神経軸索終末の電位依存性カルシウムチャネルによるSNAP-25の調節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/18 17:06 UTC 版)
「SNAREタンパク質」の記事における「神経軸索終末の電位依存性カルシウムチャネルによるSNAP-25の調節」の解説
活動電位が軸索終末(英語版)に到達すると、脱分極によって電位依存性カルシウムチャネル(英語版)(voltage-gated calcium channel、VGCC)の開口が刺激され、電気化学勾配(英語版)に従ってカルシウムが急激に流入する。カルシウムはシナプトタグミン1(英語版)との結合を介してエキスサイトーシスを促進する。しかし、SNAP-25はグルタミン酸作動性神経細胞においてVGCCの機能を負に制御することが示されている。SNAP-25はVGCCによる電流密度を減少させ、そのためシナプトタグミンに結合するカルシウムの量は減少し、エキソサイトーシスは減少する。逆に、SNAP-25の発現低下はVGCCの電流密度を増加させエキソサイトーシスを増大させる。 さらなる調査によって、SNAP-25の過剰発現/発現低下とさまざまな脳疾患が関係している可能性が示唆されている。注意欠陥・多動性障害(ADHD)ではSNAP-25の遺伝子座の多型が疾患と関連付けられており、その症状における役割が示唆されている。このことは、coloboma変異体マウスを用いて行われたSNAP-25のヘテロノックアウトによる研究でADHDに特徴的な表現型がみられたことからもさらに示唆される。研究からは、SNAP-25の過剰発現/発現低下と統合失調症の発症との相関も示唆されている。
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