背景と要旨とは? わかりやすく解説

背景と要旨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 07:03 UTC 版)

共同幻想論」の記事における「背景と要旨」の解説

共同幻想論とは、幻想としての国家成立描いた国家論である。当時国家論は、集団生活成立させる機能として国家作ったという社会契約説や、国家とはブルジョワジー自分既得権益を守るために作った暴力装置であるというレーニン的な国家論一般的であった。つまり、国家とはルール体系であり、機能性重視したシステムのである。しかし、吉本は、国家とは共同幻想であると説く人間は、詩や文学創るように、国家と言うフィクション空想し創造したのである。これはルイ・アルチュセールイデオロギー装置論に似ている人間自分の創り出したフィクションである共同幻想に対して時に敬意を、時に親和を、そして時に恐怖覚える。特に、原始的な宗教国家ではこれは顕著である。その共同体で、触れたら死ぬと言い伝えられている呪術的な物体触れたら、自分本当に死ぬと思い込み心的に自殺すると言う現象起こりうる個人主義発達した現代でも、自己幻想愛国心ナショナリズムと言う形で、共同幻想侵食されている。共同幻想解体自己幻想共同幻想からの自立は、現在でもラジカル本質的課題であると吉本指摘している。 吉本血縁氏族共同体家族)が、地縁部族的共同体原始的な国家)に転化する結節点として、兄妹姉弟対幻想着目している。兄妹姉弟対幻想は、夫婦対幻想とは違って肉体的な性交渉伴わない対幻想なので、いくらでも無傷空間的に拡大できる兄妹姉弟対幻想が、他家との婚姻と言う形で空間的に拡大しているため、国民心理的な一体感共有し幻想としての国家成立するのである逆に言えば原始的な国家成立は、兄妹姉弟近親相姦自覚的に禁止されたときに求められる中上健次の「国家白昼突発する幻想化された性なのだ」と言う言葉は、このことを指している。 また、吉本にとって、高度な経済力科学力持っていた近代国家である戦前大日本帝国が、やすやす天皇制と言う宗教性の強い古代中世的な政治体制イデオロギー支配されてしまったことは大きな難問だった。吉本は、宗教・法国家その本質の内部において、社会生産様式発展史とは関係がないと主張し政治体制経済体制規定される唯物史観)とするロシア・マルクス主義批判する。その試みは、吉本にとってロシア・マルクス主義からの自立であって少年期骨の髄まで侵食され天皇制と言う共同幻想意識化し、対象化し、相対化しようという試みでもあった。

※この「背景と要旨」の解説は、「共同幻想論」の解説の一部です。
「背景と要旨」を含む「共同幻想論」の記事については、「共同幻想論」の概要を参照ください。

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