一本足打法とは? わかりやすく解説

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いっぽんあし‐だほう〔‐ダハフ〕【一本足打法】

読み方:いっぽんあしだほう

野球の、打撃フォームの一。投手動き合わせ打者投手側の足を高く上げてタイミングを取るもの。日本プロ野球では、巨人活躍した王貞治打撃フォームとして知られる

ただ一つ事業企業全体支えていること。また、そのような経営方法一本足。「—経営」「飲料—からの脱却


一本足打法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/24 23:35 UTC 版)

一本足打法(いっぽんあしだほう) とは、野球[1]における打者バッティングフォームのひとつ。投手の投球フォームに合わせ、投手側の足(右打者は左足、左打者は右足)を上げ、軸足(右打者は右足、左打者は左足)だけで立って打つ打法である。

解説

片足だけで立つことからこう呼ばれる。片足で立ったままの姿勢を長く保つ打法は、一本足で立つ鳥のフラミンゴにたとえてフラミンゴ打法とも呼ばれる[2]。足を上げることによってボールを手元まで引きつけたり、打つタイミングを取りやすくなる[3]というメリットがある一方、下半身への負担が大きく、下半身の弱い選手は軸もぶれやすいため習得が難しい。上半身に頼らず、強靭な下半身とバランス感覚が要求される。

王貞治が用いたことで特に知られる。王に一本足打法を指導した荒川博は、駒田徳広ほか多くの選手に一本足打法を伝授しようとしたが、会得できた選手はほとんどいないという[4]巨人の監督を務めた川上哲治は一本足打法には否定的であり、二本足に戻すよう王に命じたことが何度かあるが、王本人の意向によって一本足は現役最後まで貫かれた[5]。川上は、ボールをとらえるタイミングを会得すれば元のフォームに戻すと思っていたのに、王が引退まで一本足打法で貫き通したことにはあきれさえ感じたと述べている[6]。すなわち、一本足打法が優れているのではなく[7]、王のバッターとしての資質が優れているのであり、この打法はそれを引き出すためのものにすぎないという考え方になる[8]

英語で一本足打法に相当する動作は"leg kick"[9][10]あるいは"leg lift"[11]などといい、特に足を高く上げる場合は"high leg kick"[9][12]などと表現される。この打法を用いた著名な打者として、英語圏ではメル・オットの名が王貞治とともにしばしば挙げられる[9][10][11][13][14]

メジャーリーグスカウトには、投手にバランスを崩される危険が高い打ち方だと評する声もある[15]。現役晩年の王貞治を見た真弓明信は、一本足打法を「スランプになるタイミングの取り方」と評している[16]

使用した選手

王貞治
秋山翔吾
高橋由伸
ホセ・バティスタ
山田哲人

フィクション選手

逆一本足打法

上記の打法とは逆に、投手と反対側の足(軸足)の側を高く上げ、投手側の足一本で立って打つ打法もあり、逆一本足打法と呼ばれる。

プロ野球ではワシントン・ナショナルズブライス・ハーパー北海道日本ハムファイターズ大谷翔平がこの打法で打ったことがある[38]高校野球では、2016年平成28年)の第98回全国高等学校野球選手権西東京大会で、投手が振りかぶった際に軸足を上げて立つ打法を用いた選手がいる[39]。元々軸足への体重移動が苦手で、試行錯誤の結果この打法に辿り着いたといい[40]、この打法により徐々に長打が出るようになった[41]。この選手は3年生となった翌2017年(平成29年)の第99回西東京大会1回戦にも出場し、再びこの逆一本足打法を用いたが、「早いフォームの投手にタイミングが取り切れない」として、最終打席では、2ストライクに追い込まれると、普通のフォームに切り替えた[42]

企業経営

転じて、企業経営において1つの事業・商品が企業の売上・利益のほとんどを稼ぎ出す状態も「一本足打法」と呼ばれる[43]

日本経済新聞社では、戦前から「一本足」という比喩が存在したところに、一本足打法による王の活躍があり、ちょうど同時期にポリエステル事業を主力に躍進した帝人と重ね合わせて「一本足打法」の表現が使われるようになったと分析している[44]

