雑劇
元雑劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 03:04 UTC 版)
元代は演劇が非常に発達した時代であり、続く明代前期にかけて、三国説話を題材とした劇も多数演じられた。元雑劇は白(セリフ)と唱(うた)から構成され、明代に成立した『脈望館鈔校本古今雑劇』『元曲選』などに多くの作品が収められている。史実に基づく話もあるものの、全体的に筋は荒唐無稽で、張飛が大活躍する物語が多い。次いで関羽が活躍するものが目立つ。言葉遊びや登場人物同士の掛け合いなど舞台ならではの要素も多く、『三国志平話』や『演義』に引き継がれなかった独自のストーリーを持つものも少なくない。また講談を聞くだけでは想像するしかなかった英雄達の容姿や服装・武器などが、演劇では目に見える形で表現されており、それぞれの人物のイメージとして定着していく。
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元雑劇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/02 15:37 UTC 版)
元の雑劇は「折」と呼ばれる幕から構成される。通常ひとつの劇は4折から構成される(まれに5折、ごく例外的に6折)。ほかに「楔子」(せっし)と呼ばれる序に相当する部分が加わることも多い。 ひとつの折の中では同じ調の曲を用い、その順序にも一定の傾向がある(たとえば第1折は原則として仙呂・点絳唇で始まる)。また、ひとつの折を通じて同じ韻を使う必要がある。 劇の登場人物は「末」(男性、正末・沖末などに分かれる)、「浄」(男性の乱暴者や悪役)、「旦」(女性)、「丑」(道化)、「外」(老人)などの役柄がある。原則として歌うのはひとりだけである。 劇の題材は古来の有名な物語に取材したものが多いが、原作から大幅に話が変わっているものが多い。また、語り物や歌い物を演劇に仕立て直した作品も多い。 ほとんどの劇はハッピーエンドで終わる。有名な『竇娥冤』『漢宮秋』などは例外的に悲劇である。 雑劇は明以降も作られたが、演じられる劇としては元末以降南曲が優勢となり、雑劇は演じられる劇から読むものへと変化していった。 元代のテクストがそのまま残っているものは例外的で、現存する雑劇のほとんどは明代の修正を経ている。元雑劇の選集でとくに有名なのは17世紀はじめの臧懋循『元曲選』(元人百種曲)であり、この選集は(『西廂記』以外の)代表的な作品を含んでいて、芸術性も高く、かつ読みやすく整っているが、他のテクストとは文章が異なっていることが多く、元時代のオリジナルからは離れていると考えられる。
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