魔法数と安定の島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 14:25 UTC 版)
詳細は「安定の島」を参照 .mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}} 超重核の予測される半減期(上)と崩壊形式(下)。陽子が多い合成原子核はZ = 120以降すぐに途切れると予想される。理由としてZ = 121からは半減期が1マイクロ秒よりも短くなり、Z = 122以降はアルファ崩壊ではなく自発核分裂の寄与が大きくなり、Z = 125からはそれが支配的になり、そしてZ = 130付近に陽子ドリップラインがあるためである。白いリングは安定の島の予想される位置を示している。白抜きの2つの正方形は291Cnと293Cnを示しており、半減期が数百年から数千年に及ぶ島の中で最も長寿命の核種であると予測されている。 2枚目の写真の左下にある黒い正方形はウラン238で、最も重い原生核種(地球ができてから現在まで生き残っているほど安定な核種)である。 原子核の安定性は、96番元素のキュリウム以降原子番号が大きくなるにつれて急速に短くなるため、101番より大きい原子番号を持つ同位体はドブニウム268を除いて、半減期が1日以下で放射性崩壊をしてしまう。原子番号が82(鉛)より大きい元素には安定同位体が存在しない。しかし、まだあまりよくわかっていない理由で、原子番号110~114付近では核の安定性がわずかに増し、核物理学では「安定の島」と呼ばれるものが存在する。この概念はカリフォルニア大学バークレー校のグレン・シーボーグ教授が提唱したもので,超重元素が予測よりも長持ちする理由を説明している。 非相対論的なSkyrme相互作用を用いたハートリー=フォック方程式による計算では、Z = 126が陽子の閉殻として提案されている。周期表のこの領域では、中性子の閉殻としてN = 184、N = 196、N = 228が提案されている。したがって、最も関心のある同位体は310126、322126、354126であり、これらは他の同位体よりもかなり長命である可能性がある。魔法数の陽子を持つ126番元素は、この領域の他の元素よりも安定していると予想され、半減期の非常に長い核異性体が存在する可能性がある。 また代わりに、球状の安定の島が306122を中心とする可能性もあり、これは二重魔法数かもしれないと考えられている。 核変形と相対論的効果を考慮した超重核での単粒子の解析では、Z = 126、138、154、164とN = 228、308、318の新しい魔法数が予想されている 。したがって、291Cn、293Cn、298Flを中心とした安定の島に加えて、さらに二重魔法数の354126や472164、482164の周りにも安定の島が存在する可能性がある。これらの原子核はベータ崩壊に対し安定で、比較的長い半減期でアルファ崩壊や自発核分裂によって崩壊すると予測されており、それぞれN = 228同中性子体近辺や152-168番元素にさらなる安定性を与えている。一方で同分析によると、354126のようなケースでは、陽子殻の閉じ方が比較的弱いかまたは存在しない可能性がある。こうした原子核は二重魔法数ではないかもしれず、安定性は主に強い中性子殻の閉じ方によって決定されることになる。さらに、第2の島(Z = 164)では電磁的な反発の力が非常に大きく、強い力に打ち勝つと考えられるため、この領域周辺の原子核は共鳴としてしか存在せず、原子核を有意な時間で保つことができない可能性がある。また、これらの系列の間にある超アクチノイド元素のいくつかは、両方の島から離れすぎているために実際には存在しない可能性もあり、その場合、周期表はZ = 130あたりで終わるかもしれない。 164番元素を超えると、核分裂性物質に対する安定性の限界を示す領域が中性子ドリップラインに収束し、より重い元素の存在に限界が生じる可能性がある。とはいえ、Z = 210、274、354、N = 308、406、524、644、772とさらなる魔法数が予測されており、616210と798274の2つのベータ崩壊に安定な二重魔法核が発見されたが、同じ計算方法で298Flと472164も予測された(Z = 354で予測された二重魔法核はベータ崩壊に対し不安定で、998354は中性子不足、1126354は中性子過剰であった)。616210と798274にはアルファ崩壊や核分裂に対するさらなる安定性が予測されており、616210の半減期は数百マイクロ秒にも及ぶが、Z = 114や164で予測されているような大きな安定性の島は存在しないと考えられている。超重元素の存在は閉殻による安定化効果に強く依存しているため、核の不安定性と自発核分裂が安定の島を超えて周期表の終わりを決定することになるだろうと考えられている。
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