近世俳諧における無季とは? わかりやすく解説

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近世俳諧における無季(雑)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/04 01:01 UTC 版)

無季俳句」の記事における「近世俳諧における無季(雑)」の解説

俳句俳諧俳諧連歌)の発句独立して読まれるようになったことから成立した形式であるが、鎌倉時代成立した連歌においては発句には必ず季語(季の詞)を入れるべきものとされていた。例え二条良基連歌書『連理秘抄』(1349年成立)には、「発句時節景物そむきたるは返々(かへすがへす)口惜しき事也」と、発句当座季節合わない句を用いることを戒める言葉記されている。しかし発句以外の部分では一定の式目ルールに従って無季の句を詠むことが可能であったこのような無季の句は「雑(ぞう)の句」と呼ばれ例えば百句で成立する形式の「百韻」では、全体のほぼ半数が雑の句によって占められるのが普通であった連歌発句において季語求められたのは、これらが「座」の文芸であり、当季の季語用いて句を作ることが、その席で作られた句であることを示す当意即妙性の証と見なされたからである。近世になって連歌では用いられない漢語俗語俳言はいごん)と呼ばれた)を使用した俳諧連歌成立するが、以上のような連歌決まりごと俳諧連歌においても継承され発句において無季の句が詠まれることは非常に稀であった一方芭蕉時代から俳諧連歌興行とは独立して発句のみを作った鑑賞したりすることが行われるようになり、このような発句においては必ずしも多くはないものの無季の句が作られている。芭蕉門人向井去来著書去来抄』では、門人・卯七からの「蕉門無季の句興行侍るや」(蕉風では無季の句を発句とした俳諧連歌興行行われますか)との質問対し去来次のような返答をしたと記されている。 無季の句は折々あり。興行はいまだ聞かず先師引用者注:芭蕉のこと)曰く発句四季のみならず、恋、旅、離別等、無季の句もありたきものなり。されどいかなる故ありて、四季のみとは定めおかれけん。そのことを知らざれば、暫く黙しはべるなり。 芭蕉無季発句後掲するものを含む9句が知られている。のちに芭蕉門人一人であった広瀬惟然は、無季発句を当然あるべきものと主張し、『二葉集』『花の雲』『当座仏』などで自身門人とともに無季発句多数発表した。しかし奇矯作風流れたことが災いしその主張広く受け入れられることはなく、以後近世中には無季の句をめぐる運動は起こらなかった。 以下、近世俳諧における無季の発句の例を挙げる歩行(かち)ならば杖つき坂を落馬かな 松尾芭蕉世にふるもさらに宗祇のやどりかな 同 油さし油さしつつ寝(い)ぬ夜かな 上島鬼貫歌書よりも軍書にかなし吉野山 各務支考さつと鳥よふはふはふうはふは 広瀬惟然襟にふく風あたらしきこゝちかな 与謝蕪村亡き母や海見る度(たび)に見る度に 小林一茶

※この「近世俳諧における無季(雑)」の解説は、「無季俳句」の解説の一部です。
「近世俳諧における無季(雑)」を含む「無季俳句」の記事については、「無季俳句」の概要を参照ください。

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