運輸省試算と整備新幹線財源問題の合意
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「昭和三大馬鹿査定」の記事における「運輸省試算と整備新幹線財源問題の合意」の解説
先の部分着工の具体的検討を行った結果として、1988年8月11日運輸省の「整備新幹線各線の暫定整備計画」、いわゆる運輸省試案が説明された。この試算結果では、スーパー特急方式およびミニ新幹線方式を導入することなどを柱に建築費見積りを圧縮した。その額は1兆3800億円であり、当初の2兆9200億円の半分以下になった。 しかしこの運輸省試案は、促進派を失望させた。一部では「ウナギを注文したのにアナゴやドジョウが出てきた」と不満を漏らした。それに対して運輸省関係者は「腹がへっているならとりあえずドジョウを食べてみて、そのうえでウナギも必要かどうか考えてほしい」と反論。また運輸大臣だった石原慎太郎は「将来は立派な新幹線になる出世魚と受け止めて欲しい」と理解を求めた。また大蔵省も「巨額の支出は認められぬ」とし、この運輸省案も反対の姿勢を明確にした。 同年8月31日、整備新幹線の着工順位が決定、北陸新幹線の高崎 - 軽井沢間が筆頭となった。残る課題はJR各社、地方と国の建設費の負担割合であった。最終的には自民党と政府との政治折衝に持ち込まれ、大蔵原案内示前の段階、1989年1月17日に事実上の3ルートの同時着工で合意した。合意は要約すると以下の内容である。 線路部分の建設費の地方負担割合を10% 駅舎部分の建設費の地方負担割合を25% 建設を負担する地方自治体に地方債の発行を認める 復活折衝前の合意は異例のスピード決着であった。この背景には以下の様な目論見があったと言われている。 最終局面での政治折衝で着工を決めると、「消費税導入よる増収で着工に踏み切った」という印象を与えることを懸念。 竹下内閣の目玉政策であったが具体策に乏しい「ふるさと創生事業」の起爆剤にしようと考えたこと。 この年の夏に予定されていた参議院選挙対策。 この時も整備新幹線担当であった田谷主計官は、同日の記者会見にて「評価、感想は一切言わないよう言われてきている」と冒頭に述べ、失言するなと事前にクギを刺されたことを明かし、大蔵省内の複雑な心境をにじませた。
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