Al2(SO4)3とは? わかりやすく解説

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硫酸アルミニウム

(Al2(SO4)3 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 22:17 UTC 版)

硫酸アルミニウム
識別情報
CAS登録番号 10043-01-3 , 7784-31-8 (十八水和物) 
PubChem 24850
ChemSpider 23233 
UNII I7T908772F , TCS9L00G8F (十八水和物) 
EC番号 233-135-0
E番号 E520 (pH調整剤、固化防止剤)
RTECS番号 BD1700000
特性
化学式 Al2(SO4)3
モル質量 342.15 g/mol(無水物)
666.44 g/mol(十八水和物)
外観 白色の結晶性固体
吸湿性
密度 2.672 g/cm3(無水物)
1.62 g/cm3 (十八水和物)
融点

770℃(分解、無水物)
86.5℃(十八水和物)

への溶解度 31.2 g/100 mL (0 °C)
36.4 g/100 mL (20 °C)
89.0 g/100 mL (100 °C)
溶解度 エタノール、希薄鉱酸にわずかに溶ける
酸解離定数 pKa 3.3–3.6
磁化率 −93.0×10−6 cm3/mol
屈折率 (nD) 1.47[1]
構造
結晶構造 単斜晶系(水和物)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −3440 kJ/mol
危険性
NFPA 704
0
1
0
許容曝露限界 無し[2]
関連する物質
その他の陽イオン 硫酸ガリウム
硫酸マグネシウム
関連物質 ミョウバンを参照
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

硫酸アルミニウム(りゅうさんアルミニウム、Aluminium sulfate)はアルミニウム硫酸塩で、化学式 Al2(SO4)3·16H2O で表される無機化合物

別名で硫酸ばんど(硫酸礬土)ともいう[3]。礬土は酸化アルミニウムを意味する慣用語であり[4]常用漢字外などの文字を片仮名表記する学術用語の慣習[5]にならい硫酸バンドとも表記されるが、これは英語のbandと誤解されることもある[6]

概要

比重1.96の無色の針状結晶。熱すると泡をだして結晶水を失い無水塩 Al2(SO4)3 (比重2.71)となる。水に可溶で、特に無水塩は潮解性が強い。工業的にはボーキサイト粘土などを硫酸で処理してから不純物を除いて作る。イオンを含まない高純度品は精製水酸化アルミニウムを硫酸に溶解させて製造する。

水溶液から結晶化する際−19–95 °Cで16水和物が得られるが、他にも27、18、10、6水和物も知られている。

天然には無水塩のミロセビッチ石英語版、17水和物のアルノーゲン英語版が発見されているが、共に火山噴気孔や、自然発火した石炭ガスの噴気孔から生成する。

合成・製造

水酸化アルミニウム硫酸の反応で十六水和物が得られる。

2Al(OH)
3
+ 3H
2
SO
4
+ 10H
2
O → Al
2
(SO
4
)
3
・ 16H
2
O

硫酸アルミニウム(14 %固形換算値)の2016平成28)年度日本国内生産量は 573680 t、工業消費量は 92723 t[7]

用途

水の浄化剤(凝集剤)、食品添加物[8]皮なめし剤、媒染剤レーキ顔料の製造、製紙用の定着剤歩留向上剤)やピッチコントロール剤、医薬(収斂剤)などに広く用いられているほか、化学泡消火器コンクリートの硬化促進剤や殺ナメクジ剤などにも使用される。

製紙用薬品として重要であるが、硫酸アルミニウムを使用したには硫酸根が残り、これによって紙の酸性度が高まるため酸性紙と呼ばれ、数十年で劣化しやすく、長期保存上の問題が生じることがあるほか、塗工紙リサイクルして原料とした場合、表面に塗工されている炭酸カルシウムと反応して硫酸カルシウムが生じ、装置にスケールと呼ばれる石膏状の付着物を生じさせる問題もある。

脚注

  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0-07-049439-8
  2. ^ NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0024
  3. ^ JIS K 1423「硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)」日本産業標準調査会経済産業省
  4. ^ 中原勝儼「黎明期の化学用語」『化学と教育』第37巻第5号、日本化学会、1989年、492-497頁、doi:10.20665/kakyoshi.37.5_492 
  5. ^ 青戸邦夫「学術用語の標準化と「常用漢字表」の運用」『ドクメンテーション研究』第33巻第8号、情報科学技術協会、1983年、369-376頁、doi:10.18919/dokumen.33.8_369 
  6. ^ 川本和昭「下水道よもやま話: 111.<専門用語>」『JS技術開発情報メール』第125号、日本下水道事業団技術戦略部、2012年4月9日。 
  7. ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編 - 経済産業省(最終更新日:2017年10月17日)2017年10月25日閲覧
  8. ^ 硫酸アルミニウムカリウム(カリウムミョウバン)や硫酸アルミニウムアンモニウムとして。硫酸アルミニウムカリウムと硫酸アルミニウムアンモニウムの用途の解説 - 厚生労働省(更新日不明)2017年10月25日閲覧

参考文献

関連項目




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