西洋化の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 21:52 UTC 版)
述べたとおり、日本の食生活は西洋化の影響を受けてきた。1950年から1975年の間に劇的に変化し、牛乳15倍、肉、鶏肉や卵は7.5倍、脂肪は6倍となり、一方で米の消費量は0.7倍に減少した。この西欧化は、若い世代、金銭に余裕がある人々、農家でなく、都市に居住している人々に顕著である。日本の栄養の傾向は、1945年には炭水化物の比率は約80%を占め脂質は10%に満たなかったが、2000年には糖質は60%へと減り、脂質は25%へと増加している。 沖縄は、2000年代初頭には世界に名だたる長寿地域であったが、2010年代には65歳以下の若い世代の男女の死亡が増加し、NHKは「長寿崩壊の危機」として特集した。沖縄は(アメリカによる占領の歴史によって)全国に先駆けて食事が西欧化してきており、脂肪の摂取比率が若い世代ほど全国平均より多く、肥満者も多くなり、心筋梗塞や脳梗塞などいわゆる生活習慣病の増加が、65歳以下の死亡を早めていった。このような傾向を日本の他の地域も後追いするといわれている。 2010年前後には、老化のプロセスや生活習慣病の発症は酸化ストレスだけでなく、糖化ストレスが考えられるようになってきた。脂肪とタンパク質の多い動物性食品を加熱することによって終末糖化産物(AGE)の多い食品となるが、西洋食による健康への悪影響の新たな説をもたらしている。低温で短時間の調理ではAGEは減少するし、酢やレモンをかけることでも低減する。野菜、果物、全粒穀物、牛乳といった食品ではAGEは比較的少ない。適した調理法による料理は、地中海、アジアほかの地域の料理として紹介されている。
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