illumosとは? わかりやすく解説

illumos

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/20 03:34 UTC 版)

illumos
開発者 illumos Foundation
プログラミング言語 C
OSの系統 Unix (SVR4)[1]
開発状況 開発中
ソースモデル バイナリ・ブロブを含むオープンソース
初版 2010年 (15年前) (2010)
リポジトリ
使用できる言語 英語
プラットフォーム IA-32x86-64SPARCARM(開発中)[2]DEC Alpha
カーネル種別 モノリシック
ライセンス CDDL, BSD, MIT
先行品 OpenSolaris
ウェブサイト illumos.org
テンプレートを表示

illumosは一部が自由かつオープンソースなUnixオペレーティングシステムである[3]。illumosはOpenSolarisをベースとしており、オラクル (企業)がOpenSolaris開発を終了した後の2010年から開発されている。illumosはカーネルデバイスドライバ、システムライブラリ、そしてシステム管理用ユーティリティソフトウェアから構成され、Linuxカーネルが様々なLinuxディストリビューションで使われるように[4]、illumosの中核部は様々なオープンソースillumosディストリビューションのベースとなっている[5]

名前

illumosのメンテナーはillumosと冒頭を大文字にせず全て小文字で表記している[6]が、これはコンピュータフォントの中には小文字のLと大文字のiを明確に区別できないものが存在するからである(ホモグリフを参照)[7]。illumosという名前は、ラテン語を表す単語のilluminareと、Operating SystemOSを合わせたものである[8]


歴史と開発

The OpenIndiana operating system is one of many Illumos distributions.

illumosは2010年8月3日のウェビナー[9]上で、Solarisの中核的な技術者集団によりOpenSolarisのクローズドソースの部分をオープンな実装に置き換えることで真にオープンソースなSolarisを開発しようというコミュニティ活動として発表された[10][11][12]。OpenSolaris自体はSystem V Release 4 (SVR4)とBerkeley Software Distribution (BSD) をベースとしている。

当初の計画では、illumosはディストリビューションやフォークにはならないと明言されていた。だがオラクルがOpenSolarisの打ち切りを発表した後、Solaris ONカーネル[注釈 1]の最終バージョンをillumos独自のカーネルとして発展させるためフォークすることが計画された[13]。クローズドでプロプライエタリなコードを含まずにSolarisライクなOSを作成するため、2010年時点においてはlibcNFSロックマネージャ、暗号化モジュール、そして多数のデバイスドライバに労力が割かれた。2012年時点においては旧来のコンパイラであるStudio英語版からGCCへの移行するなどに力が注がれた[14]。現在、illumosの「ユーザーランド」ソフトウェアはGNU makeでビルドされ[15]、それらのソフトウェアにはGNU tarなどのGNUユーティリティが多く含まれている。ある時点[要説明]において、illumosは創設者であるGarrett D'Amoreと、Bryan CantrillAdam Leventhalといった他のコミュニティメンバーや開発者からなる開発者評議会 (Developers' Council) によって緩やかに率いられていた[16]

2019年時点において、第一の開発プロジェクトであるillumos-gateは、Solarisのカーネル、ドライバ、中核的なライブラリ、および基本的なユーティリティを含むOS/Net(ONとして知られている)の派生であり[17]、これらはBSDの "src" ツリーで提供されているものと同様である。元々はOpenSolarisのOS/Netに依存していたが、オラクルがSolarisの開発を黙ってクローズし、OpenSolarisプロジェクトを非公式に終了させたのちにフォークされた[18][19][20]

特徴

ディストリビューション

illumos.orgに列挙されたディストリビューションを以下に示す[21]

  • DilOS:Debianパッケージマネージャ(dpkg + apt)と仮想化をサポートする。x86-64およびSPARCで利用可能[22]
  • NexentaStor:仮想化、ストレージエリアネットワーク (SAN)、ネットワークアタッチトストレージ (NAS)、およびZFSファイルシステムを用いるiSCSIファイバーチャネルアプリケーションに最適化されたディストリビューション。
  • OmniOS Community Edition:サーバークラスのシステムのための最小限パッケージのディストリビューション[23]
  • OpenIndiana:OpenSolarisオペレーティングシステムのフォークであり後継であるとされているディストリビューション。
  • SmartOS英語版:KVMによる統合を用いたクラウドコンピューティングのためのディストリビューション。
  • Tribblix:現代のコンポーネントを搭載したレトロスタイルディストリビューション。x86-64とSPARCで利用可能[24]
  • v9os:サーバ限定で、IPSベースの最小SPARCディストリビューション[25]
  • XStreamOS:インフラ、クラウド、およびウェブ開発のためのディストリビューション[26]

開発終了したディストリビューションを以下に示す:

