Dpkgとは? わかりやすく解説

dpkg

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/11 08:28 UTC 版)

dpkg
作者 イアン・マードック
開発元 Debianプロジェクト
初版 1994年1月 (31年前) (1994-01)[1]
最新版
1.21.22[2]  / 2023年5月24日
最新評価版
1.22.7[3]  / 2024年7月17日
リポジトリ
プログラミング
言語
C言語C++Perl[4]
対応OS Unix系
対応言語 42言語[5]
種別 パッケージ管理システム
ライセンス GNU General Public License
公式サイト wiki.debian.org/Teams/Dpkg
テンプレートを表示

dpkgは、自由オペレーティングシステムDebianとその多数の派生OSのパッケージ管理システムの基盤となるソフトウェアである。dpkgは、.debパッケージのインストール、削除、および情報の提供に使用される。

dpkg (Debian Package) 自体は低水準のツールである。高水準のツールであるAPTは、リモートホストからパッケージを取得したり、依存関係の解決などの複雑なパッケージ関係を処理できるため、dpkgよりもよく使用される。aptitudencurses)やsynapticGTK)などのAPTのフロントエンドは、より使いやすいインターフェイスとして使用される。

Debianパッケージ「dpkg」は、dpkgプログラムのほか、dpkg-debdpkg-splitdpkg-querydpkg-statoverridedpkg-divertdpkg-triggerなど、パッケージシステムの実行時に必要ないくつかのプログラムも提供している[6]。また、update-alternativesstart-stop-daemonのようなプログラムも含まれている。Debianパッケージ「dpkg-dev」には、以下で述べる多数のビルドツールが含まれている。

歴史

Linux用パッケージ管理システムの最初の試みは、ノースダコタ州ファーゴのロジャー・マリス・キャンサー・センターのグレッグ・ウェットスタインによるStopAlopの開発であるとされている。これがdpkg作成のインスピレーションとなった[7][8][9]。dpkgは当初、1994年1月にイアン・マードックによってシェルスクリプトとして作成された[1]。マット・ウェルシュ、カール・ストリーター、イアン・マードックはそれをPerlで書き直し[10]、その後、主要部分は1994年にイアン・ジャクソンによってC言語で書き直された[11][12]。dpkgという名前は元々「Debian package」を省略したものであったが、dpkgソフトウェアはdebパッケージフォーマットや、DebianでのDebianパッケージの動作を定義するDebianポリシーマニュアルとも密接に関わってきているため、その語句の意味は変化している。

具体例

.debパッケージをインストールするには以下のコマンドを実行する。

dpkg -i debFileName

ここで、debFileNameはパッケージの情報を含むファイルの名前であり、一般的に .debという拡張子を持っている。このコマンドはroot権限で実行する必要がある。

インストールされているパッケージのリストは以下のコマンドで得られる。

dpkg -l [optional pattern]

インストールされているパッケージを削除するためには以下のコマンドを実行する。

dpkg -r packageName

.debパッケージの各種情報(他パッケージとの依存関係・バージョン等)は以下のコマンドで見られる。

dpkg -I debFileName

.debパッケージからインストールされるファイルは以下のコマンドで確認できる。

dpkg -c debFileName

パッケージからインストールされたファイルは以下のコマンドで確認できる。

dpkg -L packageName

開発用ツール

dpkg-devには、パッケージをビルドする際に呼び出される以下のツールが含まれている[13]

  • dpkg-source - Debianパッケージのソースファイルを圧縮し展開する。
  • dpkg-deb - バイナリパッケージを圧縮し展開する。
  • dpkg-gencontrol - 展開された Debianソースのツリーから情報を読み込み、バイナリパッケージのcontrolファイルを生成し、debian/filesの中にバイナリパッケージの名前を挿入する。
  • dpkg-shlibdeps - ライブラリに関する実行時の依存関係を計算する。
  • dpkg-genchanges - 展開されたすでに構築済みのDebianソースツリーから情報を読み込み、コントロールファイル(.changes)を作り出す。
  • dpkg-buildpackage - パッケージを自動的に構築するために使うことができる制御用スクリプト。
  • dpkg-distaddfile - debian/files にファイル名を追加する。
  • dpkg-parsechangelog - 展開されたDebianソースツリーの更新履歴ファイル(changelog)を読み、その履歴の情報から整形済みの出力を作り出す。

