野党転落後 (2010年 - 現在)
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「労働党 (イギリス)」の記事における「野党転落後 (2010年 - 現在)」の解説
その後エド・ミリバンドが兄弟対決を制して新党首に選ばれ、党の再建に当たることとなった。ミリバンドはブラウン寄りの党内左派であり、組合重視の姿勢を示している。これにより、労働党・保守党・自民党の主要3党の党首すべてが40代という若返りを実現した。 2012年5月の統一地方選挙では、首都ロンドンの市長選挙は落としたものの、リバプールでの初の市長選挙で圧勝した。181議会における議員選挙でも地滑り的な大勝を収めた。 政権奪還を賭けた2015年イギリス総選挙では選挙前の世論調査では保守党と支持率が拮抗していたが、選挙結果は地盤だったスコットランドの議席の殆どをスコットランド国民党(SNP)に奪われるなどしたために26議席を失って敗北した。勝てるはずの選挙を落としたミリバンドは、敗北の責任を取って党首を辞任すると表明した。 後継を選出する党首選挙では、党内最左派で反緊縮などを掲げるジェレミー・コービンがUNITE(イギリス最大の単一労働組合)他多数の労働組合からの支持と一般党員の熱狂的な支持を受けて最有力に躍り出ると、圧倒的な得票率で当選し、翌年にはイギリスの欧州連合離脱決定を受けて再び実施された党首選でも圧勝し、再選した。 コービンはブレアやブラウンら党内穏健派からは根強い反発を受けていたが、2017年イギリス総選挙で30議席増の262議席を獲得し、保守党を単独過半数割れに追い込んだ。しかし、318議席と第1党を維持した保守党からの政権奪還は叶わなかった。 2018年の地方選挙では予想に対して議席が伸び悩み、支持率の頭打ちが指摘されている。労働党内の反ユダヤ主義を押さえきれていないとの批判があり、ユダヤ人の多い選挙区では軒並み保守党が勝利した。 2019年2月18日にコービンに反発した所属議員7人が離党した。英政界で行われた離党としては過去40年近くで最大のもの。 2019年8月に50項目以上に及ぶ公約を発表した。その中には商業捕鯨の禁止・競馬におけるムチの使用の見直し・ロブスターやカニなどを生きたまま茹でる調理法の禁止・ガチョウやアヒルの肝臓を肥大化させたフォアグラの輸入禁止など動物保護・愛護の視点から打ち出されたものも含まれた。 2019年12月の総選挙では、焦点となっていたブレグジットへの態度を曖昧にしたことなどが影響して59議席を失い、1935年以来の記録的大敗を喫した。総選挙で大敗を喫した後、コービン党首が辞任した。2020年4月4日にキア・スターマーが新党首に選出された。 近年は、スコットランド民族主義への対応・ヨーロッパ連合への態度から年々議席を減らしている。かつてレッド・ウォールと言われるほど岩盤支持地域であったイングランド北部・スコットランドで「労働党離れ」が進んでいて、親EUイングランド都市部層が支持基盤となっている。スコットランドでは親EU・反イギリス連邦のスコットランド民族主義左派政党であるスコットランド国民党にスコットランドの支持基盤そのものを、イングランド北部ではヨーロッパ連合離脱・移民と難民削減を求める労働者層を保守党に奪われた。
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