自殺未遂ギグ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 21:35 UTC 版)
「Jam (自販機本)」の記事における「自殺未遂ギグ」の解説
1982年9月1日、東京都中野区弥生町のplan-Bで山崎春美が「自殺未遂ギグ」と称して手首などを出刃包丁で切り、救急車で運ばれるショーを行う。この会場でのドクターストップ役は精神科医の香山リカが務めた。伴奏者はTACOの篠田昌已、細川周平、菅波ゆり子 の3人で、血まみれになって痙攣する山崎に全く動じることなく、葬送曲のような重苦しいメロディを最後まで淡々と演奏しきったという。またショーではTACOのボーカリストで山崎とは公私ともにパートナー的存在であったロリータ順子(篠崎順子) が「ハッピーバースデートゥーユー」 を歌いながらパイプ椅子やヒール靴で無抵抗の山崎に殴りかかる一幕もあり、ライブはさながら地獄絵図の様相を呈した。ちなみにギグで山崎が着用していた血染めのTシャツは『宝島』の応募企画で限定1名にプレゼントされている。 なお1990年代になってギグの模様を収めた約1時間にも及ぶビデオテープが奇跡的に現存していることが判明し、1997年頃に映画監督の福居ショウジンが主宰するイベント「東京サロン化計画」の一環で何度か上映されたことがある。ソフト化は2018年現在一切実現していないが、マスターテープ からダビングされたコピーがコレクターの間で密かに流通していたようで、個人所蔵のVHSテープが複数本現存しているのが確認されている。 地下音楽界に自殺未遂ギグが与えた影響として、新宿ロフト創立者の平野悠は「ハードコア・パンクで一番恐怖を感じさせ、最も破壊的だったのは、非常階段でもスターリンでもじゃがたらでもなく、タコの山崎春美と香山リカによる『自殺未遂ギグ』だろう」 と評しているほか、筋肉少女帯の大槻ケンヂは「山崎春美のタコってバンドが、自殺(未遂)ギグというのをやったりとかね。ステージで手首を切っちゃうんだよ! すごいの。YAMAHAの中高生バンド合戦に筋肉少女帯が出たときに、そういうのに影響されたバンドと対バンになったのね。そうしたら、そのバンドのヴォーカルが、手首をステージで切っちゃってね。血だらけになっちゃって。でもね、TPOってもんがあるだろうっていう。『中高生バンド合戦』のステージで、手首切ってもしょうがないでしょって。そのあとみんなで反省会とか開いてた(笑)」と回想している。 自殺未遂ギグの詳細および当事者の証言については『Quick Japan』11号「特集/山崎春美という伝説─“自殺未遂ギグ”の本音」(太田出版, 1996年)や実際の現場に立ち会った香山リカの回想録『ポケットは80年代がいっぱい』(バジリコ, 2008年)、あるいは吉祥寺マイナー周辺を取り上げた『地下音楽への招待』(ロフトブックス, 2016年)第13章の山崎春美ロングインタビュー「わたしはこの本を認めない」などに詳しい。
※この「自殺未遂ギグ」の解説は、「Jam (自販機本)」の解説の一部です。
「自殺未遂ギグ」を含む「Jam (自販機本)」の記事については、「Jam (自販機本)」の概要を参照ください。
- 自殺未遂ギグのページへのリンク