒頭楽章、並行短調によるアダージョ、そしてジーグ風のフーガという3楽章構成は、いっけん《イタリア協奏曲》を思わせる。実際、ある手稿資料では「協奏曲あるいはトッカータ」と題されており、そのばあい冒頭楽章では十六分音符のパッセージをソロ、三和音群をトゥッティとみなすことになるが、どちらもあまりに短く、まるで息切れするように長続きしない。むしろこうしたフレーズは、ドイツの伝統的なトッカータやプレリュードに見出されるものである。また、緩徐楽章とフーガにはトゥッティとソロの交代らしきものがないことから、協奏曲というのはあくまで見かけ、ないし解釈上のちょっとしたヒントとみなすべきだろう。
緩徐楽章冒頭左手の三和音は、前楽章の主題後半部を意識したと思われる。真の主題は5小節目のアルトにようやく現れる。模倣は厳格ではないが、はじめは装飾性の豊かな旋律の核となり、のちには息の長い掛留の対旋律に主題が浮かび上がる。
フーガの主題は付点リズムとトッカータ風の下行走句を組み合わせたもの。最後は3オクターヴを一気に駆け下りて終わる。この楽章、また冒頭のトッカータ楽章でも同様であるが、最終小節で八分音符ひとつのあとを休符で埋め、あまつさえフェルマータが付けられているのには、きわめて重要な意味がある。最後の音は装飾をつけたり、未練がましく引き伸ばしたりしてはならない。作曲家はあくまで、いささか唐突な離別ないし消滅をここで意図しているからである。
プロコフィエフ:トッカータ ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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プロコフィエフ:トッカータ ニ短調 | Toccata Op.11 | 作曲年: 1912年 出版年: 1913年 初版出版地/出版社: Jurgenson |
作品解説
※調性表記で、「ハ長調」となっている資料が多いとのご指摘をコメント欄にいただきました。事典編集部では本曲はニ短調(少なくとも「ハ調」ではない)であるという見解でしたが、複数資料をあたって「ハ長調」という表記が多い状況を確認しましたので、この件についての調査を行いました。調査報告は下記です。
http://www.piano.or.jp/enc/news/2009/07/30_9112.html
「トッカータ」は、おもにバロック期において、ファンタジーやプレリュードなどと同様に好んで作曲されたジャンルであり、鍵盤楽器用のトッカータは即興的な速いパッセージを特徴とする。バロック期以後、このジャンルは他の楽曲ジャンルの中に取り込まれて次第にその名は影を薄めていった。シューマンは『トッカータ』Op.7、リストは『トッカータ』S.197aをそれぞれ残しているが、これらは19世紀の代表的なピアノ作品においては数少ない例である。
プロコフィエフはシューマンの『トッカータ』に触発されて、1912年にこの『トッカータ』Op.11を作曲したという。プロコフィエフの『トッカータ』は、同音連打によって特徴づけられた楽曲のように思われるが、オクターヴや重音によるパッセージの連続は、たしかにシューマンの『トッカータ』からの影響を想起させる。
左右の手が重なる音域や、跳躍して交差する音域が選ばれ、密集した音響によって特徴づけられた部分から、音域を上下いっぱいに反行しながら拡大した開放的な音響へといたってクライマックスを築き、5オクターヴのグリッサンドによって楽曲が締めくくられる。
バッハ:トッカータ ニ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ ニ短調 | Toccata d-Moll BWV 913 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1801年 初版出版地/出版社: Hoffmeister & Kühnel |
作品解説
この曲が「トッカータ第1番」と呼ばれるのは、そのように書き込まれた手稿資料が複数存在するためであり、また7曲のうちではもっとも早く1801年に出版されているからかも知れない。
導入のトッカータ部分、Thema(資料によってはPresto)と題されるフーガ部分、短い動機を連ねた緩やかな推移部、再びフーガ部が始まり、トッカータ風のコーダで終結する。複縦線に従うなら4部構成だが、最後のコーダによって、伝統的な T-F-T-F-T に近い形になっている。
もっとも、最初のトッカータ・セクションでは、第15小節の休符を境にテクスチュアががらりと変化する。さらに言うならばその前の導入部分も、ペダル・バス風に始まり、音階で一気に駆け下り、溜息動機でしばらく進んだのち、ふたたび音階の走句が散りばめられるといった具合で、多様なものが並置されている。
フーガの主題はすでに、トッカータ・セクション後半で準備されている。ただし、Thema とされる最初のフーガ・セクション冒頭は、一般的な主題提示と5度関係での応答ではなく、8度上でなし崩しに模倣されるに留まっており、全体にフーガとしては自由な書法になっている。この印象的な主題は、リズム形を組み替えたり反行や逆行じみた変奏を加えられたりして、いたるところに顔を出したのち、推移部分にも素材を提供する。
2回目のフーガも8度の模倣で始まるが、明確な対主題をもっている。フーガの展開は、最初のThemaに比べれば、より緻密な構成がなされている。
