運輸省の事故調査委員会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 03:30 UTC 版)
「ニュージーランド航空901便エレバス山墜落事故」の記事における「運輸省の事故調査委員会」の解説
運輸省の事故調査委員会の調査にはアメリカの国家運輸安全委員会 (National Transportation Safety Board; NTSB)、連邦航空局 (Federal Aviation Administration; FAA)、マクドネル・ダグラス社、およびゼネラル・エレクトリック (GE) 社も協力した。事故調査委員は現場調査を終えた後、ニュージーランドへ帰国し調査を続けた。ブラックボックスの解析のほか、メーカーの製造記録、乗員に関する記録、そして当時の気象状況などが調査され、メーカー所在地であるアメリカやイギリスでの調査も行われた。 回収されたコックピットボイスレコーダー (CVR) とデジタルフライトデータレコーダー (DFDR) はいずれも大きな損傷はなく、記録の状態は良好であった。CVRには墜落までの32分50秒間の音声が記録されており、DFDRは事故の衝撃でテープが一部破損していたものの、墜落までの41分間のデータが復元された。 CVR、DFDR、検死および毒性学的検査の結果から運航乗務員に何らかの異常は示されなかった。機体や航法装置、搭載物などにも問題は見られなかった。事故機の航法コンピューターの記憶装置は回収され、飛行後半の情報が復元された。慣性航法ユニットは許容誤差範囲内で正しく位置を表示しており、ケープ・ハレット以降の飛行経路は飛行計画通りだったことが分かった。 事故調査委員会は事故原因を乗員のヒューマンエラーとした。報告書で示された事故原因は概ね次のとおりである: 事故の原因は、自機の位置が確かでない状況で、地平線の区別がつきにくい空域を低高度で飛行し続けた機長の決断にある。それにより、進路に立ちはだかる斜面に気づくことができなかった。 ニュージーランド航空の安全規定ではマクマード上空までは高度16,000フィート(約4,900メートル)を維持することになっていた。この高度以下に降下できるのは限られた区域内のみで、視程が20キロメートルあり降雪がないこと、さらにレーダー管制とコンタクトした後で実施するという条件が加えられていた。しかし、規定に反してマクマード上空に到達する前に事故機は最低安全高度以下まで降下した。その背景には複数の問題が存在したことを調査報告書は指摘している。
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