OS/2 2.x
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1992年3月31日、IBMは世界初のパソコン用32ビットOSである、OS/2 2.00を発売。Windows 3.0互換環境 (WIN-OS/2)、複数のDOS互換環境 (MVDM) を持ち、統合プラットフォームとして一つの完成形を見る。また、ユーザインタフェースをがらりと変更し、オブジェクト指向のGUIであるワークプレース・シェル (Workplace Shell, WPS) を標準環境とした。 ワークプレース・シェルは、CORBA準拠のオブジェクト間通信技術、SOM (System Object Model) / DSOM (Distributed SOM) の上で構築されていた。SOMはオブジェクト指向ではないOSで、言語にほぼ依存せずにオブジェクト指向の機能を実現するオブジェクト管理用の開発環境である。また、ワークプレース・シェルは、操作のオブジェクト指向という点では、デスクトップに余計なもの(メニューなど)を表示させず、ユーザ側がアクションを起こしたときにしか表示されない(Warp 4以降は軌道修正でメニューバーが表示されるようになった)。 これらの技術背景により、オブジェクトの動的追跡などが可能というメリットがあるが、長期間使用していくとデスクトップが壊れたりファイル操作に時間がかかるといった問題も抱えることになった。 Ver.2.1ではWindows 3.1用のアプリケーションが動くようになった(WIN-OS/2がWindows3.1相当になった)。386エンハンスドモードを要求するWindows 3.1用のアプリケーションも動作するようになった。(Ver.2.0ではスタンダードモードのみ対応) Ver.2.11からは、導入済みWindows 3.1環境に上書き導入することで、パッケージにWindows 3.1モジュール (WIN-OS/2) 及びそのライセンスを含まない低価格パッケージのJ2.11 for Windowsが追加され、以下の2パッケージとなった。 OS/2 Ver.2.11:Windows互換環境 (WIN-OS/2) を含む OS/2 Ver.2.11 for Windows:Windows互換環境 (WIN-OS/2) を含まないが、導入済のWindows 3.1があれば、それをWIN-OS/2として使用できる 1993年9月、IBMとマイクロソフトのソースコードの相互公開契約が満了し、これ以降のOS/2とWindows NTは完全に分化し、それぞれ別の発展をすることとなる。 OS/2 2.11は、対抗商品となったWindows NT 3.1の完成度の低さと、Windows 3.x系との互換性の高さから、当時のパソコン用32ビットOSとしては比較的リソースを消費せず、Windows 3.1のソフトウェアがほぼ完全に動作することから「OSごと落ちない完全なマルチタスク可能なWindows3.xマシン」として利用された。また、当時のパソコン雑誌『PC WAVE』1993年9月号と『DOS/Vマガジン』1993年10月号にOS/2 2.11のベータ版 (CD-ROM) が収録された(当時はCD-ROMは雑誌の付録として認可されておらず、引換券を出版元に送付することにより入手できた)。 1994年10月、IBMはモトローラとともにPowerPCを使ったプラットフォーム、PowerPC Reference Platform(PReP)を提唱。PReP向けにマイクロカーネル上で複数のOSを動作させる、Workplace OSの開発をIBMは表明したが、最終的には、OS/2 for PowerPCを作り上げるにとどまった。 またこのころから アップルコンピュータやノベルとともに、OpenDoc(マイクロソフトのOLEとほぼ同様の機能を、高機能・マルチプラットホーム化したもの)の開発にとりかかりWarp 4に搭載されたが、後年Javaの台頭により、普及には至らなかった。
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