John Backusとは? わかりやすく解説

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ジョン・バッカス

【英】John Backus

ジョン・バッカスとは、米国コンピュータ科学者である。1924年12月3日ペンシルバニア州フィラデルフィア生まれ世界初コンパイラプログラミング言語であるFORTRAN開発者として知られている。また、P.ナウアーと共同提唱したメタ言語であるBNF記法Backus-Naur form)に自らの名を残している。

1942年バージニア大学入学。しかし間もなく除籍される。講義出席しなかったことが原因であるといわれる


1943年徴兵により陸軍へ入隊その間にもピッツバーグ大学工学勉強した
1945年ニューヨーク医学校入学したが、自分には向いていないと悟り退学
1946年ニューヨークラジオ・テレビ専門学校入学。そこで数学才能目覚める。ただちにコロンビア大学数学科転籍した。
1950年コロンビア大学数学修士号取得IBM社に入社する

IBM社においてジョン・バッカスはプログラミング開発進め1957年FORTRAN完成させた。これによって機械語知らなくてもコンピュータ利用できるようになりIBMマシン普及浸透多大な貢献果たした

1959年にはBN記法発明した。これも後のコンピュータ言語設計大きな影響を残すこととなる。1977年にはチューリング賞受賞した


ジョン・バッカス

(John Backus から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/25 15:16 UTC 版)

ジョン・バッカス
生誕 (1924-12-03) 1924年12月3日
ペンシルベニア州フィラデルフィア
死没 (2007-03-17) 2007年3月17日(82歳没)
オレゴン州アシュランド
国籍 アメリカ合衆国
研究分野 計算機科学
研究機関 IBM
出身校 コロンビア大学
主な業績 Speedcoding
FORTRAN
ALGOL
バッカス・ナウア記法
関数レベルプログラミング英語版
主な受賞歴 アメリカ国家科学賞(1975)
チューリング賞(1977)
チャールズ・スターク・ドレイパー賞(1993)
プロジェクト:人物伝
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ジョン・ワーナー・バッカス(John Warner Backus, 1924年12月3日 - 2007年3月17日)は、アメリカ合衆国計算機科学者。初期の高水準プログラミング言語 (FORTRAN) の発明者[1]、(形式言語文法の定義に汎用的に用いられる)バッカス・ナウア記法の発明者、また関数レベルプログラミング英語版 (Function-level Programming) の提唱者でもある。

生涯

ペンシルベニア州フィラデルフィアで生まれ、デラウェア州ウィルミントンで育った。ペンシルベニア州ポッツタウンThe Hill School で学んだが、まじめな学生だったとは言えない[2]。化学を学ぶためにバージニア大学に進学したが挫折し、アメリカ陸軍に入隊[2]ハバフォード大学で医療を学びはじめ[3]、病院でのインターン時代に頭蓋の骨腫瘍と診断されたものの、手術は成功した。手術で頭にプレートを入れられ、9カ月で医療の道をあきらめたが、後に自分が設計したプレートに入れ替える手術を行った[4]

ニューヨーク市に移り住み、ラジオ技術者としての訓練を受け始め、数学が向いていることに気づいた。彼は1949年にコロンビア大学で数学の修士号を取得し、1950年にIBMに入社した。IBMでの最初の3年間、彼はSSECを使った仕事に従事した。最初の大きな仕事はの位置を計算するプログラムを作成することだった。1953年、プログラミング言語 Speedcoding を開発。IBMのコンピュータで動作する初の高水準言語だった[5]

プログラミングが難しいことから、1954年になるとバッカスはチームを結成して IBM 704 コンピュータのためのFORTRANの設計と開発を行った。これは世界初の高水準プログラミング言語ではないものの、広く使われた世界初の高水準言語となった。