関連プログラム

dselect

dpkgソースパッケージにはフロントエンドソフトウェアであるdselectも含まれている[14]

install-info

install-infoプログラムはかつてdpkgソフトウェアパッケージに含まれていたが、後にGNU Texinfoの一部として別途開発・配布されるようになったため削除された[15][16]

wpkg

wpkgは、Microsoft Windowsオペレーティングシステムで実行されるdpkgの類似プログラムとして作成された[17].debファイル形式の互換性が保持されている[18]。その後、APTスイートに似た機能や、改善されたリポジトリ管理、配布管理が含まれるように進化し、LinuxおよびUnix系システムに移植された[19][20]。2024年3月現在、ソフトウェアの最新リリースは2015年である[19]

関連項目

脚注

  1. ^ a b dpkg Shell implementation”. Dpkg Developers. 2017年8月30日閲覧。
  2. ^ "Release 1.21.22"; 著者名 (文字列): Guillem Jover; 作品または名前の言語: 英語; 出版日: 2023年9月3日; 閲覧日: 2023年9月3日.
  3. ^ "Release 1.22.7"; 著者名 (文字列): Guillem Jover; 作品または名前の言語: 英語; 出版日: 2024年7月17日; 閲覧日: 2024年7月17日.
  4. ^ dpkg on git.dpkg.org”. Dpkg Developers (2018年7月15日). 2018年7月15日閲覧。
  5. ^ po/LINGUAS”. Dpkg Developers (2022年11月22日). 2025年3月11日閲覧。
  6. ^ dpkg package file list”. Debian project. 2015年3月9日閲覧。
  7. ^ “Linux in the Trenches”. Linux Journal. https://linuxjournal.com/article/2804. 
  8. ^ The dpkg shell implementation
  9. ^ StopAlop 0.6 packaging/Installation facility available”. 2022年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年3月11日閲覧。
  10. ^ dpkg perl implementation”. git (Dpkg Developers). 2015年3月9日閲覧。
  11. ^ dpkg C implementation”. git (Dpkg Developers). 2015年3月9日閲覧。
  12. ^ Akkerman, Wichert. “dpkg history”. 2015年2月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月29日閲覧。
  13. ^ dpkg-dev package file list”. Debian project. 2015年3月9日閲覧。
  14. ^ Siever, Ellen (2005). Linux in a Nutshell. O'Reilly. p. 620. ISBN 9780596529499. https://books.google.com/books?id=uwNVAgAAQBAJ&pg=PA620 
  15. ^ Jover, Guillem. “Removal of install-info from dpkg”. Debian project. 2015年3月9日閲覧。
  16. ^ GNU Texinfo project”. GNU project. 9 March 2015閲覧。
  17. ^ Fox, Richard (7 October 2014). “13.4.3: APT”. Linux with Operating System Concepts. Routledge. p. 544. ISBN 978-1482235890 
  18. ^ A Unix Packager For MS-Windows Systems”. Alexis Wilke. 2018年11月5日閲覧。
  19. ^ a b A Build System with wpkg”. Alexis Wilke (2013年11月6日). 2013年8月28日閲覧。
  20. ^ wpkg --repository ...”. Alexis Wilke (2012年12月5日). 2013年8月28日閲覧。

外部リンク


dpkg

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:22 UTC 版)

パッケージ管理システム」の記事における「dpkg」の解説

deb形式パッケージ対象としたDebian GNU/Linux開発されツール

※この「dpkg」の解説は、「パッケージ管理システム」の解説の一部です。
「dpkg」を含む「パッケージ管理システム」の記事については、「パッケージ管理システム」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「Dpkg」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Dpkg」の関連用語

Dpkgのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Dpkgのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのdpkg (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのパッケージ管理システム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS