終末の解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
ニュートンは、四世界帝国論と終末についても解釈を加えている。『ダニエル書とヨハネの黙示録の預言についての研究』では、四世界帝国をカルデア(バビロニア)、ペルシア、ギリシア、ローマと置き、この四大民族にて継続的に世界は支配されて来たとしている(全集5-312)。そして「ダニエル書」では10本の角を持つ「第四の獣」と描かれているこの四番目の帝国について、「ヨハネの黙示録」に登場する「赤い竜」・二匹の「獣」・そして最後の「赤い獣」も同じくローマ帝国を暗示し、それぞれの形態は歴史的段階を示すと解釈した。「赤い竜」は古代ローマ帝国であり、「太陽を纏う女」は教会を指す。竜の十角は帝国が複数の地域に分裂することを示す。次に現れる二匹の「獣」はローマの東西分裂を意味し、十角七頭の獣は西ローマ帝国を、二本角の獣は東ローマ帝国の正教会を象徴する。西ローマ帝国を表す獣の角のうちの一本はラヴェンナ総督と元老院を意味し、これが他の一本たるフランク王国と結びついて、ローマの帝権は受け継がれてされてゆく。そしてニュートンは、フランク人が継承したローマ帝国を最後に登場する「赤い獣」だと論じ、その背に乗る「大淫婦」は教皇であると断じる。この言葉通り、ニュートンはローマ教皇に対して批判的であり、ピピン3世から後に教皇領となる領土の寄進(ピピンの寄進)を受けて世俗に堕落した教皇とカトリック教会を「ヨハネの黙示録」の最後に登場する人物だと読み取り、この教皇領こそ「ダニエル書」「第四の獣」(=ローマ帝国)に後から生える11本目の角だと言う。 また、ニュートンは世界が終末に向かう中で鳴り響くラッパについても言及する。これらはローマに影響を及ぼす東方の動きを指し、第7の封印がローマ帝国の分裂によって解かれた後、ゴート族やフン族の侵入を第1のラッパとして始まる。ラッパの第4はサラセンの成立、第5はカリフの登場、そして第6をオスマン帝国の出現としている。つまりニュートンは、既に「赤い獣」と「大淫婦」が現れ第6のラッパも鳴らされたため、終末は間近だと主張した。彼はその時を具体的に計算し、教皇が世俗的権威を得たピピンの寄進(755年)の1260年後、すなわち2015年だと計算している。この根拠については、未公刊の原稿において「1日を千年とする伝統的な年代学から考察する基礎を得た」と記し、根底には普遍史の時間概念があることを明瞭にしている。
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