DOOM3 Engine
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 05:10 UTC 版)
「Quake Engine」の記事における「DOOM3 Engine」の解説
詳細は「:en:id Tech 4」を参照 2004年リリース。id Tech 4とも呼ばれる。このエンジンを最初に採用したのがDOOM3となるため、DOOMエンジンと名付けられているが、実際にはフル3Dエンジンであるため初代のDOOMエンジンとは関係なく、Quakeエンジンの直系である。しかし大きな仕様変化があったため、QuakeIIIエンジンとはほぼ別物となっている。Unreal Tournament 2003搭載のUnreal Engine2や同年発売のHalf-Life 2搭載のSource Engineと共に、3Dグラフィックの基準を大幅に引き上げたエンジンでもある。 グラフィックスの特色としては、先ずピクセル単位のリアルタイム・ライティングの導入が挙げられる。光源としては、点光源、平行光源、投影光源が利用でき、反射モデルとしては拡散(Diffuse)と鏡面反射(Specular)がサポートされた。また、バンプマップが導入された事により、少ない頂点数でより迫力のある凹凸が表現出来るようになった。そして、もう一つ大きな特色として、ステンシル・シャドウ・ボリューム法によるリアルタイム・シャドウの導入が挙げられる。ステンシル・シャドウには多様なアルゴリズムが存在するが、Doom3エンジンでは、John Carmack氏が考案したものの米Creative社が特許を先行取得した「カーマック・リバース」というアルゴリズムが利用されている。その他の特色としては、高度な頂点スキニングの導入、逆運動学(Inverse Kinematics)による足運び計算などが挙げられる。 これらのグラフィックスを実現するためのテクスチャー量は1マップにつき500MB近くになり、当時VRAM512MBを実現していたグラフィックボードが無かったため「最高画質モードはどんなPCでも使えない」とまで言われた。ローエンドのグラフィックボードでもVRAM512MB以上搭載しているものが増えた現在では、ハードルは低くなったといえる。 そのためにQuake4のPoint Release 1.3以降にはこれらのダイナミックライティングを使わずに、アンビエントライティングという単一光源を使うという設定が付け加えられた。これによって陰に関する計算を短縮出来るために大幅な画質低下を代償とするが、大幅なパフォーマンス改善が出来るようになっている。 ゲームプレイ上の特徴として、ヒットボックスを採用せず、ポリゴン毎に当たり判定を設定するという物を採用し、よりリアルな戦闘を楽しめるようになっている(ただしマルチプレーでは当たり判定の処理が複雑になるのを防ぐため、今まで通りヒットボックスを採用)。 ネットコードが1フレーム1送信となり、サーバーとクライアント側で完全同期を計る(Source EngineならTick Rate100、QuakeIIIエンジンならsv_fps "125"設定)という形になったが、これがパケットロスやクライアントPCの処理落ち、サーバーPCの処理落ちなどに非常に弱いという弱点を持ってしまった(逆にそれらのないLAN対戦では完全な形で移動を可能にしている)。またトラフィックの影響とこのシステムの関係で、Quake4のポイントリリース1.4βまで最大フレームレートを60に制限せざるを得なかった。 同エンジンは、『DOOM3』に加え、『Quake4』や、『Enemy Territory: Quake Wars』、『Prey』などに採用された。
※この「DOOM3 Engine」の解説は、「Quake Engine」の解説の一部です。
「DOOM3 Engine」を含む「Quake Engine」の記事については、「Quake Engine」の概要を参照ください。
- DOOM3 Engineのページへのリンク