刑罰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 03:42 UTC 版)
刑事手続における刑罰
日本
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日本における現行法における刑罰は主刑と付加刑とに分けられる(刑法9条)。付加刑とは主刑の言渡しに付加してのみ言い渡すことができる刑罰を言う。
刑種 | 内容 | 分類 | |
---|---|---|---|
主刑 | 死刑 | 刑事施設内において絞首(刑法第11条) | 生命刑 |
懲役 | 刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる(刑法第12条) | 自由刑 | |
禁錮 | 刑事施設に拘置する(刑法第13条) | ||
罰金 | 原則一万円以上の財産刑(刑法第15条) | 財産刑 | |
拘留 | 一日以上三十日未満刑事施設に拘置する(刑法第16条) | 自由刑 | |
科料 | 千円以上一万円未満の財産刑(刑法第17条) | 財産刑 | |
(労役場留置) | 罰金・科料を完納することができない者は一定期間労役場に留置する(刑法第18条) | (換刑処分) | |
付加刑 | 没収 | 一定の物件の没収(刑法第19条) | 財産刑 |
(追徴) | 没収物件の全部又は一部を没収することができない場合、 その価額を追徴することができる(刑法第19条の2) |
主刑の軽重は上に掲げる順序による。ただし、無期禁錮と有期懲役とでは無期禁錮を重い刑罰とし、有期禁錮の長期(当該犯罪の刑期の最長期間をいう)が有期懲役の刑期の2倍を超えるときも、禁錮を重い刑罰とする(同法10条1項)。
これらの刑種は、死刑を別として、懲役・禁錮・拘留を自由刑、罰金・科料・没収を財産刑と大きく分類される。なお、罰金ないしは科料を完納することができない場合には、労役場に留置されることとなる。
なお、比較的軽度の刑罰に対しては、刑の執行を一定の期間猶予し、その間犯罪を犯さないなどの条件を満たす場合には刑の言い渡しの効力を失わせる執行猶予という制度が設けられている。執行猶予は3年以下の懲役・禁錮、50万円以下の罰金に対して付すことが可能であり、これによって、短期の自由刑については、刑事施設内での処遇の弊害を回避しつつ、社会内で一定の心理的強制力を対象者に及ぼしつつ更生を図らせることが期待されている。これに対して執行猶予が付されない場合は俗に実刑と呼ばれる。
2022年3月8日現在、懲役刑と禁固刑を一本化し新しい刑罰として拘禁刑の導入が検討されている。もし実現すれば1907年に現行刑法が定められて以来初めて刑罰の種類が変更されることになる[6]。
韓国
韓国の刑法では9種の刑罰が定められている(韓国刑法41条)。
- 死刑
- 懲役
- 禁錮
- 資格喪失
- 資格停止
- 罰金
- 拘留
- 科料
- 没収
国際刑事裁判所
国際刑事裁判所(ICC)の刑事手続には死刑はなく最高刑は終身刑である[7]。ヨーロッパ諸国は死刑を認めるべきでないとの立場に立っていたのに対し、主にアラブ諸国は最も重大な犯罪であるにもかかわらず死刑を科さないことに反対があったため、国際刑事裁判所に関するローマ規程第80条は各国の国内法に定める刑罰の適用を妨げるものではないことを特に規定している[7]。
刑罰の種類は主刑としての自由刑と付加刑としての財産刑である[7]。自由刑として「最長三十年を超えない特定の年数の拘禁刑」及び「犯罪の極度の重大さ及び当該有罪の判決を受けた者の個別の事情によって正当化されるときは終身の拘禁刑」が定められている(国際刑事裁判所に関するローマ規程第77条1)[7]。また財産刑には「手続及び証拠に関する規則に定める基準に基づく罰金」及び「直接又は間接に生じた収益、財産及び資産の没収」(善意の第三者の権利を害することのないように行うことが条件)が定められている(国際刑事裁判所に関するローマ規程第77条2)[7]。
国際刑事裁判所は独自の刑事施設を有していないため刑の執行について各国の協力を得る必要がある[8]。
拘禁刑の執行については、刑を言い渡された者を受け入れる意思を裁判所に対して明らかにした国の一覧表の中から国際刑事裁判所が指定する国において執行されるが、指定がなされない場合には接受国(オランダ)が提供する刑務所において執行される(国際刑事裁判所に関するローマ規程第103条)[8]。
罰金及び没収の執行については、国際刑事裁判所の命令に基づき、締約国の国内法の手続に従って執行される[9]。
- ^ 川端博 2006, p. 665.
- ^ 前田雅英 2007, p. 2.
- ^ a b c d e 大谷實 2009, p. 105.
- ^ a b c d e f g 大谷實 2009, p. 106.
- ^ a b c d 大谷實 2009, p. 112.
- ^ “「拘禁刑」新設を閣議決定 懲役と禁錮を一本化、刑務作業なしも可に”. 朝日新聞デジタル (2022年3月8日). 2022年5月13日閲覧。
- ^ a b c d e 村瀬信也 & 洪恵子 2014, p. 242「ICCの刑事手続の特質」高山佳奈子執筆部分
- ^ a b 村瀬信也 & 洪恵子 2014, p. 243「ICCの刑事手続の特質」高山佳奈子執筆部分
- ^ 村瀬信也 & 洪恵子 2014, p. 244「ICCの刑事手続の特質」高山佳奈子執筆部分
- ^ “治安の悪化は本当か?――つくられたモラルパニック”. 「NO!監視」ニュース 【第6号】. 監視社会を拒否する会 (2004年1月30日). 2018年4月23日閲覧。
- ^ a b c 青木五郎、司馬遷『新釈漢文大系115 史記 十三(列伝 六)』明治書院、2013年12月10日、2頁。ISBN 978-4625673184。
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