通り字とは? わかりやすく解説

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とおり‐じ〔とほり‐〕【通り字】

読み方:とおりじ

人の実名祖先から代々伝えて付け文字源氏頼朝頼家の「頼」、義朝義経の「義」の字、平氏清盛知盛維盛の「盛」の字など

世間一般通用して使われる俗字


通り字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/07 18:06 UTC 版)

通り字(とおりじ)または通字(とおりじ、つうじ)は、日本の人名において、主に平安時代から江戸時代にかけて、貴族武士の間で広く用いられた、一族家系内で世代を超えて共通して用いられる漢字のことである。一族の中で特定の漢字を名前の一部として継承することで、家系の連続性や伝統を強調し、社会的地位や家格を示す手段となった。

通り字の役割と重要性

通字の役割
家系の識別:通字は一族内の連続性や血縁関係を示すために使用された。
家格の表示:高位の家系は独自の通字を持ち、その使用には厳格なルールが存在した。
通字の継承
家系ごとに固定:通字は家系ごとに固定されており、他家の通字を使用することは避けられた。
無断使用の忌避:特に高位の家系の通字を無断で使用することは、問題視された。

歴史的背景

奈良時代後期から平安時代前期

日本では、奈良時代後期から、中国の人名にならって、人名(実名)は漢字二字とする傾向が出てきた[1]。平安時代前期になると、唐風を好んだ嵯峨天皇は、親王として皇族に留めた皇子たちに「 正良 まさら」「 秀良 ひでよし」「 業良 なりよし」「 忠良 ただよし」「 基良 もとよし」といった漢字二字の名をつけた。これ以降、仁明天皇の親王皇子には「康」の字を共通に用い、文徳天皇の親王皇子には「惟」、清和天皇には「貞」の字を使い兄弟間で共通の漢字一字を使用する命名法・兄弟通字が広まり、公家や武家でもその傾向が見られるようになった[2]

鎌倉・室町時代

平安後期になると、苗字が発生し、社会的にも世襲の風習が強まるとともに、父祖など先祖の名の一字を受け継ぐ形の通字が一般化した。天皇家でも、平安後期の後冷泉天皇後三条天皇兄弟以降、現在に至るまで天皇家の男子(僧籍に入らない者)の大半に「仁」の字が用いられている。中央・地方の名族も同様の命名を行うようになり、鎌倉時代以降は特に強くなった。これにより、「兄弟通字」から「歴代通字」へと変化した。

通り字の例

嵯峨天皇の親王

嵯峨天皇は、親王たちに「良」の字を共通して用いた。これにより、皇族内での連続性が強調された。

通り字:「良」

源氏

通り字:「義」

  • 源義家 みなもとの よしいえ
  • 源義親 みなもとの よしちか
  • 源義仲 みなもとの よしなか
  • 源義経 みなもとの よしつね

伊勢平氏

通り字:「盛」

他の平氏の系統

平高望 たいらの たかもちの子孫であり、複数の系統に分かれている。

通り字:各系統で異なる通字を使用。例:「貞」「正」「忠」など。

  • 平貞盛 たいらの さだもり
  • 平忠常 たいらの ただつね
  • 平正輔 たいらの まさすけ

北条氏

通り字:「時」

足利氏

通り字:「義」

武田氏

通り字:「信」

上杉氏

通り字:「憲」

伊達氏

通り字:「宗」

※「宗」の字は含まれていないが、祖先に「宗」の字が多く使われている。

毛利氏

通り字:「元」

島津氏

通り字:「久」または「忠」

織田氏

通り字:「信」

徳川氏

通り字:「家」

大友氏

通り字:「親」

立花氏

通り字:「統」

  • 立花道雪 たちばな どうせつ
    • ※元の名は「立花 鑑載 あきとし
  • 立花宗茂 たちばな むねしげ
    • ※「宗」の字も使用

浅井氏

通り字:「政」

関連項目

外部リンク

  1. ^ 角田 2008, p. 89.
  2. ^ 樋口 1970, p. 34.



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