表示義務化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 01:46 UTC 版)
その後、表示義務化を検討していた警察庁交通局は、2006年(平成18年)12月に表示義務化を含む「道路交通法改正試案」を公表してパブリックコメントを募集した。2007年(平成19年)3月2日に、表示義務化を含む道路交通法の一部を改正する法律案が閣議決定され、第166回国会に提出された。 法案は参議院先議で審査された。付託を受けた参議院内閣委員会で、自らが高齢者であるとの表示を強制することによって、事件に巻き込まれる等する危険性の増えるリスクが考えられる一方、現実的な有効性は疑わしいと指摘されたが、より重大な問題と思われる飲酒運転や、ひき逃げ等に関する改正が同法案に含まれることから議論が深まらなかった。委員会は2007年(平成19年)4月17日に全会一致で、同法案を原案通り可決すべきものと決定し、「表示義務については、本法施行後の事故実態等を分析し、関係者の意見を十分聴取しつつその在り方に検討を加え、必要に応じ見直しを行うこと。」と附帯決議をした。4月18日に本会議で採決され、賛成183反対4で同法案は可決されて衆議院へ送付された。反対票は社会民主党・護憲連合の4名であった。 送付を受けた衆議院で、法案は衆議院内閣委員会に付託されたが、参議院に引き続いて飲酒運転問題や認知症対策などが質疑の中心となり、75歳以上の運転者全員に高齢運転者標識の表示を義務化すること、についての質疑はほぼ皆無であった。委員会は6月13日に全会一致で、同法案を原案のとおり可決すべきものと決定し、6月14日に本会議で採決されて起立多数で同法案は可決成立した。 法案の成立をうけて6月20日に、道路交通法の一部を改正する法律(平成19年法律第90号)が公布された。 2008年(平成20年)4月25日に、道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(平成20年政令第148号)が公布され、6月1日から表示が義務化された。違反の名称や反則金の額、違反点数を定める道路交通法施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第149号)も同時に公布された。 義務化施行が目前の5月8日に、衆議院内閣委員会で民主党の泉健太衆議院議員が高齢運転者標識の義務化について発問して審議された。5月20日に、市川一朗参議院議員が自民党総務会で「後期高齢者医療制度問題で紛糾しているときに高齢者マークの義務化をすれば大変な問題になる。そもそも高齢者に『枯れ葉マーク』とは失礼ではないか」と、本法施行を批判したことが報じられた。 5月20日に警察庁は、6月1日施行分の道路交通法改正に対する交通警察としての運営方針について、警察庁交通局長名の通達を発し、留意事項として「高齢運転者標識については、違反の取締りについては、1年の間、指導にとどめること。」の指示を明記した。
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