OS/2とIBMとの対立
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「Microsoft Windows 3.x」の記事における「OS/2とIBMとの対立」の解説
マイクロソフトとIBMが共同開発していたOS/2との関係について、Windows 3.0発売当初は両者が明確な立場を示さなかったため、このことはマスコミや公衆の間で物議を醸した。Windowsはユーザーのニーズに対応したことで多数のユーザーを獲得しているが、ふたを開けるとそこには旧態依然のDOSが存在する。業界では、技術的にはOS/2の方が上回っており、長い目で見ればOS/2やUNIXの方が有利であるという意見で一致した。 1990年9月17日、マイクロソフトとIBMは共同声明を出して、マイクロソフトはDOSとWindows、IBMはOS/2の開発に専念することを明らかにした。日本IBMは1991年5月7日付けのOS/2 J2.0の発表資料で、Windowsを個人ユーザー向けのエントリーGUIシステム、OS/2を企業ユーザー向けの統合プラットフォームとして位置づけ、OS/2 2.0はDOS 5.0とWindows 3.0を統合したエンタープライズ向けシステムとして紹介していた。IBMはOS/2を情報システムを構成するものとして企業ユースに考えていたのに対し、マイクロソフトはスタンドアロンで使用する個人ユースを想定していたため、営業戦略の不一致が決別の一因となった。別の要因として、開発体制や社風の違いで生じた企業間の壁も指摘された。 マイクロソフトとIBMの対立は1992年にかけて深まっていった。1991年10月21日、IBMがOS/2 2.0を12月31日までに出荷すると発表すると、マイクロソフトのスティーブ・バルマーは「12月31日までに、IBMがOS/2 2.0を出荷できたら、フロッピー・ディスクを食べてみせる」と公言した。結局OS/2 2.0の出荷は1992年3月31日に延期されたが、この出来事はマイクロソフトとIBMの対立を印象づけるものになった。同時期に発売されたWindows 3.1はさらに勢いを付け、1993年にはWindowsの圧勝の様相となった。これについてOS/2の共同開発に参加したマイクロソフトの開発者は次のように語っている。 OS/2はハイエンドなマシン向けでマイクロプロセッサもインテルの386以上になりますし、メモリーもたくさん必要とします。技術的に優れ、パフォーマンスも良いし、製品としては優れていると思います。しかしアプリケーション・ソフトが少ないんです。ウィンドウズはマイクロプロセッサは286以上(ウィンドウズ3.1では386以上)が必要ですが、アプリケーション・ソフトも多くてハードウェアも安いので、価格の点でウィンドウズが一般的にはよく買われるようになったのです。 —シンディ・ダーキン。 『マイクロソフト・ウィンドウズ戦略のすべて - 新情報ネットワーク時代への挑戦』 TBSブリタニカ、1993年10月7日。143頁の引用文より。 なお、マイクロソフト日本法人と日本IBMはDOS/Vの営業で協力関係にあり、1993年12月にもMS-DOS 6.2/VとPC DOS J6.1/Vを共同記者会見で発表するなど、良好な関係をアピールした。
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