  • Dyson:libcとService Management Facility英語版 (SMF) initシステムを利用するDebian派生。
  • OpenSXCE:IA-32/x86-64 x86プラットフォームとSPARC用の開発者とシステム管理者向けディストリビューション[27]

Illumos Foundation

illumos Foundationは2012年にカリフォルニア州501(c)(6)業界団体として法人組織化され、Jason Hoffman(元Joyent)、Evan Powell(ネクセンタ・システムズ)、Garrett D'Amoreが理事を務めた。2024年現在、illumos Foundationはカリフォルニア州において「解散」状態となっている[28]

脚注

  1. ^ Solarisカーネルの中心とされた「OS/Network」統合(プロジェクト)

出典

  1. ^ Open Brand”. www.opengroup.org. 2025年2月20日閲覧。
  2. ^ Clulow, Joshua (25 October 2012). “Raspberry Pi Bring-Up”. illumos Foundation. 13 July 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。14 November 2013閲覧。
  3. ^ Building illumos”. illumos.org. 2023年8月31日閲覧。
  4. ^ Blankenhorn, Dana. “What Illumos is and is not”. ZDNet. 2025年2月20日閲覧。
  5. ^ Distributions”. 2025年2月20日閲覧。
  6. ^ FAQ”. illumos. 2 May 2020閲覧。
  7. ^ Mustacchi, Robert (2015年9月5日). “Linux to SmartOS cheatsheet, after smartos-discuss vetting, sans deritus [sic]. by cwvhogue - Pull Request #217”. GitHub. 2021年5月23日時点のオリジナルよりアーカイブ2025年2月20日閲覧。
  8. ^ Announcement”. illumos.org (2018年6月15日). 2025年2月20日閲覧。
  9. ^ D'Amore, Garrett (3 August 2010). “illumos - Hope and Light Springs Anew - Presented by Garrett D'Amore”. illumos.org. 3 August 2010閲覧。
  10. ^ Whither OpenSolaris? illumos Takes Up the Mantle” (20 November 2012). 26 September 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年2月20日閲覧。
  11. ^ Ghostarchiveおよび Wayback Machineにおける以下のページのアーカイブ:OpenIndiana, Illumos, and the OpenSolaris Community (Part 1)” (5 May 2011). 2025年2月20日閲覧。
  12. ^ D'Amore, Garrett (27 October 2010). “New illumos logo”. 14 November 2013閲覧。
  13. ^ D'Amore, Garrett (13 August 2010). “The Hand May Be Forced”. 14 November 2013閲覧。
  14. ^ https://www.openindiana.org/documentation/faq/#how-does-openindiana-differ-from-opensolaris Archived 13 May 2021 at the Wayback Machine. "Oracle’s Sun Studio has been replaced with the open source GNU GCC compiler."
  15. ^ OpenIndiana/oi-userland”. GitHub (28 October 2021). 2025年2月20日閲覧。
  16. ^ Straughan, Deirdré (16 May 2012). “illumos Developers' Council Meeting”. illumos.org. 10 July 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。13 August 2012閲覧。
  17. ^ os-net-skeleton”. bitbucket.org. 29 July 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月29日閲覧。
  18. ^ “Oracle staff report big layoffs across Solaris, SPARC teams”. https://www.theregister.co.uk/2017/09/04/oracle_layoffs_solaris_sparc_teams/ 2019年7月29日閲覧。 
  19. ^ “OpenSolaris axed by Ellison”. https://www.theregister.co.uk/2017/09/04/oracle_layoffs_solaris_sparc_teams/ 2019年7月29日閲覧。 
  20. ^ “illumos sporks OpenSolaris”. https://www.theregister.co.uk/2010/08/03/illumos_opensolaris_spork/ 2019年7月29日閲覧。 
  21. ^ Distributions - illumos”. illumos.org. 2025年2月20日閲覧。
  22. ^ DilOS”. www.dilos.org. 21 February 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月26日閲覧。
  23. ^ OmniOS CE”. omniosce.org. 2017年9月10日閲覧。
  24. ^ Tribblix”. www.tribblix.org. 2016年2月26日閲覧。
  25. ^ v9os”. milax.fi. 2017年12月13日閲覧。
  26. ^ XStreamOS”. Sonicle. 2021年3月4日閲覧。
  27. ^ OpenSXCE”. www.opensxce.org. 26 February 2016閲覧。
  28. ^ State of California Department of Justice, Office of the Attorney General. Registry of Charities and Fundraisers. Accessed December 17, 2024.

外部リンク


illumos

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NVM Express」の記事における「illumos」の解説

2014年10月15日に対応を開始

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「illumos」を含む「NVM Express」の記事については、「NVM Express」の概要を参照ください。

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