第6巻「狼の回帰線」
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「戦場ロマン・シリーズ」の記事における「第6巻「狼の回帰線」」の解説
初版 1980年12月1日(ISBN 978-4253063876) 狼の回帰線 アメリカ海軍の魚雷艇PT007の搭乗員を主役としたシリーズ。セレベス海のどこかにあると言われている「狼の回帰線」。そこは、海流が不安定で各国の潜水艦の墓場となっていた。そこに迷い込んでしまった魚雷艇PT007は、廃棄された潜水艦から流れ出た機雷のために身動きもままならない。やがて、凪となり機雷同士、機雷と潜水艦が接触して爆発をし始める。機雷源はほんの数十メートル。廃棄潜水艦の中の一隻にカタパルト搭載の伊四〇〇型潜水艦を見つけた一行は、一か八か、魚雷艇PT007をカタパルトで機雷源を飛び越えさせる。 牙の海流 魚雷艇PT007のシリーズ。オーバーロード作戦支援の為にヨーロッパに転戦してきたPT007一行。ドイツ軍の多くは連合軍はカレーから上陸してくると思っていたが、ノルマンディー上陸を予想するUボート艦長もいた。BBC放送がヴェルレーヌの「秋の歌」第一節の前半分を放送し、ついに上陸作戦が始まる。上陸艇を待ち受けるUボート群に対抗できるのはPT007のみ。しかし、PT007には潜水艦を攻撃するための爆雷は積んでいなかった。戦闘中のPT007の中でする事も無いアナポリスを卒業したばかりのペーペーのお飾り艇長が、なんと魚雷の先頭部分に砂嚢を括り付け、下に向かって魚雷が進むようにしてしまった。艇を取り仕切る軍曹たちの呆れ顔を尻目に、爆雷よりも沈下速度の速い砂嚢付き魚雷にUボート群は回避もままならず撃沈されてゆく。 虎鮫海峡 魚雷艇PT007のシリーズ。日本海軍との戦闘に加わっていたPT007は被弾して、南洋の島へと漂着した。その島では「海の神」が村人に食糧と若い女を差し出させようとしていた。その「神様」が偽装した上陸用舟艇を使った海賊だと見抜いたPT007一行は、神様相手に銃口を向ける。 炎の墓標 ブリストル ボーファイター乗りの凄腕パイロットのギブソンは、実は夜盲症を患っており、ほとんど眼が見えなくなっていた。ついに味方潜水艦を誤爆してしまい戦闘任務を外されたギブソンだったが、Uボート基地攻撃に強引に同行、魚雷の走行音だけを頼りに基地へと突入して、炎の墓標と化すのだった。 2700サイクルの女 東京ローズのように、ロンドンからドイツ軍向けプロパガンダ放送を行う女性、通称ジャーマン・ローズ。いつからか弱々しい電波ながらもベルリンから連合国側向けプロパガンダ放送が2700サイクルから聞こえてくる。赤軍がなだれ込んできたベルリンからの生放送は、彼女が幼い頃に聞いた母の「グリーンスリーブス」の歌声だった。 孤独の虎 吹雪の東部戦線。互いに部隊からはぐれたティーガーIとT-34が遭遇。互いに無限軌道が破損し動けず、凍り付いて砲塔も旋回できない状態で、にらみ合い、牽制しあい、そしてついに長く寒い夜が明けた。相手よりも先に砲塔を旋回させようと氷を砕き、ほぼ同時に旋回と発砲。しかし、砲身に雪が詰まって凍結しており、双方とも暴発によって自滅した。そして、残骸と屍の上に、また吹雪が吹き荒れ始めるのだった。
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