西洋伝統音楽における微分音
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 14:23 UTC 版)
「微分音」の記事における「西洋伝統音楽における微分音」の解説
西洋において このような禁忌を破って行われた微分音の最初の探求には、エンハーモニックを解決すべく考案された16世紀のニコラ・ヴィチェンティーノによる36音音階や、17世紀のクリスティアーン・ホイヘンスによる31音音階などが存在する。しかしこれらはいずれも定着には至らなかった。 微分音が作曲上の素材として再認識されたのは20世紀に入ってからであり、アロイス・ハーバ、イワン・ヴィシネグラツキー他の人々によって、可能性が実作と理論の両面で究められた。現在では現代音楽において、幅広く聴かれるものになっている。 近年では、伝統音楽の範疇を超えたところでも実践が進み、ワルター・カーロスやハーマン・ミラー (Teamouse Chanezumi) などが可能性を追求している。ミラーのWEBサイトで、さまざまな微分音の音階がMIDIで試聴できる。 自然倍音上では、ド(和名ハ)を基音とした場合、第7倍音はシのフラット(変ロ)よりほぼ六分音、第11倍音はファのシャープ(嬰へ)よりほぼ四分音、平均律のそれより低い。よってこれらの微分音程は、平均律と自然倍音の差異として聞き取ることが可能である。また基音に対してこれらの倍音上の音程を演奏する場合は、平均律よりもこれらの微分音に相当する低さの音を演奏した方が自然倍音上にあてはまるため良く響く。訓練された弦楽器や管楽器の奏者は経験上これらの微分音の差異を心得ていることが多い。 上記の自然倍音と平均律との差異に着目した作風として、ジェルジ・リゲティの後期の作風、またスペクトル楽派の作曲家たちおよびその元祖となったジャチント・シェルシの作風が挙げられる。
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