肉食動物と比較した場合の生態的特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 17:15 UTC 版)
「草食動物」の記事における「肉食動物と比較した場合の生態的特徴」の解説
植物食性動物を肉食動物と比較した場合、生態上、最も大きな違いは「食物が逃げないこと」である。 1,武装 このため草食動物の武装は、食物を捕獲する為の装置ではなくもっぱら防御・性闘争用である。つまり草食動物(雑食動物もこちらにはいることが多い)の武装:ウシやシカ、カブトムシの角、毛虫の毒、シロアリ兵蟻の顔腺や発達した大顎などは生存に必須の器官ではないため、それを持つことが必要な性、期間、階級のみ保持している。また、その武装は当たり前のことであるが、相手を捕獲・殺傷することではなく、退散させることに主眼をおいて構築されている。上記の生物の武装も他生物の捕獲には不便である。一方、肉食動物の武装:オオカミやトラの牙や爪、毒蛇の毒などは防衛にも使用することはあるが、まずは捕食の為の器官として発達していることが多い。つまり生存に必須なため大抵は雌雄・老若で同様の物をもつ。もちろんこれらは一般論であるため例外は数多く存在する。 2,運動器官および感覚器官 草食動物の感覚器官はもっぱら警報用であり、鋭敏ではあるが正確さは重視されていないことが多い。それが最も顕著に出ている有名な例は目の付き方であろう。多くの草食哺乳類では、両眼視ができる=相手の距離や大きさが正確にわかるのは視野の内のほんの一部かつ、それは網膜の周辺部であるため解像度が悪いが、視野そのものは広い。しかも長い頸により高いところから見渡せるので肉食哺乳類よりも遙かに広い視界をもつ。運動器官も同様で、もっぱら逃走のみに特化している。例えばウシやウマのもつ蹄は走るということにおいては、オオカミやチーターの足よりも効率がよいが、もはや走ること以外には使えないと言って差し支えない物である。同じくバッタやウサギの強大な後ろ足は大きく飛んで相手の目くらましを行うには便利であるが、特定の場所ないし獲物に飛びつくには不便である。運動・視覚・聴覚は食物の獲得への寄与は低いためか、毛虫やテッポウムシ、アブラムシ、ウニ、貝など防御を逃走や闘争に頼っていないものではそろって発達が悪いことも多く認められる。また、一般論として脊椎動物における大脳や昆虫における本能的行動の複雑さなど思考的部分の発達程度は肉食性の低いものほど劣る傾向にある。これも食物の獲得にいわゆる「頭の良さ」の寄与する程度が低いことによっていると思われる。
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