長期保管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/01 23:11 UTC 版)
「福島第一原子力発電所5号機の建設」の記事における「長期保管」の解説
5号機の設計は基本的には同所で東芝が下請を行った2号機や、主契約者として受注した3号機を踏襲したものだが、藤田京らによれば元々国内外に先行機が存在していたため、設計・工程上取り入れ可能な改良案は出来るだけ採用する方針であった。更に着工後、電力需要状況悪化により1975~1976年の約2年間、長期保管期間を挟んだため、この期間を最大限利用して国内外の先行BWR機の貴重な経験を及ぶ限り盛り込むことができた」と述べている。結果、建設には76ヶ月の期間を費やしている。 商業運転開始運転前に実施される試運転は「運転前系統試験」と燃料装荷後営業運転開始に至る「起動試験」に大別されていた。この内、運転前系統試験については、BWR-4の800MWクラスの場合、一時水圧試験以降6か月を標準としている。試験内容は実運転に近い状態で系統ごとに運転し、設計仕様を満足することを確認することが目的である。5号機の場合、水圧試験と系統試験開始は予定工程通りだったが、その後試験を中断し、約2年間の保管を経ることとなり、試験を再開し、燃料装荷するまで2年半となる変則工程であった。 この結果、5号機で新設された下記の系統については、工場でモックアップテストを実施し、現地での新設計によるトラブルを防止した。 燃料自動交換機 可燃性ガス濃度制御系 CRD(制御棒駆動装置)自動交換機 保管を実施する際には下記を基本方針とした。 各機器の機能を損なわず維持し起動に繋げる。このため、機器を定期的に運転に入れて回転機の劣化防止、機器、計装品、電気品の初期トラブルの早期発見に努めて機器信頼度の向上を意図した。 配管機器の防錆を徹底し、起動時の炉心へのクラッド持ち込みを最小限に抑制する。このため、特に主蒸気系、給水復水系の防錆に注力し、防錆方法としては温風乾燥保管を採用した。また、プラント起動前には一次系配管機器の計画的な浄化を実施した。中村良市によると、清掃は5号機建屋全般にも及んだが、これは運転開始後の汚染度を低減する目的があった。 その他、必要性を認めた機器については定期的に分解点検を実施し、保管方法の妥当性を確認した。 その後、応力腐食割れ対策等で先行機に実施された改造を本機も建設中に取り入れるため、改造を実施した。結果、保管後の1976年12月に再度第一次原子炉圧力容器水圧試験を受検した。
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