主題は最後の分散和音によるコーダに入っても完全に失われることはない。歯切れの良いリズムがここでは模続進行の流れの中に溶かされて、やがて断片的に浮かび上がり、主題の回帰への期待感を高める。そして最後の3小節でいよいよ主題が再提示されて終結する。
この作品には当時のオルガン音楽の常套句(ペダル・バス、鍵盤の幅をいっぱいに使う音階の走句、分散和音による模続進行等)があふれかえっており、それらの繋ぎ目にややぎこちなさを感じるところもある。しかしこれを統一するのが、Themaにはっきり提示されるリズム形である。動機による統一が見られるのは、7曲中この作品のみである。
バッハ:トッカータ ニ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ ニ長調 | Toccata D-Dur BWV 912 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1843年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
音階の走句による導入、アレグロ、アダージョに続くフーガおよびトッカータ風のコーダ、そしてジーグ風のリズムによるフーガとコーダから成る。複縦線に従うなら4部分だが、書法の上ではより多様なものが並置されている。
アレグロ部分はロンドのように冒頭の主題が回帰する。その間では、右手と左手はそれぞれのパッセージをまるでキャッチボールのように交換する。
アダージョでは、アレグロの明るさが徐々に翳り、急激な下行音階で朗唱が分断され、様々な調を経て短調のフーガを目指す。なお、ここに見られる両手のトレモロは、バッハが初期においてのみ用いた音型で、後年に改訂の機会があればこれを削除した。従って、この作品は作曲も改訂もかなり早い時代に行われたとみられる。
最初のフーガは半音階主題で、2つの対主題をもつ。これら3つが様々な声部に現れ、転回対位法が厳格に実施される。やがて、アダージョで鋭く介入した音階の走句が再び登場して、調の遍歴が始まるが、次第に明るさを増し、一六分の六拍子による軽快なフーガにたどり着く。
このセクションは、三度音程を行きつ戻りつする主題とギャロップする対主題を持つが、対位法よりもむしろ和声の変化によって形成されている。トニカとドミナントの五度関係よりも同主短調関係や三度の関係で進む和声は、きわめて斬新に響く。巧みな転調と絶え間なく続く一六分音符に隠されているが、調は嬰ト短調にまで到達する。
コーダでは三和音が倍速の分散和音にほどけてゆき、速度を増して一気に鍵盤を駆け下りるが、理性的なカデンツで再び上行して終止する。
なお、アダージョ部に見られる両手のトレモロは、バッハが初期においてのみ用いた音型である。後年のバッハはトレモロを好まず、改訂の機会があれば削除していった。従って、この作品は作曲も改訂もかなり早い時代に行われたとみられる。
バッハ:トッカータ ハ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ ハ短調 | Toccata c-Moll BWV 911 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1839年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
複縦線の区切りを持たないが、標語によって以下のように分かれる。トッカータ導入部(第1-12小節)、アダージョ(第12-33小節)、アレグロと題される長大なフーガ(第33-170小節、アダージョのカデンツ(第85小節)を中間に置く)、そしてアダージョとプレストによるコーダ(第171-175小節)である。
全体に模続進行やリズム型の反復がふんだんに用いられ、やや古めかしいスタイルになっている。それでもバッハの生み出したメロディの美しさは格別で、フーガにおいてはテクスチュアと音域の変化が旋律にさまざまな光と陰を投げかけている。
シューマン:トッカータ ハ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューマン:トッカータ ハ長調 | Tocccata C-Dur Op.7 | 作曲年: 1829-32年 出版年: 1834年 初版出版地/出版社: Hofmeister |
作品解説
シューマンがまだ19歳の時に作曲されたが、後に何度か手を加えて、1832年に完成されている。シューマンには珍しい、技巧を追及した1曲で、はじめはピアニストを志していたというシューマンだけにかなり弾きにくく込み入って書かれている。ピアニストを大いに悩ませる曲だが、ピアニストの自慢の技巧を披露する曲にもなっている。
僅か2小節のシンコペーションのリズムが力強く登場して曲は開始され、このリズムをモチーフに細かい機械的な運動が続いていく。中間部はイ短調に転じて、オクターヴの細かい連打によるメロディーが活躍する。全体にかなり活気溢れた運動性の強い曲だが、叙情的なメロディーや緻密な和声、対位法的書法までもが盛り込まれ、変化に富んだ様々な作曲技法が光る名曲である。
バッハ:トッカータ ホ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ ホ短調 | Toccata e-Moll BWV 914 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1839年 初版出版地/出版社: Peters |
