肉食のパラドクス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 00:13 UTC 版)
ジェフ・マネスは、カーニズムはほとんどの人々の価値観や行動におけるパラドクスに根差していると記す。すなわち彼らは、動物に危害を加えることに反対しながら、なおも動物を食べるのである。この矛盾が認知的不協和を引き起こすが、人々は精神的麻痺(英語版)という防衛機制によってそれを抑えようとするのだと彼は唱える。動物を気に掛けることと、動物に害を与えなければならない食事を受け入れることとの間の明らか葛藤は、「肉食のパラドクス」と呼ばれてきた。 肉食のパラドクスが西洋人に認知的不協和を引き起こすという説を支持する実験的証拠がある。西洋人は、より知的能力や道徳的に低位にあると考える動物をより好んで食べ、逆に、食べている動物を知能や道徳性に欠けるものとみなす。さらに、動物を食べ物に分類するか否かが、動物たちの知能的特徴に対する人々の認識に影響を及ぼし、肉自体を食べる行為によって、人はその動物の知能が低いと思うようになる。 例えばある研究では、馴染みのない異国の動物について、現地民がそれを狩ったと聞くとより知能が低いと評価し、別の研究では、ビーフジャーキーを食べた後では牛の知能をより低く見積もった。 動物製品の由来を考えないことも戦略の1つである。動物の頭部や他の無傷な身体の一部がほとんど食肉として提供されないのはこの理由による、とジョイは主張している。
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