ブラックボックスの解析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 07:50 UTC 版)
「インディアン航空605便墜落事故」の記事における「ブラックボックスの解析」の解説
調査団は、事故現場から回収された事故機のCVR(コックピットボイスレコーダー)とFDR(フライトデータレコーダー)を解析していくことにした。FDRより、事故機は、『オープンディセントモード』によって飛行していたことがわかった。『オープンディセントモード』は、着陸時にエンジンの出力を絞り、適正な出力にしてくれるものだが、このとき、事故機の高度は通常の着陸進入時よりも高い高度を飛んでいた。 機体の高度を下げるためにエンジン出力はほぼアイドリング状態になった。 乗客たちは、エンジンの音がほとんど聞こえなくなってざわつき始めた。そんな中、副操縦士がオートパイロットを解除し、手動での着陸を行っていたが、高度が高かった。機長は「ゴーアラウンド(着陸復行)するか?」と副操縦士に問いかけた。しかし、操縦を担当する副操縦士は、「大丈夫です」と答え、急に操縦幹を前に倒して機体を降下させた。 これにより、機体は急降下し、速度も上がった。チェックリスト項目を全て終えた機長は降下率の設定を行い、装置に700ftと打ち込んだ。だが、このとき機長が打ち込んだのは降下率ではなく、高度の設定であった。よって、機体は高度700フィート (215m) に設定された。 HALバンガロール空港は、町の中の人工的な盛り土上に位置し、標高は2912フィート (888m) であった。空港の標高を大きく下回る高度を飛行したが、パイロットは気づいていなかった。 降下率を設定するキーと、高度を設定するキーは互いに隣り合わせに配置してあり、混乱を招いたのではないかと推測された。さらに、機長の操作により、一度解除された『オープンディセントモード』が再び作動し、エンジン出力が再び下がった。これによって機体は十分に推力を得ることができなかった。差し迫った墜落の危機にもかかわらず、パイロットたちはいつもと変わらず、着陸体制をとった。 そのとき、機長は「フライトディレクターをONにするかね?」と副操縦士に問いかけた。フライトディレクターは、自動操縦での着陸を一時留保し、再度やり直すためのモードで、機長側と副操縦士側のそれぞれで設定すると着陸がやり直される。フライトディレクターがONになっている機長の質問に対し副操縦士は、『結構です』と答えた。もし、この時点で副操縦士もフライトディレクターをONにしておけば、機体は墜落を免れただろうと予測されている。 結果的に機体は降下を続け、ゴルフコースに着地した。
※この「ブラックボックスの解析」の解説は、「インディアン航空605便墜落事故」の解説の一部です。
「ブラックボックスの解析」を含む「インディアン航空605便墜落事故」の記事については、「インディアン航空605便墜落事故」の概要を参照ください。
- ブラックボックスの解析のページへのリンク