道教以外の呪符
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 05:10 UTC 版)
陰陽道系 - 陰陽道とは、「萬物に陰陽の二元的な原理を立て、また、五行と称する五つの元素的な要素を組み合わせて、すべての存在、減少を解釈し、その意味を考える。」ことを重視している。 古代日本には陰陽寮があったため、日本を代表する呪符のものとも言え、呪符が発掘されることがある。たとえば静岡県浜松市の伊場遺跡出土から出土した呪符木簡は縦322㎜、横67㎜、厚さ4㎜で、釈文を『上代木簡資料集成』に従って示すと、 1行目 百恠咒符百々恠宣受不解和西恠□□〔亡ヵ〕令疾三神□〔宣ヵ〕□□ 2行目 宣天罡直符佐□當不佐□〔亡ヵ〕急々如律令 3行目 弓 龍神 4行目 (絵) 人山龍 急々如律令 5行目 人山龍 1行目 戌 2行目 戌 (符籙)急々如律令 3行目 戌 と記載されており、「百恠咒符を百々の恠、宣受せよ」で始まり、「疾三神」や北斗星を意味する「天罡(岡)」などの用語を用いつつ末尾に用いる「急々如律令」の定型句がある。年代については7世紀末~8世紀前葉、8世紀後半~10世紀中頃の説があって一致しない。 上記で「(絵)」、「(符籙)」と示した部分の具体的様相を示す図版は発掘調査調査報告書で確認でき、釈文の別解は奈良文化財研究所のデータベース「木簡庫」で確認できる。 当該の木簡と中国の昌寧で出土した木簡との関連を述べた論文もある。 呪符木簡については、奈良文化財研究所のデータベース「木簡庫」のメニューから「キーワード」に何も入れず、項目検索→内容→呪符をチェックして検索すると2020年1月現在で登録点数54812件中、590件ほどヒットする。 神道系 - これは日本固有のもので、神社や神道系の宗教団体から排出されている。日本を代表するものである。まさに神社などで販売されてい「お守りやお札」に近い感じである。るじ 密教系 - 真言密教、天台密教が源であり、梵字や諸仏、諸天などが付図の各所に書かれている。密教制度ということもあり、信者が気を付けて使用しなければならないという使命が存在している。 修験道系 - 修験道は日本古来の山岳信仰に基づくものであるが、天台、真言の密教をはじめとして、神道、道教、民間宗教などの要素が混在している。修験道は一般民衆の現世利益の要求にこたえて各種の霊符を作っている。 寺院の霊符 - 日本の多くの寺院では「御影」と呼ばれる諸仏の姿を版木などで掘ったものを、病気直しや災難除けの霊符として授与することが少なくない。神道系と同様、日本で販売されているお守りに似ている。 日蓮系 - 日蓮はみなご存じの通り、布教の方便として、『法華経』に基づく霊符作って大きな霊験を得たとされている。これもまた、日本を代表するものである。 その他 - 明治に活躍した会津の易者中川万之丞は、真言密教、修験道、神習教を修行し、福島県岩瀬御料地の神職補少教監になった。信者に独特の符を与え、「東方木徳神守護・九字の四縦五横の線」が残されている。(大東流武田惣角研究家 池月映)
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