製造の背景と開発コンセプト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 17:35 UTC 版)
「近鉄21020系電車」の記事における「製造の背景と開発コンセプト」の解説
運行開始から15年目を迎える21000系を、今後とも近鉄の看板列車として高品質のサービスを提供していくために車体更新工事を施工することになった。特に同系の卓越したデザインセンスは15年目を迎えてもまだ暫くは通用するほどの高い水準であったものの、バリアフリーの思想を取り入れておらず、また座席は一世代前の簡易リクライニングシートであって最新感覚の設備ではなくなってきたことに加え、各設備の塗装剥がれ等、陳腐化も露呈し始めたことで特急車としての手入れが必要と判断された。 工事はほぼ3か月で2編成ずつ行なうが、全11編成(別に増結車両3編成)を更新完了するには約2年を要し、その間、一部の名阪特急は一般特急車両による代走が必要になる。特に1990年代半ばから特急利用客が減少傾向にある中で、横ばいを維持する名阪特急を一般車代走によってイメージダウンさせないために、アーバンライナーの新車を2編成新造のうえ、21000系が抜けた穴をこの新造車で補うことになった。 そこで、この新造車について設計の手掛かりを得るために名阪特急利用客を対象にした調査を行なった。その結果、21000系が新造されてから15年が経過する過程で下記の変化が特急券販売分析およびアンケート調査で明らかになった。 約70%の乗客が禁煙席を希望している(調査時点の21000系の禁煙車比率は50%) 男性客が60%に対し女性客が40%で、女性客の利用が想定を上回っていた。 名阪特急イコールビジネス利用という図式に反して平日においてもレジャー利用が多い。 以上を踏まえ、下記の4つの開発コンセプトを設定した。 新生アーバンライナーの新しいシンボル…新しいアーバンライナーを印象づける外観とする。 質の高い客室、快適なシート…新開発の座席を採用し、あわせて座席占有面積を広げるために客室内設備、寸法を見直す。また女性用化粧室を設ける。 おもてなしの心あふれる設備…音楽、香り、光、車内ディスプレイを駆使して癒しやサービス提供を行なう。 新しい技術を駆使した合理的な設計…新技術を使い130km/h運転可能な性能を維持しつつ付随車の割合を増やしてコストダウンを図る。 外観、内装は女性客の比率が多いことを勘案して21000系よりも柔らかでやさしい造形を志向し、またレジャー利用に配慮してビジネスライクの印象が薄まっている。このコンセプトよって新造された21020系をベースにして21000系のリニューアルが行なわれた。
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