観測装置の進化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 08:14 UTC 版)
一方、観測装置の発達は照準・誘導装置のそれよりはゆっくりとしており、現代の誤爆の主要な要因は目標の誤認となっている。すなわち爆撃には成功しているものの爆撃した目標が本来の攻撃目標では無かった場合である。近年の戦争では国内外の圧力によって味方兵員や中立国、敵国非戦闘員の犠牲が次第に許されなくなってきているため、誤爆は戦争犯罪と指弾される。 NATOのコソボ紛争介入における爆撃の際に発生した中華人民共和国大使館誤爆事件やアメリカによるイラク戦争での民間施設への誤爆、2015年にアフガニスタンで発生したクンドゥーズ病院爆撃事件などは「戦時国際法違反」として、発生するたびに問題としてニュースに取り上げられた。 イラクやアフガニスタンでの戦闘では、ゲリラ側が誤爆を逆手に取って、民間人居住区や施設から攻撃する「人間の盾」戦法を駆使し、国際世論を気にするアメリカ軍や多国籍軍を手こずらせている。そのため、重要な作戦では誤爆のリスクを承知で攻撃を許可する場合もある。 たとえばアメリカ軍では、重要目標1人の殺害において民間人29人までの犠牲が司令官の裁量で許されており、殺害目標も含めて30人以上が犠牲になる場合には、大統領または国防長官の許可が必要となる。イラク戦争においては、サッダーム・フセインを含めた最重要指名手配者殺害のため民間居住区への空爆を50回近く許可した。しかし、結局一人も仕留める事ができなかった上に誤爆により200人近くの民間人が犠牲になったこと、アメリカ合衆国に憎悪や反米感情を抱く者が増えたため、空爆の効果自体疑問視されるようになった。 これらの誤爆の多くは、事前に入手した目標に関する情報の誤りや伝達ミスによるものであり、戦場における情報の伝達は今後の課題とされている。情報マネージメントの改善に対する技術的なアプローチとして、アメリカ合衆国では「ネットワークを中心とする戦争(英語版)」などが構想されているが、上記のケースを見ても明らかなように、未だ完成した状態にはない。
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