代表的な事例としては、アサヒグループホールディングスにおけるアサヒスーパードライが挙げられる。

脚注

  1. ^ ゴルフにおいても使われる事がある。https://www.sanspo.com/article/20171011-CGRQGCLIPBLHJB24UELIASHVGU/
  2. ^ “坂本悩んだ末…「1本足打法」で開幕”. 日刊スポーツ (日刊スポーツ新聞社). (2012年3月24日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20120324-922121.html 2017年7月21日閲覧。 
  3. ^ 王貞治氏 「力を伝えるための一本足打法」という誤解への解説
  4. ^ 王貞治の「一本足打法」は現代でも通用するのか? 習得できなかった男・駒田徳広の証言から読み解く
  5. ^ 王貞治氏 今明かした「一本足打法」の真実 756号は“不本意な一発”だった
  6. ^ 文春ビジュアル文庫「豪打列伝」長嶋&王の項より
  7. ^ 実際に王貞治も著書で「一本足打法は好不調の波が特に激しい打法」と認めている。
  8. ^ 王は一本足打法にしたことで1964年にシーズン55本塁打(当時は破格の数字)を達成したが、このことがあったため一本足打法を確立した。その後も一本足打法を続けて13年連続本塁打王、二年連続三冠王などと輝かしい記録を打ち立てている。
  9. ^ a b c d e Paul Dickson (2011). The Dickson Baseball Dictionary (Third Edition). W. W. Norton & Company. p. 502. ISBN 978-0393340082 
  10. ^ a b c d e Peter Morris (2010-04-16). A Game of Inches: The Stories Behind the Innovations That Shaped Baseball. Ivan R. Dee. p. 49. ISBN 978-1566638531. https://books.google.co.jp/books?id=j_zNttV8VSwC&pg=PA49&dq=%22harold+baines%22+%22leg+kick%22&hl=ja&sa=X&v=onepage 
  11. ^ a b c Clifton Blue Parker (2002). Big and Little Poison: Paul and Lloyd Waner, Baseball Brothers. McFarland & Company. p. 151. ISBN 978-0786414000 
  12. ^ a b “Kirby Puckett dies at 45”. MPR News. AP. (2006年3月6日). https://www.mprnews.org/story/2006/03/06/puckettobit 2018年5月20日閲覧。 
  13. ^ a b c d Steve Treder (2008年5月13日). “Daddy Wags”. The Hardball Times. FanGraphs. 2018年5月20日閲覧。
  14. ^ a b c Ira Berkow (1988年5月30日). “Sports of The Times; The Science of Socking It”. The New York Times. https://www.nytimes.com/1988/05/30/sports/sports-of-the-times-the-science-of-socking-it.html 2018年5月21日閲覧。 
  15. ^ メジャースカウト直撃。侍ジャパン「ほしい選手、いらない選手」
  16. ^ 【もう野球はできない】医者から言われた一言。 - YouTube
  17. ^ a b 秋山の連続試合安打更新ならず 同じ一本足打法、柳田と打率争い”. 47NEWS. 2015年8月31日閲覧。
  18. ^ 小関順二『プロ野球スカウティングレポート2014』廣済堂出版、2014年、72頁。ISBN 978-4-331-51810-6 
  19. ^ a b c d e f g 坂本悩んだ末…「1本足打法」で開幕”. nikkansports.com. 2015年3月11日閲覧。
  20. ^ 小関順二、西尾典文、泉直樹『プロ野球スカウティングレポート2008』アスペクトムック、2008年、72-73頁。ISBN 978-4-7572-1439-2 
  21. ^ 蛭間豊章 (2011年5月19日). “MLBロゴのモデルだった?キルブリューさん(第619回)”. nikkansports.com. 2015年3月11日閲覧。
  22. ^ 『連続写真で見る プロ野球 20世紀のベストプレーヤー 100人の群像』ベースボール・マガジン社、2000年。ISBN 4-583-61108-0 
  23. ^ 佐々木信也「球界インタビュー(第303回)完成した一本足 黒木基康」『週刊ベースボール』第20巻第25号、ベースボール・マガジン社、1965年6月、68-71頁。 
  24. ^ 小久保監督、柳田へ「キング打法」伝授”. nikkansports.com. 2015年3月11日閲覧。
  25. ^ 大豊さん「小遣いはたいて買った」本を励みに 一本足打法やめた理由は…”. Sponichi Annex. 2015年3月11日閲覧。
  26. ^ 小関順二、西尾典文、泉直樹『プロ野球スカウティングレポート2008』アスペクト、2008年、39頁。ISBN 978-4-7572-1439-2 
  27. ^ 阪神1位近本、中学時代から変わらぬ「1本足打法」”. 日刊スポーツ (2018年11月1日). 2021年6月8日閲覧。
  28. ^ Ted Berg (2017年8月28日). “Mike Trout Monday: Mike Trout went hitless in five straight games for the first time ever”. USA Today Sports. https://ftw.usatoday.com/2017/08/los-angeles-angels-mike-trout-monday-hitless-five-straight-uh-oh-but-wait-hes-still-good-mlb 2018年5月20日閲覧。 
  29. ^ 中田1本足解禁、立浪コーチOK/WBC”. nikkansports.com. 2015年4月3日閲覧。
  30. ^ 三塁打王・西川遥輝、現在「打率5割超え」 2015年、プロ野球の主役になれるか?”. ベースボールチャンネル. 2015年3月29日閲覧。
  31. ^ Rachel A. Koestler-Grack (2007). Kirby Puckett (Baseball Superstars). Chelsea House Publications. p. 57. ISBN 978-0791094976 
  32. ^ 【復活を目指して】橋本、“一本足”で悪癖修正”. スポーツ報知. 2016年1月10日閲覧。
  33. ^ The amazing journeys of Chris Davis and Jose Bautista”. Pittsburgh Sporting News (2013年6月14日). 2018年5月20日閲覧。
  34. ^ ソフトB松中「1本足打法」で逆襲誓う”. nikkansports.com. 2015年3月11日閲覧。
  35. ^ 山崎武司 (2015年9月17日). “細身のヤクルト・山田が打球を飛ばせるワケ “一本足打法”と驚異的確率の100点満点打撃 (2/2ページ)”. ZAKZAK. メッタ斬り 生涯ジャイアン. 産経新聞社. 2018年9月17日閲覧。
  36. ^ Jerry Remy, Corey Sandler (2008). Watching Baseball: Discovering The Game Within The Game. Lyons Press. p. 50. ISBN 978-0762748013 
  37. ^ 荒川さん最後の弟子中日にいた 育成ルーキー渡辺勝”. nikkansports.com. 2018年10月13日閲覧。
  38. ^ 本塁打量産の大谷翔平、破壊力の秘密は「逆一本足打法」にあり!?”. full-count (2016年8月6日). 2017年7月21日閲覧。
  39. ^ “【西東京】○○・○○、逆一本足打法再びもコールド敗戦 今後は○○大進学目指す”. Sponichi Annex (スポーツニッポン新聞社). (2017年7月9日). オリジナルの2017年7月21日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20170721002753/http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2017/07/09/kiji/20170709s00001002142000c.html 2017年7月21日閲覧。 ※選手名、高校名、志望大学名は伏せ字。
  40. ^ “逆一本足打法の○○高・○○、守備も珍!?”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2017年1月30日). http://www.hochi.co.jp/baseball/hs/20170130-OHT1T50040.html 2017年7月21日閲覧。 ※選手名、高校名は伏せ字。
  41. ^ “貫いた「逆一本足打法」~西東京”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2017年7月11日). オリジナルの2017年7月21日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20170721105436/http://www.yomiuri.co.jp/sports/hsb/feature/20170711-OYT8T50002.html 2017年7月21日閲覧。 
  42. ^ “【西東京】さらば、逆一本足打法!○○・○○の夏が終わった”. スポーツ報知 (報知新聞社). (2017年7月10日). http://www.hochi.co.jp/baseball/hs/20170710-OHT1T50013.html 2017年7月21日閲覧。 ※選手名、高校名は伏せ字。
  43. ^ 一本足打法(イッポンアシダホウ)とは コトバンクデジタル大辞泉)、2025年1月18日閲覧。
  44. ^ 王さんもびっくり 「一本足打法」経営、誕生の謎 日本経済新聞社(中川淳一)、2011年6月28日(2025年1月18日閲覧)。