1950年代後半、バッカスは ALGOL 58 を開発した国際委員会の一員としても働いた。ALGOLはアルゴリズムを記述する際の世界的なデファクトスタンダードとなった。また1959年UNESCOレポートにおける ALGOL 58 の言語仕様記述のためバッカス・ナウア記法 (BNF) を考案。BNFは任意の文脈自由形式言語の文法(形式文法)を記述でき、その後のプログラミング言語の開発に重要な役割を果たした。これらの貢献からチューリング賞を受賞した。

その後彼は「関数レベル」プログラミング言語英語版 FP に取り組んだ。これはチューリング賞受賞の際の講演 "Can Programming be Liberated from the von Neumann Style?"(プログラミングはフォン・ノイマン的スタイルから解放されるか?)で述べられている。この論文は FORTRAN を生み出したことへのバッカスの謝罪と受け取られることもあり、彼の研究していた FP そのものよりも関数型プログラミング一般の研究を盛んにする結果となった。FPインタプリタ4.2BSD 上に実装されている。FP はケネス・アイバーソンAPLの影響を強く受けており、標準的でない文字も使っている。その後のバッカスは FP言語の後継の FL (Function Level) の開発に注力した。FL はIBM内部のプロジェクトであり、プロジェクト終了とともに言語の開発も終了し、論文もわずかしか発表されていない。しかし、この言語の革新的で重要なアイデアの数々はアイバーソンのJ言語に実装された。

バッカスは1963年にIBMフェローとなった[6]。1993年にはチャールズ・スターク・ドレイパー賞を授与された[7]。1991年から引退生活に入り、2007年3月17日、オレゴン州アシュランドで死去した[2]

受賞歴

2007年6月1日、小惑星 6830 にバッカスの名がつけられた(6830 Johnbackus

チューリング賞の受賞理由は以下の通り:

  • 特にFORTRANの研究によって行われた、実用的な高水準プログラミングシステムの設計への深く、影響力のある恒久的貢献に対して。そして、プログラミング言語の仕様記述の形式的手法についての強い影響力のある出版に対して。
  • (原文) For profound, influential, and lasting contributions to the design of practical high-level programming systems, notably through his work on FORTRAN, and for seminal publication of formal procedures for the specification of programming languages.[10]

注釈・出典

  1. ^ “ジョン・バッカス氏死去/コンピューター言語の開発者”. 四国新聞社. (2017年3月21日). https://www.shikoku-np.co.jp/national/okuyami/article.aspx?id=20070321000022 2020年1月25日閲覧。 
  2. ^ a b c Lohr, Steve (2007年3月20日). “John W. Backus, 82, Fortran Developer, Dies”. New York Times. http://www.nytimes.com/2007/03/20/business/20backus.html 2007年3月21日閲覧。 
  3. ^ Inventor of the Week Archive John Backus” (2006年2月). 2011年8月25日閲覧。
  4. ^ Grady Booch (interviewer) (2006年9月25日). “Oral History of John Backus” (pdf). 2009年8月17日閲覧。
  5. ^ Allen, F.E.. “The History of Language Processor Technology in IBM”. IBM Journal of Research Development 25 (5, September 1981). 
  6. ^ a b John Backus”. IBM Archives. 2007年3月21日閲覧。
  7. ^ a b Recipients of the Charles Stark Draper Prize”. 2007年3月26日閲覧。
  8. ^ John Warner Backus - 1967 W. Wallace McDowell Award Recipient”. 2008年4月15日閲覧。
  9. ^ The President's National Medal of Science: John Backus”. National Science Foundation. 2007年3月21日閲覧。
  10. ^ a b 1977 – John Backus See the ACM Author Profile in the Digital Library
  11. ^ Book of Members, 1780–2010: Chapter B”. American Academy of Arts and Sciences. 2011年4月28日閲覧。
  12. ^ John Backus”. 2008年4月15日閲覧。
  13. ^ Fellow Awards 1997 Recipient John Backus”. 2008年4月15日閲覧。

外部リンク


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