作品解説
導入、アレグロ、クロマティックな走句を披露するアダージョの3セクションによる前半楽章と、長大な主題を持つフーガ楽章から成る。
前半は、トッカータに典型的な走句をもたず、比較的ゆるく控えめな始まり方をする。アレグロでは、冒頭で二つの主題が同時に提示され、明澄なテクスチュアながら二重フーガを展開する。これに半音階的な装飾をもつ華やかなアダージョが続く。
フーガは、真作であるには違いないが、ナポリ音楽院に伝わる古い手稿資料にそっくりの主題を持つフーガがあり、バッハはこれを借用したと見られている。跳躍を繰り返す音型は、複数の弦をまたいで演奏するヴァイオリンの典型的な語法である。
バッハ:トッカータ 嬰ヘ短調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:トッカータ 嬰ヘ短調 | Toccata fis-Moll BWV 910 | 作曲年: 1707-13年 出版年: 1837年 初版出版地/出版社: Trautwein |
作品解説
トッカータ風導入部とアリオーゾ風アダージョ、「急速に、切り離して Presto e Staccato」と題されるフーガ、レチタティーヴォ風の推移部、そして半音階主題のフーガの4部分から成る。
最初の推移部であるアダージョは、二分の三という古めかしい書き方がされているが、テンポは決してそれほど遅いわけではない。半音階をふんだんに散りばめ、さまざまな調を渡り歩いてゆく。
続いて、全音階を順次下行するだけのフーガ主題は、バッハのものとしては珍しいほどにシンプルだが、きわめて判りやすくエネルギーに満ちている。二つ目の推移部はほとんど同じリズム形を繰り返し用いており、和声進行も短調なため、やや冗長に聞こえる。
最後のフーガは、シャコンヌ風のリズムと半音階で4度下行する主題を持つ。このテーマはまるでラメント・バスのように響き、フーガに哀愁を与えている。
トッカータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/02 08:27 UTC 版)
トッカータ(伊 toccata)とは、主に鍵盤楽器による、速い走句(パッセージ)や細かな音形の変化などを伴った即興的な楽曲で、技巧的な表現が特徴。toccataは動詞toccare(触れる)に由来しており、オルガンやチェンバロの調子、調律を見るための試し弾きといった意味が由来である。最初期の鍵盤用トッカータは16世紀中ごろに北イタリアで現れた。
- 1 トッカータとは
- 2 トッカータの概要
- 3 古典期以降
トッカータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 15:02 UTC 版)
「トッカータとフーガヘ長調」の記事における「トッカータ」の解説
トッカータは、ヘ長調の主音保続音上の大きな線形カノン(上記の最初の6小節)から始まる。その後カノンの旋律に基づいたペダルソロが続く。カノンは、ハ長調のドミナントでいくつかの変奏を伴って繰り返される。今度は手を入れ替え左手が右に進み、再び長いペダルソロが続く。2つの大きなカノンの展開はこの曲のの108小節を占めている。ペダルソロは60小節。コンチェルトは7つの部分から構造されている。カノンとペダルソロは、主調であるヘ長調から属調のハ長調への転調をもたらし、残りの部分は、コンチェルトの3パートの模倣や印象的な「プロトワルツ」とともに、主調への回帰を構成している。このような形式のパターンは、バッハ作品内でもユニークなものである。 ヘルマン・ケラー(英語版)は、その歓喜を次のように表現している。「冒頭の2声カノンによる直線的な構成、ペダルソロの誇らしげな落ち着き、突き刺すような和音の一撃、3つの短調主題の内面性、有名な七の和音の第三転回形での終わりの素晴らしさ、これに魅了されない人がいるだろうか?」 前奏曲としてのトッカータは、前奏曲とフーガという形式のバッハのすべての作品の中でも割合として最大のものである。それはしばしばフーガを省略した小品としても扱われる。トッカータのリズムはパスピエやミュゼットを思わせるが、その堂々とした音階はこれらの特徴を裏付けていない。 和声的な冒険性もない。2度目のペダルソロの45小節後に、ナポリの六度の第三転回形で一見セカンダリードミナントに解決する属和音がある。特に、主音は半音階で半進行し外側の長九度に移動し、低音は半音下降し予想される五度からかけ離れた動きをしている。バッハはこの強力な偽終止を作品に3度使用しているが、これが慣用的になるのはショパンやチャイコフスキーの頃になってからである。
※この「トッカータ」の解説は、「トッカータとフーガヘ長調」の解説の一部です。
「トッカータ」を含む「トッカータとフーガヘ長調」の記事については、「トッカータとフーガヘ長調」の概要を参照ください。
トッカータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 15:00 UTC 版)
「トッカータ、アダージョとフーガ」の記事における「トッカータ」の解説
※この「トッカータ」の解説は、「トッカータ、アダージョとフーガ」の解説の一部です。
「トッカータ」を含む「トッカータ、アダージョとフーガ」の記事については、「トッカータ、アダージョとフーガ」の概要を参照ください。
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