経営術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 01:24 UTC 版)
「バーニー・エクレストン」の記事における「経営術」の解説
1970年代以降、タバコ企業などのスポンサー資金参入によりF1はアマチュアリズムを脱して商業的な拡大へ向かう。その時代の寵児としてエクレストンはコンコルド協定で運営権を勝ち取り、先進的なビジネスセンスでF1を巨大なスポーツイベントに成長させた。その最大の成功はテレビメディアに目をつけ、放映権ビジネスを導入したことである。レースファン以外の一般視聴者にも楽しめるよう競技環境の改善を図り、「安全で高級なエンターテイメント」に仕立てて世界各国へ放送契約を売りこんだ。安全性向上のためシド・ワトキンス医師に公式ドクターを依頼し、ともに医療体制の改革に力を注いだ。世界的な露出効果を期待するスポンサーが集まることで、サーキットの看板広告料やVIPへのサービス業(パドッククラブ)などの付帯利益も生まれている。 これらの関連ビジネス会社を所有し、F1マネーを私有化していることに対しては独占的・儲けすぎという批判もあるが、交渉力や面倒見のよさを信頼され長きに渡り特権を認められてきた。しかし、F1の将来性という点でGPMAはバーニーの会社組織の不透明さや排他的な慣習を問題視していた(アルファプレマの設立は、GPMA側の意向を汲んだ組織再編というも見方もある)。 また、その拡大路線でコストが跳ね上がり、名門チームや伝統あるサーキットが財政難に追い込まれた点にも伝統派のファンから批判が寄せられている。F1の開催地選択権は事実上エクレストンが握っており、施設改修要求や興行権料の高騰でサーキット側の負担は厳しくなっている。エクレストン自身、CEO退任後に開催費請求が高すぎたことを認め、オーナー企業(CVCキャピタル・パートナーズ)の収益を上げるためだったと釈明した。 2000年代以降のスポーツビジネスにおいてインターネットの活用範囲が拡大しているが、エクレストンはF1レース中継の映像配信や、ソーシャルメディアを通じた情報発信ついて保守的である。1996年には衛星有料放送に目をつけ、私財を投じてマルチチャンネルのFOCA TV(通称:バーニーTV)を立ち上げたが成功しなかった。 交渉事においては、複数の候補者同士を競いあわせて主導権を握る手腕に長けている。1986年に日本GP鈴鹿開催を発表した時には、フジテレビに対してテレビ放映権料の要求額を一気に引き上げ、交渉の場では「他局の代理人が白紙委任状を持って隣の部屋で待っている。今ここでサインしなければ隣にいく」と言って即断を迫ったという。 また、F1チームとの力関係では分割統治戦略を駆使し、トップチームに特別待遇を与えるなどしてチーム側の団結力を削いできた。2005年にGPWCからフェラーリが電撃脱退した件について、のちに「フェラーリを8000万ドルの特別分配金で買収した」と暴露した。ただし、交渉がまとまれば後腐れなく、必ず約束を守るボスとして信頼を築いてきた。F1の新CEOであるチェイス・キャリーはエクレストンの「分割統治」スタイルからの脱却を唱えているが、エクレストンは「F1では民主主義は機能しない」と批判している。
※この「経営術」の解説は、「バーニー・エクレストン」の解説の一部です。
「経営術」を含む「バーニー・エクレストン」の記事については、「バーニー・エクレストン」の概要を参照ください。
- 経営術のページへのリンク