貸付・有価証券投資
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/16 14:32 UTC 版)
1980年代後半のバブル景気時代には住宅金融専門会社(住専)に多額の貸し込みを行っていた。リスクの大きい物件の不動産融資に傾注していた住専は1990年代に入り、バブル崩壊とその後の平成不況による地価下落・住宅価格下落で破綻し、農業協同組合等の系列金融機関(JAバンク系)も破綻は時間の問題となっていた。しかし、1996年の第136回国会、通称住専国会における特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法の制定に伴い、国費により住専の債権が買い取られたことにより救済され、破綻を免れた。その過程で、農水省経済局長は大蔵省銀行局長との会談にて「農林系金融機関の返済を優先する」との覚書を得ている。 「住宅金融専門会社#特定住宅金融専門会社の破綻問題」も参照 1986年(昭和61年)9月の農林中央金庫法の改正による特別民間法人化、2001年(平成13年)の金庫法全面改正を経て経営体制の大幅刷新、および投資銀行へと大きく舵を切り、資金余剰で金利の低い国内金融を縮小し、金利の高いアメリカ合衆国連邦政府を中心とする外国債権購入・外国債券投資を増やした。この転換は、連邦準備制度の金利引き上げと円安傾向と相まって、利ざやが大きく巨額の利益をもたらした。しかし、2007年後半からアメリカ合衆国のサブプライムローン問題の顕在化で、これまでとは逆の連邦準備制度理事会の金利引き下げと米ドル安トレンドとなり、2008年(平成20年)3月期の最終利益は過去最高を達成したものの、日本の株価の値下がりの影響による870億円余りの損失と合わせて2743億円の損失も計上することとなった。 2008年(平成20年)度に入って、サブプライム住宅ローン危機はさらに深刻化、金融危機が米連邦住宅抵当公庫(ファニー・メイ)や米連邦住宅金融抵当公庫(フレディ・マック)の旧連邦政府系金融機関にも及び、ファニー・メイの株価だけでなく両社発行の社債価格も大幅に下落した。両者の社債を三菱東京UFJ銀行の保有額を超え、日本最大の5兆5000億円を保有する農林中金は、再び不動産金融で危機を迎えるのか予断を許さない状況だったが、政府管理下に置かれて元利払いが継続されるため、この問題は乗り越えた。9月中間決算で証券化商品の評価損として810億円を処理した。
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