末梢神経サルコイドーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 10:24 UTC 版)
「サルコイドーシス」の記事における「末梢神経サルコイドーシス」の解説
サルコイドニューロパチーでは神経上膜を中心に肉芽腫と壊死性血管炎の所見に加え、血管炎ニューロパチーで見られるような、急性軸索変性像と神経束ごとの有髄神経線維密度の偏りが報告されている。
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末梢神経サルコイドーシス
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サルコイドーシスの末梢神経障害で最も多いのが視神経や顔面神経などの脳神経の障害である。脳神経麻痺は神経サルコイドーシスの75%を占める。脳神経麻痺を除いた末梢神経の障害、すなわちサルコイドニューロパチーは神経サルコイドーシスの15%程度と言われているが様々な報告がある。サルコイドーシスの中で致死的な転帰をとるのが1~5%であり、その原因として多いのは肺と神経の障害である。神経障害の中で致死的になりやすい因子として末梢神経障害が挙げられており、サルコイドニューロパチーは治療の標的として重要である。 サルコイドニューロパチーの病理像では神経上膜を中心に肉芽腫と壊死性血管炎の所見に加え、血管炎ニューロパチーで見られるような、急性軸索変性像と神経束ごとの有髄神経線維密度の偏りが報告されている。このことからニューロパチーを生じる機序としてサルコイド結節による神経線維への圧迫や、神経線維に血液を供給するvasa nervorumに生じた血管炎機序に伴う梗塞が推測されている。一方、サルコイドニューロパチーでは非常に稀ながら神経伝導検査で脱髄性ニューロパチーを呈することがある。その機序としては何らかのサイトカイン・免疫因子の関与や神経内鞘内に存在するサルコイド肉芽腫よって圧迫され伝導ブロックを生じた可能性が想定されている。 サルコイドニューロパチーには2つの主要なパターンがある。その2つとは四肢遠位部優位の感覚運動型ポリニューロパチー型と四肢近位部と遠位部とが同等に障害されるnon-length dependentの左右非対称性多発神経根ニューロパチー型である。多発性単神経障害と診断される例は少ない。左右非対称性多発神経根ニューロパチー型では髄液所見や神経根のMRI所見に異常が認められることがある。発症経過としては急性から亜急性の経過をとることが多く、数週から数ヶ月かけてプラトーに達するのが典型的であり自然軽快傾向を示すことも珍しくない。疼痛やジンジン感など陽性の感覚障害が目立つことが多く、逆にこれらの症候がない場合はには他の原因の可能性が高い。陽性の感覚障害は小径線維ニューロパチーないし血管炎ニューロパチーとしての特徴と考えられている。non-length dependentの左右非対称性多発神経根ニューロパチー型の場合はギラン・バレー症候群やCIDPとの鑑別が重要となる。 急性の経過でギラン・バレー症候群と類似した臨床像を呈したサルコイドニューロパチーが複数報告されている。ギラン・バレー症候群との鑑別に有効な所見としてサルコイドニューロパチーでは、神経症候が左右非対称性、多臓器障害を反映した全身症状を伴いやすい、脳脊髄液での細胞数増多、免疫グロブリン大量療法が無効ないし効果不十分、ステロイドが有効、回復期に再燃などが重要と考えられる。 少数であるが脱髄所見が主体のサルコイドニューロパチーはCIDPとの鑑別が重要になる。神経伝導検査で伝導ブロック様の波形変化を示し脱髄性障害が示唆され、CIDP類似の臨床像を示したサルコイドニューロパチーが9例報告されている。伝導ブロック様の波形とは遠位刺激のCMAP振幅は低下しているが近位刺激のCMAPは振幅が保たれ、時間的分散が目立たない状態である。これらの症例では四肢筋力低下が左右非対称や多発単神経障害型を示す、脳神経麻痺を伴う、サルコイドーシスによる多臓器障害を伴う、副腎皮質ホルモンが有効といった特徴があった。MADSAMが重要な鑑別疾患になる。CIDP疑いの症例で免疫グロブリン大量療法に抵抗性の場合、その原因が免疫治療が不十分である可能性に加え、サルコイドニューロパチーを含めた他の疾患の可能性を想定するべきである。特に免疫グロブリン大量療法や血液浄化療法が無効でステロイドが著効する場合にはサルコイドニューロパチーを鑑別の上位に置く必要がある。
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