西日本地区向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 11:23 UTC 版)
1984年の奈良線・和歌山線五条駅 - 和歌山駅間・紀勢本線和歌山駅 - 和歌山市駅間(奈良電車区配属)の電化開業用および可部線(広島運転所配属)の73系置き換え用のグループである。 当時、折からの国鉄改革により設備投資が抑制されていたことからローカル線区向け車両の新造ができず、203系の投入で常磐緩行線から捻出された103系(1000番台、一部0番台も)と阪和線で余剰になっていたサハ103-66を活用して奈良・和歌山線用に48両、可部線用に13両の計61両が改造され、前者は奈良電車区に、後者は広島運転所に配置された。改造工事は大井・大船・長野・名古屋・吹田・広島・幡生・新津の各車両工場にて施工された。 車体は改造種車の103系のものを流用しており、新規製造車グループとは異なる片側4扉の車体となっている。制御機器は新調しており、台車や主電動機も元々同型であるため、両グループの性能は同一で相互の併結・混結も可能である。なお、客用扉の自動・半自動の切換えについては、種車である103系のドアエンジンの構造上対応が困難なため、奈良電車区配置車両は通年自動扱い、広島運転所配置車両は通年半自動扱いとされた。広島の車両については、新造車グループと併結した場合に相手方の自動・半自動の切換えが行えるよう、運転台に切換えスイッチを設けている。上述の通り車体も運転台取り付け以外は流用しているため、屋根コンタは103系のものであり、肩部から順に250R・1,000R・2,500R・5,000Rとなっている。 種車の103系で未装備であった側面行先表示器は、車体の改造が大きくなるため装備されず、前面の行先表示器は基本的に手動操作となった。 電動発電機(MG)は、種車のモハ102形1000番台が装備していた10kVAのMH124-DM77形を流用したが、32両分の必要数に対して21両分しか捻出できないため、不足分は新規製造車グループ同様の20kVAのMH97A-DM61A形で補われた。線区ごとに機種統一を図るため、奈良・和歌山線向けは10kVA、可部線向けは20kVAに振り分けられている。 電動空気圧縮機は、101系の廃車発生品であるMH80A-C1000形を使用した。応荷重装置は種車の103系1000番台の測重弁方式ものを流用し、0番台からの改造車も従来のブレーキ力調整弁方式から測重弁方式に改造されている。 主抵抗器は新造車同様に自然冷却式のMR147形であるが、抵抗体の仕様と搭載MGの違いにより形式が分けられた。従来の新造車では形式がMR147-G1形とされ、改造車では20 kVAのMG搭載車では限流抵抗器を2個から1個に変更したMR147-G2形が搭載されたが、10 KVAのMG搭載車では直列抵抗がMGに内蔵されているため、直列抵抗器を省略したMR147-G3形が搭載されている。外観の差異として、抵抗箱の個数が20 kVAのMG搭載車で9個、10 kVAのMG搭載車で8個となっている。 奈良・和歌山線向けの改造車には自動解結装置と電気連結器を設けた。この解結装置は117系用のものを簡素化し、改造工事による取付を容易にしたものである。 外部塗装は奈良・和歌山線向けがクリーム1号をベースに朱色3号の帯入り、可部線向けが朱色1号の単色となった。
※この「西日本地区向け」の解説は、「国鉄105系電車」の解説の一部です。
「西日本地区向け」を含む「国鉄105系電車」の記事については、「国鉄105系電車」の概要を参照ください。
- 西日本地区向けのページへのリンク