Mark 37 Gun Fire Control Systemとは? わかりやすく解説

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Mk.37 砲射撃指揮装置

(Mark 37 Gun Fire Control System から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 04:31 UTC 版)

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Mk.12レーダー
Mk.12レーダーとMk.22測高レーダー搭載のモデル
種別 追尾レーダー
開発・運用史
開発国 アメリカ合衆国
就役年 1943年
製造数 801基
送信機
形式 マグネトロン
周波数 Lバンド (当時の呼称; 900 MHz)
パルス 0.5マイクロ
パルス繰返数 480 pps
送信尖頭電力 100 - 110 kW
アンテナ
形式 パラボリック・シリンダー
直径・寸法 幅1.83 m×高さ1.83 m
ビーム幅 10×10度
方位角 全周無制限(方位盤上に固定設置)
探知性能
探知距離 40,000 yd (37,000 m) (PBYに対して)[1]
精度 距離: 20 yd (18 m)
方位: 0.17° (3ミル)
分解能 距離: 300 yd (270 m)
方位: 7°
その他諸元
重量 FCS全体: 40,150 lb (18,210 kg)
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Mk.37 砲射撃指揮装置英語: Mark 37 Gun Fire Control System, Mk.37 GFCS)は、アメリカ海軍が開発した艦砲用の砲射撃指揮装置(GFCS)Mk.37方位盤Mark 37 gun director)を中心とするシステムであり、第二次世界大戦中は各サブシステムごとに別々に扱われていたが、後に射撃指揮コンピュータなどを含む包括的なシステムとして呼称されるようになっていった。

概要

アメリカ海軍は、1934年に制式化した新しい両用砲である38口径5インチ砲と組み合わせるため、1936年より新しい砲射撃指揮装置(GFCS)の開発に着手した。これによって開発されたのがMk.37であり、射撃指揮レーダー(FCR)の装備を見越して、方位盤の上面は水平とされた。またこれと連動する射撃計算機としては、従来は機械式計算機を用いた射撃盤 (Rangekeeperが採用されていたのに対し、本機ではアナログコンピュータとして再設計されたMk.1射撃指揮コンピュータが採用された。従来の両用砲用方位盤では射撃盤が組み込み式であったのに対し、本機では大口径砲用の機種と同様に、方位盤から切り離して甲板下にコンピュータを設置した[2]。これにより、目標の水平速力400ノット (740 km/h)、垂直速力250ノット (460 km/h)に対処可能とされた[3]

方位盤は防盾内に7名が乗り込んで操作する有人式であり、また安定化装置(Mk.6 Stable Element)によって艦の動揺の影響をある程度排除できるようになっていた。1939年就役開始のシムス級駆逐艦で装備化された当初はレーダーをもたなかったが、1941年からは、当初の計画通り、射撃指揮レーダーとしてMk.4レーダーが設置されるようになった。Mk.4レーダーはFDとも称され、いずれも4番目に開発された射撃指揮レーダーであることに由来する[4]。パラボリック・シリンダー型アンテナを2段アンテナにしたアンテナ(1.83×1.83メートル)を用い、周波数Lバンド(当時の呼称; 750 MHz)で[3]、高度5,000フィート (1,500 m)のPBYに対して16,000ヤード (15,000 m)の探知距離を発揮できた[1]。また1942年には、Mk.4を元に高周波・大出力化した[1]Mk.12が採用されるとともに、目標高度のみを測定するMk.22測高レーダーも併用されるようになった。さらに後期型では、旋回角および俯仰角の自動追尾機構も導入された[3]

1950年代後半には、周波数をXバンド(5,200 - 10,900MHz)、アンテナをパラボラ式に変更し、ピーク出力50キロワット、最大探知距離50,000ヤード (46,000 m)としたMk.25レーダー(のちに軍用電子機器の命名規則に基づきAN/SPG-25と改名)が導入された[5]

その後、Mk.25(AN/SPG-25)レーダーを用いるとともに、射撃指揮コンピュータをデジタルコンピュータのMk.47に換装した改良型としてMk.67が開発された。これは、さらにレーダーをAN/SPG-53に変更したMk.68に発展した[3]

なお日本海上自衛隊では、揺籃期に供与を受けた甲型護衛艦(DD; あさかぜ型およびありあけ型)でMk.37を装備化したものの、重量過大である点と射撃指揮コンピュータが機械式である点からあまり高く評価されず、比較的小型・軽量で盲目射撃可能なMk.56の装備化が志向されることとなった[6]

搭載艦

参考文献

  1. ^ a b c アメリカ合衆国海軍省 (1943年8月1日). “U.S. Radar - Operational Characteristics of Radar” (英語). 2012年9月23日閲覧。
  2. ^ Norman Friedman (2006). The Naval Institute guide to world naval weapon systems. Naval Institute Press. ISBN 9781557502629. https://books.google.co.jp/books?id=4S3h8j_NEmkC 
  3. ^ a b c d 多田智彦「射撃指揮システムとレーダー (特集・対空兵装の変遷)」『世界の艦船』第662号、海人社、2006年8月、 92-97頁、 NAID 40007357721
  4. ^ 小滝國雄「射撃指揮レーダー 過去・現在・未来 (特集・射撃指揮システム)」『世界の艦船』第616号、海人社、2003年10月、 82-87頁、 NAID 80016093236
  5. ^ BUPERS (1969). “6. Radar Equipment”. US Navy Shipboard Electronic Equipments NAVSHIPS 10794-C. http://www.navy-radio.com/manuals/10794c/10794c-00.pdf 
  6. ^ 坂田 秀雄「海上自衛隊FCSの歩み」『世界の艦船』第493号、海人社、1995年3月、 70-75頁。

関連項目

外部リンク


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