テッベ試薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/25 03:37 UTC 版)
テッベ試薬 | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 67719-69-1 |
特性 | |
化学式 | C13H18AlClTi |
モル質量 | 284.60 g/mol |
他の溶媒への溶解度 | トルエン, ベンゼン, ジクロロメタン, THF (低温のみ) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
テッベ試薬(—しやく、Tebbe's reagent)は、有機合成化学において用いられるアルケン形成試薬のひとつ。チタンとアルミニウムをベースとし、メチレン単位と塩素原子によって橋かけされた構造を持つ。1978年にF.N.テッベが報告した。
合成
チタノセンジクロリドと2等量のトリメチルアルミニウムを混合することにより、メタンの発生を伴いつつテッベ試薬が生成する。
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反応機構
ルイス塩基の作用によって生成するチタンカルベン錯体 Cp2Ti=CH2 が活性種であると考えられている。ただしこの中間体は反応性が高く、単離・観測には成功していない。このカルベン錯体がカルボニル化合物と付加して4員環構造のチタナオキサシクロブテン中間体を与え、Cp2Ti=Oが脱離してオレフィンが生成するものと考えられている。チタン原子と酸素原子の強い親和性が、この反応の駆動力になっている。
応用
アリルエステルに作用させるとアリルビニルエーテルが得られ、これを加熱するとクライゼン転位を起こすため骨格変換に用いることができる。
関連試薬
- ペタシス試薬 - Cp2Ti(CH3)2 の構造を持つ。熱分解によりメタンを発生してテッベ試薬と同じ活性種 Cp2Ti=CH2 を生じ、同様なメチレン化反応に使える。
- リーツ試薬 - 分子式 Me2TiCl2 で表される。ケトン、アルデヒドをジメチル化する。
関連項目
テッベ試薬 (Tebbe's reagent)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/02 06:42 UTC 版)
「ウィッティヒ反応」の記事における「テッベ試薬 (Tebbe's reagent)」の解説
酸素と親和性の高いチタンのカルベン錯体を利用したオレフィン化反応。もっぱらメチレン化剤として利用される。塩基によりエノール化しやすいケトンも収率よくオレフィンに変換できる他、エステル、ラクトン、アミド、チオエステル類とも反応するといった基質一般性から、しばしば生理活性化合物の全合成に利用される。塩化チタノセン(Cp2TiCl2)およびトリメチルアルミニウムをトルエン中に混合することで調製でき、同溶液中に不活性ガス雰囲気化で保管可能。
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