10.12のその後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 07:47 UTC 版)
10月13日、川崎球場でのロッテ対オリックス最終戦。オリックスはロッテ先発園川一美から1回表にブーマー・ウェルズが先制の本塁打、続く2回表には藤井康雄の本塁打、4回表にはブーマーの2打席連続本塁打で3点を先取するが、先発佐藤義則が5回裏、愛甲猛に3ラン本塁打を打たれ逆転。8回表に一死満塁と反撃するが、園川をリリーフした伊良部秀輝に後続を打ち取られ、オリックスは5-3で敗戦。近鉄のマジックは1になった。この試合はTBSテレビが19:30 - 20:54の時間帯で全国中継を行った。この試合の勝利投手となった園川は先述のとおり「10.19」の第2試合の先発だったもので、コメントは「敵役は慣れているもの」だった。この日試合のなかった近鉄監督の仰木は、「園川」に因縁を感じたという。オリックスは、9月までロッテに対して14勝5敗1分けとカモにしていたが、10月以降は3勝3敗と勝ちを伸ばせなかった。 10月14日、藤井寺球場での近鉄対福岡ダイエーホークス戦。近鉄は1回裏に鈴木貴久の犠牲フライで1点を先制、4回裏に山下和彦と新井宏昌の適時打による3点、5回裏にリベラのソロ本塁打で、計5点を挙げた。中1日で先発して6回まで無失点の加藤哲郎が7回表に1点を返され一死一・二塁となったところで、投手をこれも中1日の阿波野に交代。スタンドからは阿波野コールが沸き起こり、阿波野は後続を断った。8回表はプロ初打席の大道典良に二塁打を打たれたのをきっかけに1点を返され、なおも一死一・二塁のピンチだったが、岸川勝也の投手強襲の打球を阿波野が好捕、一塁に送球し併殺に切り抜けた。 9回表は、鈴木が山本和範の右中間大飛球をフェンスに激突しながら好捕。続いて二塁手大石大二郎が藤本博史のイレギュラーバウンドした打球をジャンピングキャッチと連続ファインプレーで二死(阿波野は後年「みんな研ぎ澄まされた状態に」と表現している)。続く伊藤寿文に対しての阿波野は、「10.19」第2試合で打たれた本塁打を意識し、速球を投げ続けて三振に打ち取り、近鉄が5-2で勝って試合終了。近鉄はオリックスをゲーム差なしの勝率1厘差で上回り、9年ぶり3度目のリーグ優勝を果たした。 近鉄と1989年の日本シリーズを戦うこととなった読売ジャイアンツの監督の藤田元司は、報道陣に近鉄の優勝について質問が及ぶと、まれに見る3球団混戦を勝ち抜いたことへの敬意を示し、近鉄とは初めての日本シリーズとなることについて聞かれると(近鉄は)投手陣、打撃陣共にすばらしいものがある。手ごわい相手だが胸を借りるつもりでいくと述べた。なお日本シリーズは近鉄が3連勝と先に王手をかけたが、巨人が4連勝で逆転で日本一となった。 チーム123456789RHEダイエー 0 0 0 0 0 0 1 1 0 27 3 近鉄 1 0 0 3 1 0 0 0 X 56 0 ダ:村田、藤本修 - 内田、香川 近:加藤哲、阿波野 - 山下 勝:加藤哲 7勝2敗1S 敗:村田 6勝8敗 S:阿波野 19勝8敗1S本塁打(近)リベラ25号(5回村田) 審判球審:村田塁審:林忠・前田・永見外審:岡田哲・柿木園 ダイエー打順守備選手1 [右] 若井基安 打 大道典良 走中 山口裕二 2 [遊] 小川史 3 [中]右 佐々木誠 4 [左] 岸川勝也 5 [指] 山本和範 6 [三] 藤本博史 7 [一] 河埜敬幸 打 山中潔 打一 伊藤寿文 8 [捕] 内田強 打捕 香川伸行 9 [二] 森脇浩司 近鉄打順守備選手1 [二] 大石第二朗 2 [左] 新井宏昌 3 [指] R.ブライアント 4 [一] G.リベラ 5 [右] 鈴木貴久 6 [中] 村上隆行 7 [三] 金村義明 8 [捕] 山下和彦 9 [遊] 真喜志康永 この試合はレギュラー番組を休止して、当日19:00からABCテレビを制作局(制作協力:大阪東通・九州朝日放送)としてANN系列で生中継され(ただし、青森放送、山形放送、山口放送、テレビ大分など当時のNNN系列とのクロスネット局を除く)、29.5%(ビデオリサーチ、関東地区)の高視聴率を獲得した。実況はABCの太田元治が担当し、前年10.19の第2試合を実況した安部憲幸は近鉄ベンチレポートを担当した(解説:岡本伊三美・山本和行、ダイエーベンチリポート:西川恵三〈九州朝日放送〉) 最終順位(近鉄とオリックスのゲーム差は0、近鉄が優勝) 近鉄 71勝54敗5分 勝率.568 オリックス 72勝55敗3分 勝率.567 西武 69勝53敗8分 勝率.566 #参考文献のうち、仰木『燃えて勝つ』では、2年続きの激しい優勝争いについて「日本人の持つ情の部分へ強く訴えるものがあったのだろう」と仰木自身の思いが書かれている(130頁)。
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