自動車用エンジンにおけるタイミングチェーンとの比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 21:29 UTC 版)
「タイミングベルト」の記事における「自動車用エンジンにおけるタイミングチェーンとの比較」の解説
タイミングベルトの長所は以下の通りである。 部品として安価 潤滑が不要 旧来のローラーチェーンと比較すると、ピッチ(歯と歯の間隔)設定の自由度が高い。 旧来のローラーチェーンよりも軽量である。 旧来のローラーチェーンよりも静粛である。 一方、タイミングベルトには以下の欠点がある。 指定距離毎の定期交換が必要となる。一般的な日本製乗用車では10年または10万 km前後が目安とされている。チューニングが施されて出力やトルクが増大されたエンジン、およびスポーツ走行のような過酷な環境で使われたベルトはそれよりも早く交換が必要である。 一例としてホンダ・ビートは説明書に10年または10万 kmと記載があるが、かなり高回転を用いるエンジンのため、5万 km以内に切れるため[要出典]、オーナーは4万 kmまたは4年で交換する例が多い。また、軽自動車で高速・高負荷に対応する場合、小排気量故に高回転域を多用する機会が増え、尚且つベルト自体も細いため、ユーザーやメカニックの判断で指定の期間・距離より早めに交換する例も数少なくない。 歯飛び、断裂など、予兆なくベルトが破損することがあり、この時に停止したバルブとピストン上面が干渉する恐れがある。これはバルブクラッシュと呼ばれ、バルブステム曲がり、ピストン破損などの致命的な損傷を招く。 ピストン側にバルブリセスと呼ばれる逃げを作る事でバルブクラッシュを回避する設計のエンジンもあるが、燃焼室形状が複雑化して火炎伝播にムラが生じること、表面積が増えることで熱損失が増えること等から燃費改善が困難となる。通常タイミングチェーンの破損は見込まれない為、バルブリセスを不要として燃焼効率を改善したインターフェアレンスエンジンとできる点から、再びサイレントチェーンの採用が広がった。 幅が広く、エンジンのスリム化には向かない。 チェーンケースをリターンオイルやブローバイガスの通路に使うことができないため、しっかりとしたオイルラインを設計する必要がある。 エンジンのトルク変動、経年劣化により「伸縮」するため、厳密にはバルブタイミングが刻々と変化している。 これらのメリット/デメリットがあるが、最近ではピッチが小さく静粛性の高いサイレントチェーンが開発され、既に広く実用化されているために、絶対的な耐久性に不安のあるタイミングベルトを用いることは少なくなってきている。
※この「自動車用エンジンにおけるタイミングチェーンとの比較」の解説は、「タイミングベルト」の解説の一部です。
「自動車用エンジンにおけるタイミングチェーンとの比較」を含む「タイミングベルト」の記事については、「タイミングベルト」の概要を参照ください。
- 自動車用エンジンにおけるタイミングチェーンとの比較のページへのリンク