関連項目


一本足打法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 09:15 UTC 版)

大豊泰昭」の記事における「一本足打法」の解説

王貞治へのリスペクトから、一本足打法にこだわり見せていたが、それ故バッティングを壊すことも多く阪神在籍時の1999年監督野村克也アドバイスにより、一本足打法からすり足打法変更した。ただし、本人が後に語ったところによると、打法変更は「一本足打法では試合使ってもらえないため、試合に出るためのやむを得ない選択だった」とのことで、本当は一本足打法を貫きたかったという。しかしながら打法変更功を奏し99年打率.341の好成績記録している。翌年は一本足打法に再転向した。一本足メリット・デメリットについて、大豊自身後年一本足おかげで二冠王を穫ったのはいい思い出だけど、逆に一本足のせいで選手寿命も縮まりました。一本足打法は足への負担だけじゃなくて、目も疲れるんです。足を上げるタイミングを図るために常にピッチャー凝視しなければならない二本足のときの数倍も目が疲れるんです」と振り返っている。

※この「一本足打法」の解説は、「大豊泰昭」の解説の一部です。
「一本足打法」を含む「大豊泰昭」の記事については、「大豊泰昭」の概要を参照ください。

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一本足打法

出典:『Wiktionary』 (2021/08/22 02:21 UTC 版)

名詞

打法いっぽんあしだほう

  1. (野球) 打者投球合わせて投手側の足を上げ残りの足だけで立ちながら球を待つ打法
  2. (1から転じて) 一つのことだけに頼っ物事進めること。


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