神経障害型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 07:57 UTC 版)
神経系に作用し、幻視、幻聴、知覚麻痺、激しい頭痛、めまいといった症状が見られる。 副交感神経刺激型(ムスカリン様症状型) 発症が早く、摂食後10分から30分で激しい発汗、腺分泌の亢進が始まり、縮瞳による視力障害、血圧低下、意識喪失などの症状が起こる。主な毒キノコはアセタケ属(英語版)のオオキヌハダトマヤタケ、クロトマヤタケ(英語版)。有毒成分はムスカリン、ムスカリジンなどのアミン類である。 副交感神経麻痺型(アトロピン様症状型) 摂食後30分以降に異常な興奮、流涎、散瞳による視力障害、うわ言、幻覚といった症状が見られ、進行するとけいれん、筋硬直が起こる。主な毒キノコはテングタケ、ベニテングタケ、ハエトリシメジ。毒性成分はイボテン酸、ムッシモール、トリコロミン酸(英語版)などのイソオキサゾール化合物である。 中枢神経麻痺型(幻覚剤様症状型) 摂食後30分から1時間で幻視、幻聴が起こる。また知覚麻痺、めまい、言語障害などが見られ、重症化すると精神錯乱や筋弛緩を起こし意識不明となることもある。主な毒キノコはワライタケ、センボンサイギョウガサ、ヒカゲシビレタケ、シビレタケ、アイゾメシバフタケ。毒性成分はシロシビン、シロシン、ブフォテニンなどのトリプタミン誘導体である。 末梢血管運動神経刺激型(肢端紅痛症型) ドクササコは摂食後6時間以上たってから不快感、吐気、全身の倦怠感が現れる。数日経過すると手足先端にしびれ、灼熱感、激痛が生じて赤腫浮腫が見られる。症状は1ヶ月から3ヶ月以上継続する。毒性成分はクリチジン、アクロメリン酸A、Bなどである。 ジスルフィラム型(アンタビュース型) キノコを食べる前後に飲酒した時にのみ発症する。これはアルデヒド脱水素酵素の阻害によって、エタノールの代謝に伴って発生するアセトアルデヒドが体内に蓄積したことによるもので、ちょうどアルデヒド脱水素酵素が欠損したヒトが飲酒した場合と、ほぼ同様のことが起こる。20分から2時間後に顔、首、胸が紅潮し、激しい頭痛、めまい、嘔吐、呼吸困難といった症状が見られる。主な毒キノコはホテイシメジ(英語版)、ヒトヨタケ、スギタケ(英語版)。毒性成分はコプリン(英語版)。
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