金本明博選手の契約変更
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:34 UTC 版)
「育成選手制度 (日本プロ野球)」の記事における「金本明博選手の契約変更」の解説
2007年4月26日、中日ドラゴンズは入団2年目の金本明博を投手から野手へと転向させる。それに伴いこの年中の一軍昇格はないと判断し、さらに加えて上限の70名まで埋まっている支配下登録選手枠に空きを作りたいという思惑から、金本をウェイバー公示にかけて他球団から獲得の意思がなかった場合に育成選手として再契約することを決めた。この手法に対して選手会は「戦力補強の抜け道になりかねない。本来の制度趣旨と違う」と中日球団に抗議。これに対して中日監督の落合博満は「本人と充分に話し合って同意を得た上で、決められたルールに従ってやったことだ。本来なら金本は、8月には整理リストに入っていても(解雇の候補に挙がっても)おかしくない選手。育成選手枠の存在があるからこそ、金本は今も中日のユニフォームを着ていられるんだ」と真っ向から反論した。 5月1日、セントラル・リーグの会長の豊蔵一は金本のウェイバー公示の取り消しを中日球団に通告。「育成選手枠の本来の趣旨と違う」「総合的に判断して決めた。ウェイバー公示の一方的な取り消しは規約違反だと分かってはいるが、承知の上」と弁明。だが落合監督は「正規のルールに従ってやっていることなのに、なぜそういうことになるのか」と重ねて反論。 5月7日、中日球団はウェイバー公示を再申請したものの、セ・リーグはこの申請を却下。中日球団はこの決定を不服とし、「申請の不受理は野球協約違反」を理由にコミッショナーに提訴する方針を発表した。 5月11日、中日の球団社長の西川は「ズルズルいくと球団にも金本にも益がない。他球団ともぎくしゃくした関係が生じかねない」として、コミッショナーへの提訴を断念した。これに対し、豊蔵は「中日球団が球界全体の利害を考慮し、現実的で穏当な判断をされたものと思う。連盟の不手際などで金本選手は不安な思いだっただろうが、今後は野球に専念し、グラウンドでいい結果を残してくれるよう活躍を期待する」との談話を発表した。ただし中日球団は「あくまでもルール通りにやったことでこちらに一切不備はない」と強調。連盟に対して育成選手枠に関してのルールの見直しを強く要求している。 10月29日、球団は金本へ戦力外通告するとともに自由契約とし、育成選手での再契約を提示するが、金本はこれを拒否し引退を選択した。 日本プロ野球選手会の会長の東京ヤクルトスワローズの宮本慎也は一連の騒動において、「球界のためにもいい制度であってほしい。金本君と一度会って、今後のことも含めて話をしたい」と語っていたが、実際に会談が行われたかは不明。 この一連の事例は育成制度導入前に問題点と指摘されていたが、ルール上問題なしとされていた。(ただし選手会との合意が取れていたかは不明)
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