駅自動放送
(駅アナウンス から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/28 04:06 UTC 版)

駅自動放送(えきじどうほうそう)とは、鉄道駅における自動アナウンスのことである[1][2]。
概要
駅でのアナウンス業務を自動音声化したものである。
大正時代には蓄音機を使った放送があったが、夢野久作によると「特別に異様な割れ鐘声」であったのことで、女優の声かなにかにしてほしいと感想を述べている[3]。
現代的な駅自動放送は1971年12月に開業した札幌市交通局の地下鉄南北線に世界で初めて実用化された。松下通信工業(現・パナソニック コネクト)が開発したシステムは、「文節編集合成方法」という、文節ごとにあらかじめ録音した人間の声を音声データにし、磁気ドラムに記憶させた上でプログラミングし、本来のアナウンスとして流すという方法だった。このシステムはその後成田空港、東京都営地下鉄、福岡市営地下鉄などにも採用されていく。[4]
国鉄・JRで以前より用いられてきたシステム[注釈 1]は駅ごとに管理され、駅員が運行状況を収集して操作し送出するスタンドアローンタイプで[1]、小規模鉄道事業者では現在でも引き続き用いられている[6]が、近年では主な鉄道事業者が列車運行管理システムを導入し、列車ダイヤに応じてアナウンスする内容をシステム側で制御して自動送出させることで、複数の駅の自動放送を一括管理する仕組みとなっている[2]。
東日本旅客鉄道(JR東日本)の東京圏輸送管理システム (ATOS) の場合、音節+助詞ごと(「今度の」「電車は」「発」など)に音源が細切れになって管理されており、その音源は4千種類にも上る[1]。これを同一の人物が吹き込んで音源を作成し、組み合わせて送出される[1]。臨時列車の運行などのたびに音源の作成が必要になり、年2-3回は収録が行われるという[1]。ほとんどの駅で上りと下りで男声・女声が使い分けられる[1]。加齢により担当者の声質が変化したときなどに担当者の交代が行われ、全ての音源が差し替えられる[1]。
なお、日本では当たり前のように駅構内で告知放送が行われているが、そもそもヨーロッパの鉄道では駅構内や車内で不必要に長々と案内放送をする習慣はなかった。しかし、各国で施行されたバリアフリー法の影響もあってか、自動アナウンスの種類が増加傾向にあるという[7]。英語圏でのアナウンスは必要最低限の表現で済ませる傾向があると言われていたが(例えば「電車とホームの間が、一部広く空いているところがございます。お降りの際は、足元に十分ご注意ください」という表現を「Mind the Gap, Please」で済ませるなど)、現在ではより丁寧な表現に変化し「列車とプラットフォームの隙間にご注意の上、ご乗車ください」のようになっている[7]。
関連項目
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h “JRの自動音声「中の人」交代 駅名など新たに録音”. 朝日新聞. (2015年4月27日) 2019年4月29日閲覧。
- ^ a b “建設プロジェクトを支える新技術 東京圏輸送管理システム(ATOS)”. 東日本旅客鉄道. 2019年4月29日閲覧。
- ^ 夢野久作 街頭から見た新東京の裏面
- ^ 『札幌地下鉄建設物語』札幌市交通局、1985年12月20日、333頁。
- ^ 榎本竜幸、柳沢啓二、池田宏、久保裕、緒方健二、服部暁彦「東北・上越新幹線運転管理システム(コムトラック)」『日立評論』第63巻第11号、日立製作所、1981年11月、 27-32頁。
- ^ “小型自動放送装置”. 永楽電気. 2019年4月29日閲覧。
- ^ a b 橋爪智之 (2016年9月21日). “日本の鉄道「英語アナウンス」は回りくどい? 英国のようにもっとシンプルで問題なし!”. 東洋経済オンライン. 2019年4月29日閲覧。
駅アナウンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 21:17 UTC 版)
京王電鉄 2002年1月25日の調布駅より採用されて順次更新、2007年時点で渋谷、八幡山、飛田給、分倍河原、東府中、高尾を除く65駅で採用 。最後まで旧放送のまま放送未更新だった渋谷駅が2012年3月21日に放送更新されて以降から現在は全線全駅で担当。 京浜急行電鉄 - 2002年3月に全線全駅で旧式アンプで採用、2003年3月末に北品川駅〜大森町駅間の8駅でMP3化。2007年現在品川のみ下り、それ以外の上り全72駅で採用中。遠隔放送(管理駅から子駅に対し一斉に放送)、啓蒙放送も担当。 小田急電鉄 - 新宿駅・小田原駅・唐木田駅・藤沢駅・片瀬江ノ島駅を除く全駅の下り線を担当していた。2001年9月28日に登戸駅で初採用。2004年に順次終了。 西武鉄道 - 武蔵境、新小金井、多摩、競艇場前、西武球場前、遊園地西、下落合(女声放送していない)で使用。 東武鉄道 - 若葉、高坂、鶴ヶ島で使用開始、2008.6.14のダイヤ改正で東上線全駅に採用。本線野田線系統は亀戸、東向島、鐘ヶ淵、梅島、大師前、谷塚、草加、松原団地、新田、大袋、武里、北春日部、姫宮、杉戸高野台、幸手、新鹿沼、西川田、和戸、花崎、南羽生、羽生、佐野、東小泉、福居、足利市、北大宮、大宮公園、東岩槻、八木崎、南桜井、川間、江戸川台、初石、おおたかの森、新柏、増尾、高柳、六実、新鎌ケ谷、馬込沢、塚田で使用。 東京急行電鉄 - 渋谷駅の終電前5本分の深夜放送及び全日禁煙・携帯啓蒙放送。案内放送は自由が丘駅、武蔵小杉駅、あざみ野駅、緑が丘、九品仏駅、尾山台駅の各駅に拡大。 京成電鉄 - 海神駅、お花茶屋駅、国府台駅、検見川駅、西登戸駅、大和田駅、青砥駅、大神宮下駅、大佐倉駅、新千葉駅、京成金町駅、柴又駅で使用。特急清掃案内は京成上野駅・京成成田駅で使用。 相模鉄道 - 弥生台、希望ケ丘、鶴ケ峰、南万騎が原、西横浜、星川、横浜、二俣川、大和、いずみ野、いずみ中央、海老名で使用。 江ノ島電鉄 - 藤沢駅、長谷駅、稲村ケ崎駅、江ノ島駅・鎌倉駅で使用。
※この「駅アナウンス」の解説は、「大原さやか」の解説の一部です。
「駅アナウンス」を含む「大原さやか」の記事については、「大原さやか」の概要を参照ください。
- 駅アナウンスのページへのリンク