ACジャパンの対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 02:10 UTC 版)
ACジャパンは3月16日、視聴者に不快な思いをさせたとしてお詫びの文章を発表した。また同日、テレビ各局にサウンドロゴの削除を依頼し、それにテレビ局が対応する形でサウンドロゴなしのCMが放映されるようになった。依頼が行われたテレビ局は全国160局以上に及んでいる。 また、このお詫びに先がけて、被災している状況において内容のそぐわない6本のCMの放送中止をテレビ局に依頼した。これらのCMの放送中止依頼が行われた日付(以下依頼日)については雑誌『日経エンタテインメント!』の記事、依頼理由については雑誌『FLASH』の記事を出典とする。また、2009年7月に団体名を変更したこともあり、前年度以前のCMを流さなかった。 子供たちが描いたもの(日本アイバンク協会支援CM) 依頼日:3月14日 依頼理由:CMに出演している子供の1人が地震の被災地である岩手県大船渡市出身であり、地震発生当初その子供の安否確認ができなかったため。 この子供は後に無事が確認されたとACジャパンの広報担当者は語っている。どの子供が該当するのかという点は非公表とされているが、『日経エンタテインメント!』の記事ではこの子供について「少年」という表現がされている(特定はしていない)。 知層(文字・活字文化推進機構支援CM) 依頼日:3月15日 依頼理由:「地層」をもじったCMのタイトルが、地震を引き起こす活断層を連想させる可能性があるため。 命のかげ(NHK共同キャンペーン) 依頼日:3月15日 依頼理由:CM中にある「命が消える」という表現が、震災で多数の死者・行方不明者が出ている状況にはふさわしくないため。 ありがとう あしながさん(あしなが育英会支援CM) 依頼日:3月15日 依頼理由:CM中に「親を亡くした」という表現があるため。 このCMはのちに当該表現を含むナレーションを差し替え、あしなが育英会の東日本大震災における活動についての部分を追加したうえで放送が再開された。 ちょっとだけバイバイ(3R推進団体連絡会支援CM) 依頼日:3月15日 依頼理由:瓦礫の山が残る場所で頑張っている被災者がいる中、ごみの分別を呼びかけている場合ではないため。 このCMの自粛については、行き過ぎたものであるという見方がある。 国境を越えた医者(国境なき医師団支援CM) 依頼日:3月15日 依頼理由:CMのキャッチコピーが「国の境目が、生死の境目であってはならない」であり、地震で安否不明の人がいる状況で放送するにはふさわしくないため。被災者の窮状を連想させるため、との説明もある。 CMの一部が放送中止されたことにより、残ったCMの放送頻度はさらに高まり、視聴者の苦情にあった「同じCMばかり流れてしつこい」という状況が悪化することになった。これにより、CM自体だけでなくその出演者にも批判が向けられるという事態に至った。これについてACジャパンのクリエイティブディレクターである尾形敏朗は「普段なら良いと思うメッセージでも、あまりに何度も見せられて、押し付けに感じられてしまったようだ」と述べている。 当初は中止の対象になっていなかった「オシムの言葉」「大切なあなたへ」(それぞれ日本脳卒中協会、日本対がん協会支援CM)に関しても、放送頻度の増加により中止された。この影響で国境なき医師団日本は東日本大震災という書き入れ時というときに広告展開を中止したということもあり、2010年度のみの展開だけでACジャパンによる支援を打ち切り、広告は国境なき医師団日本そのものの独自制作に移行した。最終的には放送できるCMが震災から3週間で「あいさつの魔法。」「見える気持ちに。」「あなたの手当て」「こだまでしょうか」の4本に絞られることになった。
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