接続水域とは? わかりやすく解説

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接続水域

読み方:せつぞくすいいき

公海のうち、国の領海接している一定範囲海域外国船の取り締まり目的として接続水域を設置することが国連海洋法条約により認められている。

せつぞく‐すいいき〔‐スイヰキ〕【接続水域】


接続水域

読み方せつぞくすいいき
【英】: contiguous zone

沿岸国は、外国船舶による密輸入密入国伝染病侵入などを阻止するために海上取り締まり行っているが、船舶速度増加につれて有効な取り締まり困難になってきている。そのため、沿岸国は、自国領土または領海内における通関上、財政上、出入国管理上、衛生上の法令違反防止し自国領土または領海内で行われた前記法令違反処罰するために、領海接続する外側海域取締りのための水域設置することが認められている。これを接続水域という。
接続水域の範囲について1958 年領海条約では、領海基線から 12 海里超えて拡張することができないとされていた。しかし、国連海洋法条約では、領海の幅の最大限12 海里したため、接続水域の範囲領海基線から測って 24 海里超えて拡張することができない修正された。

接続水域

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/02 06:49 UTC 版)

それぞれの水域を示す図(立体図)
それぞれの水域を示す図(平面図)

接続水域 (せつぞくすいいき) とは、領海の外縁にあり、基線から24海里の範囲で沿岸国が設定する水域のこと[1]

沿革

領海外側での国内法令執行

1736年にイギリス密輸取り締まりのために徘徊法を制定し「関税水域」を設定されて以降、自国領海の外側の水域において適用される国内法令を制定する国々が現れるようになった[2]。1790年にはアメリカ合衆国が、1791年にはフランスも「関税水域」を定めている[2]。1804年にはアメリカ合衆国最高裁が「自国への侵害を防止する国家の権限は領海の限界を超えて行使することができる」という決定を下し、1932年にはイギリス枢密院司法委員会も「自国領海の通常の限界をこえて、一定距離の沿岸海域に影響を及ぼす法令を制定しうるものと長い間認められてきた」とした[2]。1930年に国際連盟が開催した国際法法典化会議では条約の必要性や権限行使のあり方について各国意見は一致しなかったが、イギリス日本など一部の国を除き接続水域の制度自体は多くの国からの支持を得た[2]

国際制度成立

1958年に採択された領海条約第24条では、沿岸から12海里の範囲内で沿岸国が規制権を行使することができる水域として、接続水域の制度を認めた[2]。この規定がおかれた当初は沿岸国の領土領海において実行された国内法令違反を接続水域において取り締まる趣旨で解されていたが、各国は次第に自国の権限を拡大していき、接続水域において実行された法令違反をも取り締まることができるとする傾向が強まっていった[2]。1982年の国連海洋法条約では領海が12海里までとされたことに伴い、接続水域は24海里まで拡大された[2]

沿岸国の権限

接続水域で国家通関財政出入国管理衛生に関する法令の違反について防止や処罰を目的とした措置をとることができる[3]。ただし国家の安全に対する侵害行為に対する規制は接続水域制度の対象には含まれていない[3]。かつて国家の安全も接続水域制度の範疇に含めるべきとする主張も一部あったが、国家の安全という概念があいまいであることや、そのような事態に対しては通関・衛生上の国内法令や自衛権行使によって対処すべき場合が多いという理由で賛同を得られなかったためである[3]。接続水域で沿岸国が外国船舶に対して規制を行うことができるのは、上記のような国内法令の違反が領土内水領海において行われることが事前に想定される場合にこれを予防するため、または、すでに領土、内水、領海で国内法令違反が実行された場合にこれを処罰するためである[3]

沿岸国の規制権のあり方について2つの異なる立場がある[3]。(a)ひとつは、接続水域は本質的には公海であり、沿岸国が領海において国内法令違反船舶に対してしうるような拿捕逮捕などといった強制措置を含めてはならず、検査や警告など予防的警察活動にとどめるべきとする立場である[3]。(b)もうひとつは、目的が限定されている点を除いて沿岸国は領海と同様の排他的管轄権を有するため、目的の範囲内であれば拿捕や逮捕といった強制措置も行うことができるとする立場である[3]。つまり争点は、外部から領海に向かってくる船舶に対して国内法令違反がいまだ発生していないにもかかわらず強制措置をとることができるか、という点である[3]。一般的には(a)の立場が有利に解されており、規制対象船舶は領海や内水に侵入していない以上違反行為の実行の着手はまだ無いと見るべきであることから、関税賦課貨物の積み替えや徘徊、沿岸国の予防措置に対する実力行使に対して規制する場合を除き、沿岸国の権能は予防措置に留まり、強制措置まで含まれないといえる[3]

脚注

  1. ^ 筒井(2002)、213頁。
  2. ^ a b c d e f g 杉原(2008)、134-135頁。
  3. ^ a b c d e f g h i 山本(2003)、430-432頁。

参考文献

関連項目

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